あ♥@マブスファン

マブス専門NBAブログ(不定期)

【23-24 PO-2】VSクリッパーズ Game-2

 

 カワイ・レナードが復帰となったゲーム2。ゲーム1を見た後だと、ぶっちゃけカワイがいる方がドンチッチはやりやすそうな気がしたんですが、実際はどうだったのか。

 

■第1Q

 コフィ―がそのままカワイと入れ替わった形のクリッパーズ。カワイ&ズバッツのところでギャフォードのスクリーン→ダイブの形に。ここのパスを見失ったギャフォードでしたが何とかロストはせず、ポール・ジョージにダンクを仕掛けて外します。ただ外したところをDJJがフォロー。

 その次はギャフォードのスクリーンを利用してコーナーに動くカイリーにパスを捌くドンチッチ。ここでスリーを打てず、ドライブしたところをカワイに挟まれてスティールされます。

 三つ目のポゼッション。ドンチッチ対カワイの形をPJのスクリーンでドンチッチ対ハーデンに。華麗にハーデンを抜いてズバッツにアタックし、ファウルドロー。

 09:40からのポゼッション。カイリー&ギャフォードのP&Rに対してカワイがヘルプポジションを取ってケアします。その分空いたPJにパスが通り、ドライブキックアウトからカイリー→DJJのドライブ。ズバッツに仕掛けてファウルドロー。

 といった風に簡単にミスマッチを作らせてくれるクリッパーズディフェンスでした。ミスマッチをカワイのヘルプディフェンスでフォローしたかったんだろうけど、そうするとパスコースが空くからボールが回っていつものマブスって感じのオフェンス。これがズバッツのファウルトラブルに繋がったように思います。

 まあ幾ら優秀なディフェンダーといっても、それなりにサイズがあるカワイなのでスクリーンをオーバーで守るのはちょっと難しそうな気がします。だからスクリーンひとつで簡単にスイッチしてくれるし、そうするとマブスとしてはいつも通りのことをすればいいわけです。ただカイリーがスティールされたように、ヘルプディフェンダーとしては厄介な選手なので、色々な意味で代役だったコフィ―と真逆。カイリーはカワイがいる方が嫌だろうけど、ドンチッチはコフィ―の方が嫌そうっていうのが管理人の感想です。

 ギャフォードからライブリーに変えたマブス。スクリーンで剥がすこと自体はギャフォードの方が上手いと思っている管理人ですが、逆にライブリーのスクリーンでもミスマッチを作れるなら、ディフェンスを考えてライブリーを長く使う方が有効に見えました。でもってちゃんとミスマッチが作れたライブリー。ということで、カワイが復帰したことでオフェンスが改善したような第1Qのマブスでした。なんじゃそりゃ。

第1Qマブス FG 8/19(42.1%) 3P 3/8(37.5%)

 ここにフリースローの4点も加わって23点を取ったマブス。ゲーム1の第1Qより1点多くとれたぞ。

第1Qクリッパーズ FG 5/20(25.0%) 3P 1/4(25.0%)

 対してクリッパーズは大失速の19点でした。これに関してはマブスのディフェンスがゾーンになったことが効いたっぽい。04:45のポゼッションでクリバーがアウトサイドからゴール下に走って行くところとか、完全に場所を守るディフェンスだよね。

 クリッパーズクリッパーズで、ゲーム1と同じくミスマッチを作って、ハーデンのパスで簡単な点を取りたかったわけですが、ここがゾーンによって封じられた感じです。ズバッツがいればもうちょっとゴール下を押し込んで点が取れていたんだろうけど、あいにくのファウルトラブル。

 第1Q残り2分ぐらいでカワイが下がり、コフィ―が出てきます。でもクリッパーズマンマーク徹底じゃなく、ゾーンで守ってきます。ゾーンにされる分にはミスマッチも作れるし、スリーも打てるし、何も怖くないマブス。ここでスリーが入らないと辛いんだけど、クリバーもスリーを決めました。

 

■第2Q

 相変わらず苦しいオフェンスのクリッパーズ。ということでハーデンが下がってラスが出ている時間、クリッパーズはカワイのポストプレーを仕掛け始めました。NBAを19-20シーズンから本格的に見始めた管理人にとって、カワイって完全にオフェンスの人なんだよね。

 10:30ぐらいからのポゼッション。カワイ対PJのマッチアップで、ワンドリブルのステップサイドからミドルを打つとこれを沈めます。これをファーストプレーで決めてくるあたりがさすがって感じです。

