終始ドートに苦しめられ、ゲーム1を落としたマブス。ただそこで終わらないのもマブスで、クリッパーズとのシリーズと同様に試合中に対応策を複数用意することが出来ました。具体的には①ドートに二枚スクリーンを用意して剥がす②逆アイソでドートに仕事させない③シューターをスクリーナーにしたスイッチ誘導の三つで、これをどう使い分けていくのかがゲーム2の見どころ。
マブスのオフェンスはPJのポストアップから始まります。PJのポストアップ!?
とまあ滅茶苦茶びっくりしたんですがサンダーもそんな感じに驚いたようで、ギャフォードにパスが渡りさくっと2Pを決めます。その次のオフェンスはカイリーをハンドラーにした逆アイソ、と見せかけてまたもPJのポストアップ。動揺しまくりのサンダーはボールマンのPJに注目しまくり、オフボールで動くドンチッチとDJJを見逃すドート。PJからドンチッチにパスが渡り、スリーを沈めます。更に速攻からリバウンドを確保出来なかったサンダーは混乱の末、ゴール下のギャフォードをフリーにしてしまい、ドンチッチの激ヤバパスの餌食に。更にはディフェンス3秒まで。ディフェンスのポジショニングがガタガタなのがまるわかりのサンダーでした。
PJワシントンのポストアップに動揺するサンダー。ドートがオフボールで動くドンチッチを見逃す。 pic.twitter.com/jSRM8nbVxq
— あ♥@マブスファン (@heartamavs) 2024年5月10日
レギュラーシーズンにPJがポストアップをしていた記憶なんてほぼないし、それをファーストプレーに採用するのは初めてだよね。やっていることは逆アイソなんですが、それをカイリーじゃなくPJがやるのかっていう驚きがありました。明らかに浮足立っていたサンダー。こういうところは若いチームってことで可愛げがあるよね。若いのは選手なのかHCなのか、両方だろうね。
そんなこんなで二分半ほど全くオフェンスに絡まなかったドンチッチが、ここで初めてP&Rを仕掛け、シンプルにシュートを沈めます。更に速攻でギディーからステップバックスリー。そうやってドンチッチのところから攻めるのかと思ったら、今度はカイリーのところからオフェンスを始めるマブス。そうこうしていたらカイリーにドートを付けるサンダー。そしたらドンチッチは普通に仕掛ければいいので、なんかサンダーは混乱っていうか迷走していたよね。
第1Qドンチッチ 16PTS FG 6/8(75%) 3P 4/5(80%)
極めて快調に得点していったドンチッチ。ボールを持ったらドート相手にアグレッシブに仕掛けていました。積極的に逆アイソを仕掛けたマブスでしたが、本当の狙いはここだろうね。
何だかんだでドートは嫌なディフェンダーなので、マブスとしてはそもそもコートにいて欲しくないわけです。要するにファウルトラブルになって欲しくて、それもあってドートに対してドンチッチがスクリーンも使わずにドライブを仕掛けていたように思います。ファウルせずに止められるかな? って具合にね。それを毎ポゼッションするのは骨が折れるので、逆アイソでドンチッチの体力を温存していたって感じです。その意図を察していたのか、逆にドートはディフェンスのアグレッシブさを欠いていたし。それがドート相手にもシュートを決められた要因だと思います。
2ファウルになったドート。こうなると余計にプレッシャーを掛けにくくなります。そこでダブルスクリーンを仕掛けるマブス。
ダブルスクリーン pic.twitter.com/P8ehF2Gzrr
— あ♥@マブスファン (@heartamavs) 2024年5月10日
迂闊にファウルできないドートなのでこのスクリーンに面白いように引っ掛かり、ドンチッチがスリーを沈めます。ここはさすがにスイッチ対応しないとまずいところ。
PJフローター pic.twitter.com/yJVejccQMK
— あ♥@マブスファン (@heartamavs) 2024年5月10日
このポゼッションではPJのスクリーンに対応出来たドート。しかし逆サイドでPJとギャフォードのP&Rを仕掛け、フローターを決めます。がら空きの左コーナー。
総じてサンダーのポジショニングが非常に悪く、クォーターを通して修正が出来ていませんでした。なんかダグノートは気づいてなかったっぽいよね。ドートをドンチッチ専任にして勝ったゲーム1の成功体験を引きずり過ぎていた感が否めません。ドートをドンチッチから剥がさないようにする事ばかり考えていて、多彩なオフェンスに動揺した選手たちのポジショニングの悪さに気づけていないようなダグノートでした。なまじ点差がそれほど離されていないから気づきにくいってのもあったんだろうけど、策士策に溺れるって感じだったね。要は選手もHCも若いって事だ。
ポジショニングの悪さは第2Q残り1分ぐらいまで継続、寧ろ第2Qの方が目立っている気がしました。
第2Qカイリー 3PTS 5AST 0TO
このシリーズではカイリーの得点力が鍵だと思っている管理人。ただ第2Qはシュートを3本しか打っていません。それどころかペイントタッチすらせずシンプルにパスを捌きスリーまで展開していました。
