あ♥@マブスファン

マブス専門NBAブログ(不定期)

【雑談】THJ、要る?-5

 

■リショーン・ホームズ

 満を持して登場した新加入のセンター。シクサーズに二巡目37位で指名されて、四年後にサンズ、キングスと渡り歩いて今シーズンはマブスでベンチを温めています。非常に優秀なオフェンス力を持っており、得点のキャリアハイは20-21シーズンの14.2点、これをFG63.7%と超高確率で決めています。205㎝とやや低めの身長ですが、その分優れたスピードと跳躍力でロブパスターゲットとしても優秀です。このスピードがディフェンスにも活かせるホームズで、非常にペリメーターディフェンスが上手い。それが今シーズン最も目立ったのは、レイカーズ戦でレブロンストッパーとして活躍した瞬間でしょう。スピードとパワーで文字通りゴリ押しするレブロンのドライブのコースを切るアジリティと、押し負けないパワーでレブロンの無力化に成功しました。その分ADにはやられていますが。センターとしては機動力に優れている反面、ゴール下の一対一にはあまり強くない。

純粋なエースフォワードキラー

 こんなことをホームズに感じている管理人。限定的な役割を強烈にこなせそうって意味でザ・プレーオフ要員な雰囲気を醸し出す選手です。彼にフォワードを一対一で守らせようとするとその分インサイドが手薄になるので、ツインタワーの形にするのがベスト。だけどマブスのセンターはスリーが打てないので、ホームズのワンビッグにしてドンチッチかグラントをインサイド担当にするのがベターかな。

ホームズのDEFレーティング 106.1

 セスよりも少ない17試合で平均10分出場なので、こちらはあくまで参考程度にしてください。これを見るとディフェンス面は少なくとも他のメンバーに比べると機能しているわけですが、彼がなぜプレータイムを貰えないのか。

ホームズのOFFレーティング 101.9

 ひっどい数字です。だからこのOFF/DEFレーティングを見ると「ホームズがいると守れるけど、攻めれない」チームになるってことが読み取れます。

 

 でもねー、このOFFレーティングって正当な評価ではないんだよね。というのもホームズって、実はドンチッチとオンコートであまりプレーしていないからです。ホームズのプレータイムは今季大体170分ですが、二人が一緒にプレーした時間は60分、おおよそ1/3しかないんですよね。プレータイムの半分以上がドンチッチがいない時間、それはつまり彼ほど展開力のないハンドラーたちとプレーしていたってことで、これが大きく響いている印象です。その間ホームズが何をしていたかというと、P&Rのスクリーナーをやっていました。

 彼をマブスで見た時に思ったのが、P&Rのロールマンとして優秀だということ。どれぐらい優秀かというと、パウエル、ライブリー+カイリー、THJ、ハーディがやるとぴっくあんどろーるみたいなオフェンスになるところを、ホームズとハンドラーがやるとちゃんと形になります。そもそもP&R自体慣れてなさそうなハンドラー陣と一緒にプレーして形になるってのが凄い。しかもマブスに来たばかりの選手がね。

 P&Rって当たり前ですがコンビプレーなので、コミュニケーションミスで簡単にターンオーバーになってしまうのですが、ここに相当気を遣っていたように思うホームズ。ハンドラーがドライブしたいコースを常に見極めながら、邪魔にならないタイミングとコース取りのダイブ。ハンドラーのドライブコースを作る為のペイントエリア内でのスクリーン。ダイブした後、ハンドラーのシュートフェイクからのパスをキャッチしてリムアタックしたり、逆にハンドラーがシュートした時はOREBに絡んだり。これをハンドラーの邪魔をせずに適切にジャッジするホームズには感服しました。ドンチッチ以外はP&Rが微妙なハンドラー陣なので、苦し紛れに雑なパスを出されると、パウエルやライブリーなんかは反応しきれませんでした。しかしホームズはきっちり反応してくれます。ここもホームズの反応速度(アジリティ)に助けられている部分。

一人でP&Rを成り立たせるホームズ

 そしてこれがドンチッチと組む必要性を感じにくいところでもあります。ドンチッチはP&Rのスキルがリーグ最高レベル、逆にロールマンがダイブするスペースを作るようなドライブコースを選択したり、ダイブを待つようにドライブするタイミングを変えたりすることもあります。だったらライブリーのようにロブパスターゲットとして高さがある方が便利なわけです。それはそれとして、ドンチッチはパウエルの方がやりやすそうには見える。

 そういう事情があるので色々と不遇なホームズ。ロールマンとして優れているからこそ、ドンチッチと組ませてもらえず表に出る数字が悪化している印象です。

 

 そんなホームズですが、彼自身のオフェンス能力に問題がないかと言われると首を傾げたくなるところです。というのも、P&Rをする時にハンドラー側にダブルチームされ、フリーになったホームズにパスが渡るというシチュエーションがあるのですが、ここの判断が悪い。ボールを貰ってシューターにパスをするのか、リムアタックを仕掛けるのか悩んだ結果、折角出来たディフェンスの穴を有効活用できずもう一度ハンドラーに渡しに行くことがあります。ここがライブリーやパウエルが優れているところ。ライブリーがルーキーにも関わらず、デビュー戦から出来ていたことは驚きですが。だからここの判断力もあって、あんまり使われないのかなーと思っていましたが、こんな動画を見つけました。

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 この動画の5:45辺りからの3プレー。高い位置でボールを貰ったホームズは、コーナーからカットしてくるバグリーにパスを併せてダンクさせています。上手いじゃん。

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 さっきの動画でパスを出したところと同じ位置からプッシュショットも打てます。ちなみにここの確率も高く、キングス時代は50%を切っていません。

ホームズ上手くね?