 そこからのオフェンスでスクリーンからドンチッチ対コフィ―の形を作ると、これに対してドンチッチがポストアップを仕掛けます。ここはゲーム1の後半から修正した場面。フェイダウェイを打って外します。

 マンマーク徹底で守って来るなら、ポストの1on1でいじめちゃうよっていうのがゲーム1からの修正で、次のポゼッションではドンチッチ対ノーマン・パウエルのポストアップに対してハーデンがダブルチームを仕掛けました。ここでダブルチームに来たのがラスだったらよく分からんって感じなんですが、ハーデンが仕掛けてきたってことはティロン・ルーがこの形を嫌がっているってことだよね。でもってダブルチームを仕掛けるならパスを捌けるので、ドンチッチ→THJ→カイリーからドライブして、ライブリーのアリウープまで持って行きました。ということで、マンマークのディフェンスに対しても答えを用意できたマブス

 対するクリッパーズオフェンスもカワイ対PJのポストアップを継続。カワイがディフェンダーを引き付けてシンプルにパスを捌き、パウエルのスリーを演出します。本当に現代バスケかってぐらいにポストアップばっかりで、これがロースコアゲームに繋がったように思います。やっていることは昔のバスケなんだけど、きっかけは現代的なディフェンス。温故知新ってやつだ。

 ミスマッチを作ってボールを回し、マンマーク徹底にはポストアップするマブスと、ミスマッチを作ってボールを回し、困ったらカワイのポストアップというクリッパーズ。我慢比べの展開になってきました。マブスの日常。ドンチッチがいない時間にオフェンスが停滞するのも日常です。

ギャフォード 9MIN 0PTS FG 0/3

 ギャフォードのスクリーンからミスマッチは作れるんだけど、どうにも押し込めないことが苦しかった。ゴール下でギャフォード対カワイになってスティールされるし。そうなるとやっぱライブリーだよなーって感じです。

第2Qマブス FG 8/18(44.4%) 3P 1/5(20.0%)

第2Qクリッパーズ FG 10/24(41.7%) 3P 1/9(11.1%)

 第2Qは22対22と、お互いに粘ったクォーターでした。ただ最後のポゼッションはちょっと勿体なかったね。絶好の速攻シチュエーションだったんだけど、PJとDJJのエントリーが遅れてコートを広げられませんでした。ドンチッチは待ってたっぽいけど、時間がなくてタフなスリーを選択せざるを得ないって感じでした。これまでずっと我慢出来ていただけに、あともう少し頑張って欲しかったところです。

 

■第3Q

 第3Qのクリッパーズはミスマッチを作ってズバッツのゴール下を狙う意識を強めました。その為にカワイ対カイリーのポストアップの形から、ゴール下のズバッツにパスを出したりしてね。そのままカワイが仕掛けてよさそうなシーンだけど、より簡単な点を取りたいってことだ。ただマブスのゾーンに苦しんで、中々押し込みきれないズバッツでした。ファウルドローからフリースローを貰うけど、決められない。手を変え品を変えするけど、結局は我慢比べ。

 06:56のところで、テレンス・マン→ラスに変更して、スターおじさんズ+ズバッツの形にしたクリッパーズ。ここはティロン・ルーがラスで勝負を仕掛けたところであり、即ちゲームプレビューの「ラスの理不尽速攻に耐えられるか」っていう注目ポイント。

 最初のポゼッションでトランジションからハーデン→ラス→コーナーのポール・ジョージとパスを繋ぐと軽快にスリーを沈めます。ディフェンスではギャフォードの押し込みをカワイが止めて、OREBに絡むDJJを振りほどくラスのリバウンド。マブスがシュートを外せばラスがボールをプッシュし、ゴール下のズバッツにパスを捌いてファウルドロー。7点差をつけられたクリッパーズがラスを投入してから同点になるまで、僅か1分14秒のことでした。ほんま理不尽大王

 そんな理不尽大王に対抗する為に出されたのがクリバー。ギャフォードを下げてクリバーのワンビッグにします。で、ラスの速攻に対応しようとサイズを下げたらズバッツが活きやすくなるっていうね。よく出来てるわ、クリッパーズ

 クリバーの投入で戻りが早くなったことと、クリバーとは関係なくマブスのシュートが入ったことでラスのボールプッシュは脅威を失ったものの、自分のマークマンを捨ててクリバーからスティール、そこからまたボールプッシュと、完全にウェストブルック劇場な第3Qでした。