第2Qマブス3P 4/11(36.4%)
前半マブス3P 12/24(50%)
これで2Pを守れていたらそういう作戦って事になるんですが、別にそうじゃないからね。まあスリーが外れたところをロングリバウンド回収から速攻っていうサンダーらしさのあるディフェンスといえばそう。だけど、ねえ。脚が全然動いてないじゃん。
ガードを並べることでインサイドが弱点になるので、サイズを人数でカバーするっていうのがサンダーのディフェンス。普通はそうなるとスリーを打ちやすくなるんですが、そこを機動力で強引にクローズアウト出来るのがサンダーの強みなのに、インサイドに固まってスリーを打たせ続けていたら、何の為にガード並べてんのって感じだよね。
前半マブスターンオーバー 5
ゲーム1と比べてターンオーバーが半減。ドライブせずとも勝手に収縮していたサンダーなので、ドライブフェイク一発で安全にパスを捌けるマブスでした。
第3Qも基本的にカイリーがハンドラーのマブス。サンダーのポジショニングが改善したこともあってここからカイリーの得点力が物を言う試合になる、と思ったらパスを捌けてしまいます。修正すべき点には気づけたけど、それを選手が徹底できていないって事だ。なんともグダグダなサンダーでした。
第3Qマブス FG 10/25(40%) 3P 4/8(50%)
それでもTHJがいなければ守れていたといえるサンダー。これだけグダグダしていてもTHJ以外のところは21点に抑えられているんだから、まあ強いのは間違いないよね。
第3Q終盤にカイリーを下げて、ドンチッチがハンドラーになった時間。オフボールのところでドートがドンチッチを引っ張り4つ目のファウルとなりました。ようやく仕事が出来ると息巻いて空回りしたようなシーンでした。
第4Qはドンチッチとカイリーで起点を変えながら、PJのポストアップを織り交ぜて逆アイソを仕掛けます。それに対してサンダーはSGAのドライブアタックがメイン。
第4Qサンダー FG 8/24(33.3%) 3P 1/7(14.3%)
この内SGAがFG 2/5で7得点と、さすがに疲れを隠せていませんでした。サンダーのオフェンスってSGAのシュートとキックアウトのスリーが決まらなかったらどうすんだって感じのオフェンスなので、後半になればなるほどインサイドを固めるマブスディフェンスに苦しみました。単調だよね。それをOREBやトランジションといったハードワークでカバーしているんですが、それだけじゃ足りなかったゲーム2でした。
そういう事情からポジションを乱してディフェンスの隙を作れるギディーっていうのは重要な存在だと思うんですが、どうにも使いたがらないサンダーでした。まあ使いたくない理由は分かるんだけど、もっと使うべきだったようにも思います。
ドンチッチ 29PTS 10REB 7AST 1TO
FG 11/21、3P 5/8の62.5%とこのプレーオフでは初めてなぐらいに効率よく得点していったドンチッチ。今日はハンドラーというよりスコアラー的な仕事がメインで、逆アイソによってスタミナ管理が出来ていたからか、怪我しているのか忘れるぐらいにいつになく元気でした。3STLしているし。
カイリー 9PTS 3REB 11AST 2TO
抜群に褒めたいカイリーでした。FG 2/8とそもそもシュートを打っていないんですが、それはサンダーがドライブする前にインサイドに引きこもり、安全にパスを捌けていたからなので全く問題のないスタッツだと思います。カイリーが得点を取るまでもなくオフェンス出来ていたってこと。冷静だったね。
PJ 29PTS 11REB 4AST
EFG驚異の80%超えととんでもない効率でスコアしたPJ。結局この人はシュートが上手いのか下手なのか分かんないよね。今日は逆アイソの一環としてポストアップ役を担当し、見事に実行していました。勿論4アシストはプレーオフキャリアハイ。
ゲーム2のマブスは素晴らしいの一言に尽きます。オフェンス面で何かと仕事が多いドンチッチ。そんな彼からハンドラーとポストアップの仕事をカイリー&PJが分担出来たことがドート相手にアグレッシブに仕掛けられ、元気にスコアリング出来た理由だと思います。元気なドンチッチをファウルせずに止めるのはドートもかなり手こずっていたし、結果的に5ファウルになりました。
ドンチッチ対ドートを逆手に取ったマブス
修正どころか、相手の強みを弱点に変えたようなキッドの采配でした。初めて天才だと思った。ゲーム1はドートのディフェンスに苦しみ95点しか取れなかったマブスでしたが、ゲーム2はこのプレーオフで二番目に多い119点を記録しました。これでようやく五分の勝負が出来るところまで来たって感じです。
そう、これで五分なんだよね。チェットが三本スリーを決めていただけで簡単に結果は覆っていました。今日の試合でサンダーの対応力の低さというか、プレーオフ経験のなさみたいなものを感じましたが、それでもきっちり110点は取ってくる末恐ろしさも感じました。やっぱりサンダーって強いわ。