 所詮ハイライトって話ですが、大事なのはそういうプレー自体は出来るってこと。ここの判断が悪いから使われないと思っていましたが、ちょっと驚きです。マブスでは見覚えのないプレーなので、単純にチームの連携不足な気がします。それって結局、ホームズがフリーになった時の展開を準備していない+そもそも試していないキッドが悪いってことじゃない? 使えよ。

 

 この記事を書くにあたってホームズについて色々と調べてみましたが、想像以上にセンターとして優秀なオフェンス能力を持っていました。P&Rの上手さは加入当初から感じていましたが、キングスではちゃんとパスも出せるし、高確率のプッシュショットで得点力もあると、パウエルやライブリーとは違う便利さがある選手ですね。

 今シーズンのマブスはライブリーをスタメンセンター、パウエルを控えに置くのが基本ライン。どちらかが欠場した場合、DJJやグラントをセンターにしつつ一人のセンターを酷使しているキッドです。昨シーズンのウッド、マギー、パウエルのセンター陣だとパウエル以外守れなかったので、嫌がってスモールにするって起用は分かりますが、ホームズは機動力のあるセンター。実際数字上はペリメーターディフェンスが上手く、反面インサイドではそれほど脅威ではない。どちらかとウィング寄りの特性を持っていてキッドが好きそうな選手なんだけどな。ライブリーが怪我でおらずパウエルしかセンターがいない試合で、全くホームズを使わないキッドです。去年のセンターいっぱい作戦がよっぽどトラウマになっているのだろうか。

 サイズにしては高い機動力とリムプロテクション&ロブパスターゲットとして優れたライブリー、圧倒的な運動量とポイントセンターのパウエル、一対一でエースフォワードを守れ、三人の中で最も個人のオフェンス力が高いホームズ。共通してアウトサイドのディフェンスが弱点となりにくく、オフェンスではそれぞれタイプの違うセンター陣。ルーキーのライブリーは新人にしてはかなりパワーがあり体が強い方だと思うけど、まだ19歳です。酷使すれば簡単にキャリアが終わってしまうような怪我を負うリスクがあるし、それはキッドも理解している様子で、彼の平均ミニッツは25.4分とキッドにしては抑えています。

 しかし、もっと抑えてもいいんじゃないかと思う管理人です。平均で見るとそれほど多くは見えませんが、使う時はとことん使うキッドなので、ライブリーが39分出場した試合もあります。こういう試合を減らしてほしいんだよね。その為のパウエルではありますが、彼も怪我の過去があり、年齢も考えるとやっぱりホームズに二人の穴埋めをしてもらうのが適切だと思います。なぜかキッドはグラントやDJJにその穴埋めをさせようとしていますが。まあオフェンスで上手く行かないからっていうのは分かるけどさ、ホームズだけの責任じゃないじゃん。それに、そこのオフェンス構築はHCの仕事なんだから、仕事しろよ。でもそうするとドンチッチとプレーする時間が増えて、パウエルほど強烈なカバーリングがホームズにはない分、ドンチッチの負担が増えて、それはキッドのディフェンスの考えとマッチしていなくて……色々と難しい。

 ホームズの契約は残り二年で大体25ミリオンぐらい。そして来年はプレイヤーオプションと、非常に微妙な契約です。微妙っていうのは高いとか安いとか、長いとか短いとかの話じゃなく、マブスが今勝ちに行くにしても、プチ再建に走るにしても絶妙に噛み合わないってこと。

 今勝ちに行くのだとしたら彼の契約の短さは割と適切。今シーズンはホームズとチームの連携を深めつつ、プレイヤーオプションを行使してもらって来シーズンに勝負を掛けるっていうプランが組めますが、そもそも使わないキッド。かといってプチ再建のメンバーに加えるには30歳と微妙な年齢。パウエルとほぼ同じ年齢なのが物凄く微妙。未来のセンターラインナップをライブリー、パウエル、ホームズにした時、パウエルとホームズの引退のタイミングが被りそうです。主力センターが二人同時にいなくなるのは痛い。その保険として若手ビッグマンを雇うのもありっちゃありですが、ロスターの圧迫感が凄いし、そもそもその若手がうまく成長しなかった時のライブリーの負担がでかい。タイムライン的に絶妙に噛み合わなさそうなホームズ。身体能力系の選手なので、ちょっと衰えて今までのプレーが出来なくなった瞬間にホームズじゃなくていいやってなりそうっていうのもある。

 HC、年齢、契約等、色んなしがらみがあるホームズ。ちなみに管理人としては、さっさとHCを変えてシンプルにホームズにプレータイムを与えて欲しいです。長期的な視点で考えるなら、今ライブリーとパウエルに負担を掛け過ぎて壊れることの方が怖い。選手としての寿命を延命する為にも、短くていいから少なくとも毎回使うべきだと思っています。だからシーズン開幕前にHC変えとけばよかったのに。

 彼もグラントと同じで22-23シーズンにいてくれたらプレーオフ要員として活躍できたかもしれない選手。ただグラントと違い年齢がネックになって、これからのマブスに必要かは相当微妙な選手でもあります。何か色々書いたけどまだ消化不良な管理人。ホームズの話はまた別の記事で書こうかな。

 

 

 ということで出来れば残したい選手の話は終わりです。次はこのテーマの主人公が満を持して登場します。