第3Qクリッパーズ

ターンオーバーからの得点 7

2ndチャンスからの得点 4

速攻からの得点 8

 第3Qに25点スコアしたクリッパーズですが、その内19点がハーフコートオフェンスじゃないところからの得点でした。それだけクリッパーズも困っていたし、そこを解決したラスの存在感は半端じゃなかった。

 ただマブスはそこで自分たちのバスケを見失わずに我慢し続けられたのが良かった。自分たちがやりたいことはちゃんと出来ているっていう自信があったからこそ大崩れしませんでした。ここで自分たちもハイペースでの点の取り合いに付き合ってしまったら、ラスにもっと点差を付けられていたかもしれません。

 

■第4Q

 第3Qの流れを維持したいかのようにラスを使い続けるティロン・ルー。パウエルの見事なスリーやラスのブロックなど、一見やられたい放題に見える展開ですが、ここでも我慢するマブス。ディフェンスの隙間を縫ってパスを捌き、いつも通りのオフェンスを展開し続けます。

 そしてタイムアウト明けにはドンチッチ対ハーデンのポストアップ。まだ我慢し続けるぞというマブスオフェンスと、どうにかして突破口を掴みたいクリッパーズディフェンス。ラスがダブルチームを仕掛けるとドンチッチがパスを捌いて、PJがフローターを決めます。07:55のポゼッションではドンチッチ→クリバー→PJとパスを繋いでコーナースリー、これで同点に追いつきます。そしてトランジションからカワイに対してドンチッチがスリー。なんだかあっさり逆転したように見えるけど、それまで我慢して自分たちのシュートを打ち続けたことが、ここまでのプロセスを作ったような時間でした。

 第4Q中盤に差し掛かって、スターおじさんズ+パウエルのスモールラインナップを仕掛けたクリッパーズ。オフェンスで殴り勝つぞっていう意思を感じつつ、このラインナップでオーバーヘルプ厳禁のマンマーク徹底ディフェンスをされると、それまでのボールムーブが止まってしまいそうで怖かったんですが、ラスがダブルチームを仕掛けたところでカイリーにパスを捌きスリーを決めます。

第4Qマブス FG 8/16(50.0%) 3P 6/9(66.7%)

第4Qクリッパーズ FG 10/22(45.5%) 3P 4/9(44.4%)

 第4Qを31対27でなんとか勝ち切れたマブスでした。こうしてみたらスリーが入っただけじゃないかって感じだけど、入るまで我慢し続けられたから第4Qになって入り出したようにも思います。

 この記事で何度も我慢って言葉を使っていますが、それがこの試合の全てだったように思います。ゲーム1での修正を実行して、シュートが入らなくても「これが自分たちのバスケ」だと信じ続けられたことでラスの理不尽速攻に大崩れせず、寧ろ簡単にパスコースを空けてしまうラスの弱点を終盤突っつき回すことも出来ました。で、我慢出来たのはオフェンスだけじゃなくディフェンスでもそうでした。

VSドンチッチ

FG 2/14(14.3%)

3P 1/8(12.5%)

 これはクリッパーズの選手がドンチッチに対してオフェンスを仕掛けた時のFG。管理人が自分でつけた数字なので、恐らくNBA.comの数字とは違うんだろうけど。

 特に素晴らしかったのはハーデンへのディフェンスで、ドンチッチとマッチアップした時はFG 1/5でした。ちなみにアテンプトは全部スリー。ゲーム1ではハーデンのスリーにやられまくったわけですが、ここを守るのが非常に上手かった。ハーデンのステップバックって下手に追いかけるとファウルになるので守るのが難しく、実際第3QにJGが接触していないのに3Pファウル取られていました。ですがドンチッチはハーデンの体の左側に逃げるようにクローズアウトして、接触しないこととプレッシャーのあるシュートチェックを両立させていて、結果今日のハーデンは3P 2/10という数字に。

 まあこの数字ってディフェンスの結果だけを切り取った数字なので、実際にはこれ以上にインサイドでズバッツとフィジカルファイトして、アウトサイドを追いかけてと頑張っていました。45分出ながらね。その上で最後まで冷静にパスを捌くし、シュートは決めるし。

 ドンチッチに限らず、カイリーはルーズボールリカバーで奮闘し、PJはカワイを自由にさせなかったし、クリバーはラスとズバッツを守ったし。個人的にはライブリーがディフェンスのミスマッチで狙われた時にゲーム1以上に頑張れていたことと、JGがOREBに絡みまくっていたことが印象的です。JGは本当に昨シーズンに戻ったようなプレーだった。あとはDJJがミドルレンジでシュートを打ったのもかなり印象的でした。

 ロースコアだし、大接戦だしでカジュアルなファンにはつまらないし不満も貯まりそうな試合だっただろうね。まあそれがウェストのプレーオフで戦うってことだと思います。クリッパーズのスリーが決まっていればって話だけど、ティロン・ルーはちゃんとラスを使って解決したし、アフタータイムアウトのプレーはきっちり決めたし。ほんとどうなってんだよってぐらい決めたよね。そういった仕掛けを食らった上で勝ちきれたことは非常に大きい意味があったと思います。

【PO-1】VSクリッパーズ Game-1

 

 管理人が楽しみにしていたプレーオフシリーズだったんですが、前日から急激に体調を崩して一歩も動けませんでした。このシリーズの為にゲームプレビューみたいなのも書いていたけどお蔵入り。ペリカンズVSキングスのプレーイン雑感も書いていたけどお蔵入りです。

 まあお蔵入りになったゲームプレビューでは「どっちが勝つか分からん」っていう結論になったのでどうでもいいです。ペリカンズVSキングスを出すタイミングを失ったのはちょっと悔やまれます。第4Qのフォックスがあまりにもカッコよかった。

 

■ゲームプレビュー

 ドンチッチがいるマブスとハーデンがいるクリッパーズなので、ミスマッチハントの連続になることは容易に想像出来ます。そこでのハンドラーの効率勝負、ヘルプを引き出してからのパス展開での効率勝負っていう、言ってしまえばどっちがシュートが入るかどうかの勝負に当然なるとして、そこでアドバンテージを握れなかった場合はトランジション勝負になると踏んでいました。

 で、マブスクリッパーズもFBP、OPP FBP共に大差がないチーム。だけど懸念点はベンチから出てくるラッセル・ウェストブルックです。リバウンドを取ったらそのまま強引に速攻を始めて、短時間で点差を縮めることが出来る理不尽大王なので、例えシュート力勝負で勝てたとしてもラスの速攻だけで解決されそうな不安がありました。

 ラスの嫌なところはそれだけではなく、ハンドラーに対するプレッシャーディフェンスの部分。フィジカル、反応の速さ、手数の多さで、時にボールの確保すら容易にさせてくれない強さがあります。反面ボールウォッチャーになり過ぎて、オフボールの選手を見失うことがしばしばあってよく叩かれていたけど。

ドンチッチ オフェンスマッチアップ

VSラス 9PTS 2AST 3TO

 これはレギュラーシーズンでラスがマッチアップした時のドンチッチのスタッツ。FG 4/6と確率良くシュートを決めているんですが、アシストよりターンオーバーが多いという数字に。

 クリッパーズマンマーク徹底でマブスのパスコースを封じるディフェンスを仕掛けます。そこにラスのディフェンスが加わってボールの確保が難しくなってくると、必然的にP&Rやアイソのシュート力勝負に持ち込む必要が出てきて、そこでシュートを決め続けないと苦しくなるんですが、前回対戦ではそれにまんまとハマった感じです。そしてそれに一役買ったのがラスのディフェンスでした。こういうディフェンスを仕掛けるチームってクリッパーズ以外にあんまりいないんだよね。そういう事情もあって、シリーズ序盤はちょっと苦しみそうな雰囲気も感じました。

マンマーク徹底のディフェンスに慣れることが出来るか

 これがゲーム1の課題のように感じました。

・走り合いで負けないか

 でもってこれはシリーズ通しての課題。ハーフコートで苦しい時間にマブスは走って点を取れるか。そしてクリッパーズが苦しんでいる時に点差を縮められないように戻りきれるか。そんなことをゲームプレビューの記事で書いていました。なんか、改めて記事にする必要ない気がするね。

 

■第1Q

 ミスマッチハントの連続になるという予想とは裏腹に、一方的にハントされたマブスでした。ギャフォードのスクリーンに対してイビツァ・ズバッツとアミア・コフィ―&テレンス・マンがファイトオーバーで耐えます。こうなるとシンプルな1on1、つまりクリッパーズディフェンスの狙い通りの展開になり、マブスとしては嫌な流れです。

 対してクリッパーズはP&R……かと思いきやギャフォードに対してズバッツがポストアップを仕掛けます。しかも3ポゼッション連続。でもってズバッツはキッチリここを決めきりました。ちょっとここは予想外だったね。ということでギャフォードは早々に下げられ、ライブリーが久々の出場。

 ライブリーが出ると今度はハーデンのミスマッチハント。スクリーンでライブリーにヘルプさせてからのパスでワイドオープンを作れば、今度はミスマッチになったゴール下のズバッツに押し込ませると、完璧なオフェンスを展開しました。

第1Qズバッツ 10PTS FG 5/6

 ギャフォードにはズバッツのポストアップ、ライブリーにはヘルプさせてのミスマッチアタック。要はズバッツが凄かったってことなんですが、ギャフォードがあっさり負けたのは管理人的には想定外でした。でもティロン・ルーはズバッツならギャフォードに勝てるって分かっていたんだろうね。

 センターのマッチアップで優位を取れるってこと自体がめんどくさいのに、これをファーストプレーで仕掛けてきたっていうのがまた嫌らしいよね。クリッパーズとしては「オフェンスで困ったらズバッツのポストアップで点取っちゃうよ」が出来るわけだし。このシリーズを通してセンターのマッチアップをどうするか悩ませてくる采配でした。

 で、オフェンスで苦しんでいたマブスですが、面白かったのはドンチッチがファウルドローを狙いに行かなかったこと。恐らく前回対戦でファウルしてこないっていうのが分かっていたからなんだろうけど。

 第1Qにラスが投入されると、ドンチッチにディフェンスを仕掛けまくります。ダブルチームをしたり、しなかったり。ここの狙いっていうのが分かるような、分からないような感じです。ドンチッチを自由にさせないっていうのは狙いどころなんだろうけど、ダブルチームを仕掛けられてもドンチッチはパスを捌くし、エクサムがフローターを決めるし。

第1Qマブス FG 7/20(35.0%) 3P 2/9(22.2%)

第1Qクリッパーズ FG 13/21(61.9%) 3P 6/8(75.0%)

 結果としては大きな差がつきましたが、ターンオーバーはたった一つ。ということでオフェンスは展開出来ていたんだけど、単純にシュートが決まらなかったようにも思います。対してクリッパーズは狙い通りにオフェンスを展開出来たし、好調にシュートを決めていきました。その割に12点差っていうのは、クリッパーズとしても不本意だっただろうね。

 

■第2Q

 プラムリー&ラスのところでP&Rを仕掛けると、あっさりラスが剥がれてくれてミスマッチを作れるマブス。そこでシュートが入らなかったことが苦しかったんですが、キッドがプラムリーの時間にギャフォードを戻します。ズバッツに対しては負けたけど、プラムリーに対しては勝てると証明したかったのかな。

 ギャフォードへのアリウープに対してシュートファウルするプラムリー。ここでアドバンテージが取れたかと思ったら、次のポゼッションではハンドオフのパスをラスにカットされました。カイリーの1on1は普通に守るし。理不尽大王

第2Qマブス FG 2/21(9.5%) 3P 0/9

第2Qクリッパーズ FG 8/24(33.3%) 3P 1/7(14.3%)

 第2Qに8点しか取れなかったマブス。FG2本って。ファストブレイクで3点、2ndチャンスポイントが3点とめちゃくちゃな数字ですが、一方でターンオーバーは4つ。いや少なくはないんだけどさ。この内ラスが2スティールしているので、言ってしまえばラス以外のところではちゃんとシュートまでは持っていけていたんだよね。でも呪われているんじゃないかってぐらいに決まりませんでした。

 ただクリッパーズクリッパーズで、ハーデンがいない時間のオフェンスは苦しく、トランジション勝負の雰囲気が強くなりました。第1Qはミスマッチハントが出来ずに苦しんだけど、第2Qは出来るようになった上で苦しかった。それを走り合いで覆すことも出来なかった前半のマブスでした。これがプレーオフ経験の差ってやつなのかね。

 

■後半

 こんだけ点が取れないならドンチッチにポストアップでもさせりゃいいのに、なんて思っていたら初っ端からポストアップを仕掛け始めました。そこからのシンプルなパスでカイリーがキャッチ&3、これを決めます。でもってカイリー&ギャフォードのミスマッチが成立、ギャフォードにパスしてここを押し込みます。その上トランジションになれば好調にシュートを決め続けるカイリーでした。第3QはFG 8/8。前半の1/6は何だったんだ。

 ドンチッチのポストアップに切り替えたことは、ある意味クリッパーズとしては狙い通りなんだろうけど、ドンチッチ自身が正面から仕掛けるよりはやりやすくなったからか、第2Qよりも点が取れました。まあそんなのどうでもいいぐらいカイリーが点を取ったんだけどね。第3Qに34点取ったマブスですが、この内9点がドンチッチ、カイリーが20点を取りました。最初からやってくれよって思うけどね。

 また、この時間はライブリーを出さず、クリバーのワンビッグを仕掛ける時間もありました。当然ズバッツがポストアップをクリバーに仕掛けて、決めたり決めなかったり。ギャフォードに対しても決めたり決めなかったり。なんだよそれ。

 びっくりするぐらいいつも通りのマブスに戻った後半でした。第4Qもスクリーンからミスマッチは作れるわ、そこからのステップバックも決まるわ。それっていうのがラスがいる時間、というかコフィ―&マンがいない時間だからかと思ったら、その二人がいる時間もミスマッチアタック出来ていたんだよね。よく分からない。まあ点差が離れていたから、スイッチした時の対ドンチッチにズバッツがどれだけ頑張れるのか見たかったのかな。結果的にはやっぱりキツイって感じだったけど。

前半 30対56(クリッパーズ26点リード)

後半 67対53(マブス14点リード)

 前半は攻守に作戦がハマりまくり、その上でシュートも決まりに決まったクリッパーズ。でも、あんだけ決まって110点に行かなかったっていうのも変な話な気がします。明確にポール・ジョージのところはPJが止められていたので、そこが響いたような。

ポール・ジョージ 22PTS 6REB 3AST

 これまでのプレーオフシリーズを見て、今日ほどプレーオフPだと思ったことはないんですが、FG 40%なんだね。凄く微妙。まあドライブはPJどころか、ドンチッチにもカイリーにも止められていたしね。その割にタフなスリーをスパスパ決めて、ワイドオープンは決まらないとか、よく分からない選手だね。

イビツァ・ズバッツ 20PTS 15REB

テレンス・マン 13PTS 9REB 3AST

 ここにコフィ―も加えて、文句なしの活躍をしたクリッパーズの若手集団でした。ズバッツはプレーオフキャリアハイの20得点。そしてマンはズバッツと並んで4OREB、おまけに3P 3/3と大きく貢献していました。

 でもってマンとコフィ―はスクリーン対応でマブスを苦しませていたので、ここはゲーム2の課題になると思います。この二人がいる時はドンチッチのポストアップを起点にするのかな。個人的にはラスがいる時間の方がいつものマブスっぽいプレーが出来ていたんだけど、突然ボールを掻っ攫っていく恐怖があるから、それはそれで嫌な気もするんだよね。ザ・理不尽。しかしコフィ―は成長したね。プレーオフの試合をベンチから眺めていたあの頃から、今となってはカワイの代役だ。

 あとはズバッツをどうするかって話。ギャフォードが後半ポストアップでシュートを落とさせていたけど、ぶっちゃけディフェンス以前にオフェンスでアドバンテージを作れないなら出す必要がない気がします。それはライブリーも一緒だけど、意外とハーデンとかとの1on1で粘れていたのが好印象。そんでもってチーム2番目のプラスになったクリバーね。こんだけビッグマン補強して、一番アドバンテージ取れたのがクリバーかい。

 あとJGが第4Qに出てきて活躍していました。なんでそれまで出さなかったのかは知らないけど、コンディション的な問題なのかな? ラスのようにダブルチームを仕掛けてはターンオーバーを誘発させて、トランジションに持ち込めていたので、ここはゲーム2でも使いたいところだと思います。

 まあ苦しいよね。マンとコフィ―、ズバッツがあんなにミスマッチを消せるとは思わなかった。逆にここのディフェンスに答えを出せれば、あとはトランジション勝負になるんじゃないかなーと思います。まあ結局、どうなるかは分からないってことだ。

【PI-1】プレーイントーナメント雑感(ウェスト)

 

 ちょうど夜勤と被ったのでリアタイでプレーインの一回戦を見られました。ということでその感想を軽く纏めてみようと思います。ちなみにイーストの方はほぼ寝ていたので、書くか分かりません。

 

■ウォリアーズVSキングス

 一番面白かった気もするし、つまらなかった気もする。昨年のファーストラウンドで対戦したカードです。長らく続いた谷の時期を抜けたものの、サボニスを中心にしたオフェンスの問題を突っつき回されたことで敗北を喫し、プレーオフを勝ち抜くには色々と足りなかったキングス。対するウォリアーズは、元祖ビッグスリークリス・ポールを加えて優勝を狙いに行きました。

 個人的にウォリアーズはカリー以外の契約をトレードなりで減額なりで処理して、若手中心の再建に舵を切った方が良いと思っているんですが、このビッグスリーで優勝を狙いたいって思うのもまあそうだよなーと理解は出来ます。なにせ他に前例がないほど勝ちまくり、歴代でも数少ない「王朝」と呼ばれるチームを作った、いや作ってしまったんだから。いつかは再建しなければならないことぐらいフロントも当然分かっているんだろうけど、いつ再建に踏み出すかっていう判断が難しい。少なくとも2010年代後半のようなチームを作るにはビッグスリーのサラリーは高くなりすぎたし、それを支えた層の厚いベンチメンバーも今は若手ばかりだし。21-22シーズンに優勝した時は健康なオットー・ポーター・ジュニアをミニマムで、エリートロールプレイヤーになったアンドリュー・ウィギンスをそこそこの契約で使えたっていうのがあまりに大きかった。

クレイ・トンプソン 0PTS 4REB 1AST

 その層の薄さを露呈したような試合に感じました。絶不調のクレイの代役になれる選手を用意できなかったというのが、この負けに繋がったように思います。でもモーゼス・ムーディーがベンチから16点も取っているんだよね。そう考えれば準備は出来ているのに、ビッグスリーに拘り過ぎたティーブ・カーの采配負けだったようにも思います。

 じゃあキングスの采配が良かったのかっていうと、別にそうも感じませんでした。というかプレーインみたいな一発勝負で采配の良し悪しなんて、ぶっちゃけあんまり関係ないと思います。選手のその日のシュートタッチっていう要素だけで、結果なんて簡単に覆っちゃうんだから。ただベンチの層だとか、戦術だとかをシーズン中に準備出来ていたかっていうのは大いに関係あるし、それが出来ていたからキングスは勝てたってことだと思います。

キーガン・マレー 32PTS 9REB

 キングスの最初のオフェンスは、サボニスのスクリーンからオフボールでマレーにスリーを打たせるというものでした。これがこの試合の全てだったんじゃないかな。

 前回のプレーオフでウォリアーズはサボニスに対して離して守ることを徹底しました。これによってゴール下のカットを封じ、サボニスに得意ではないアウトサイドからのシュートを誘導することで負けたわけです。で、ウォリアーズも初っ端からサボニスに対してはその守り方を仕掛けていました。

 マレーのスリーっていうのはそのアンサー。サボニスに対して引いて守るということは、サボニスのスクリーン付きのマレーを一人で追いかけないといけないってこと。優秀なディフェンダーなら一回のスクリーン程度なら躱せるけど、サボニスがしつこくスクリーンを掛けることでいずれ決定的なオープンショットのチャンスが生まれます。でもこれって、前回ケビン・ハーターがやってなかったっけ? やりまくって外しまくっていたような気がします。でもってそのハーターが離脱しているキングス。

 ここが準備出来ているって部分だよね。ルーキーシーズンのマレーは基本的にスポットアップシューターでしたが、今シーズンはオフボールで動いて打つことも増えてきました。これをレギュラーシーズンを使って当たり前に出来るようになったわけですが、もしキングスがマレーをオフボールシューターにしていなかったら、ハーターが不在で誰がシュータームーブやるの? ってなっていたと思います。恐らくプレーオフで絶不調だったハーターを見て代役となれるシューターの準備に取り掛かったんだと思いますが、それが見事にハマりました。

 スクリーン→スリーが入ることで、ウォリアーズ側としてはシューターに打たせたくなくなるわけですが、そうなるとディフェンスが出来るのはブリッツやファイトオーバーになってきます。そしたら待ってましたと言わんばかりにスクリーンからサボニスがダイブして、数的有利を活かしてコーナーにパスを捌き、自分でアタックしました。こうなるともうどこかを捨てなければならなくなるウォリアーズなので苦しかった。

 一方でこの戦術が機能するのはスクリーンを貰ったシューターがスリーを決め続けるから。だからシューターが外し続ければキングスだって苦しいわけです。その苦しい時間に繋いだのが昨年のクラッチ・オブ・ザ・イヤーのフォックスでした。

フォックス 24PTS 4REB 6AST

 決して効率が良いとは言えないものの、エースの仕事は充分果たしたと思います。ぶっちゃけキングスはマレーのスリーが入らなかったら、早々にフォックス頼みになっていたと思うので、言ってしまえばオフェンスの戦術なんてそれしかなかったわけです。だから鮮やかな采配だったとは毛ほども思わない。ただスリーが入った後の展開をちゃんと用意して、選手に戦術を実行出来るだけの能力を身につけさせ、選手は応えた。それがマリク・モンクやケビン・ハーター不在でも勝ち切れた要因だと思います。

 で、この試合を「マレーのスリーが決まっただけ」にしてしまったウォリアーズ。スクリーンに対して鮮やかに抜け出すキーオン・エリスにスプラッシュブラザーズは苦しみまくりました。

カリー 22PTS 4REB 2AST

 針の穴に糸を通すかのようにしてオフボールで走り回りました。そこから決してフリーとは言えないような距離感でスリーを打ち、捻じ込んだカリー。パスを貰うのに糸を通し、そこからシュートを捻じ込むにまた糸を通し、みたいな感じでした。正真正銘の怪物。で、カリーは怪物になれたけどクレイはなれなかった。その代役を準備することも出来なかった。

 普通のプレーオフラウンドならどうなっていたか分からない対戦だったと思います。ただこれが一発勝負のプレーインの恐ろしさだと感じる内容でした。

 

ペリカンズVSレイカーズ

 プレーインを勝つ為に大切なことが「シーズン中にどれだけ準備出来ていたか」ということだとすると、ペリカンズ以上のチームはいないかもしれません。管理人が今シーズンの優勝候補筆頭だと思っているペリカンズは、主力の怪我が多いチームということもあって、出場機会を得られた若手たちが地道に育ちました。そしてその強さはザイオンイングラム、CJがいなくてもそこそこ戦えるレベルにまで引き上げられています。マブスも負けたしね。今シーズンのペリカンズは、

主力選手のオプション化

 これがハッキリしているように思います。ザイオンイングラム、CJの為にチームを作るんじゃなくて、その三人がチームにどう溶け込めるかを考えているイメージです。「ずっと怪我するんだったら、置いてっちゃうよ」とでも言いたげに見えるロールプレイヤーたち。そう見えるほどペリカンズのロールプレイヤーは輝いて見えました。

 管理人は複数のスター選手に大金を掛けるビッグ〇〇っていうチーム作りは否定的ですが、こういうチーム作りが出来るなら、主力選手にサラリーが偏っても成功しやすいよね。例えばマブスはドンチッチがコートにいる前提で作っているけど、ペリカンズはある意味ビッグスリーがいない前提で作っているようにも見えます。だから主力が一人二人抜けようが、あるいは全員いなくても戦える。それだけロールプレイヤーの質が高いってことです。サンズみたいなのはダメってこと。

 だから、なんでここまで順位が落ちているのか分からないんだよね。管理人が見たペリカンズの試合って大体勝っているので。そしてその理由の一端を知ることが出来たように思います。

 試合は完全にレブロンザイオンの形でした。レブロンのゲームメイク力でオフェンスを作るレイカーズに対し、ザイオンの突破力でオフェンスを作るペリカンズ。苦しかったのはレイカーズでした。ペリカンズ側がインサイドを固く守る為、ゴール下のシュートを打たせてくれません。

AD 20PTS 15REB

 FGが6/16で37.5%と、それでもビッグマンかってぐらいにシュートを外しました。その分フリースローで稼いだので20点には乗りました。何気にロングレンジのシュートを打っていなかったのが印象的で、ゴール下から逃げなかったことは大いに評価出来ます。

 そんなレイカーズだったのでインサイドからパスを出せず、ワイドオープンを作れませんでした。ただそこで光ったのがレブロンのパス。ディフェンスの僅かな揺らぎを見逃さずにパスを出し、スリーを打たせました。

レブロン 20PTS 9REB 9AST

 ペリカンズはリーグ屈指のディフェンスチームなので、インサイドを固めながらもしっかりシューターを追いかけてきて、そう簡単にスリーを打たせてくれません。ただオフボールで動くディアンジェロにパスを捌き、スリーをきっちり決めました。ぶっちゃけ第1Qはディアンジェロがスリーを決めなかったら完全に終わっていたと思います。

 対するペリカンズはザイオンの突破力で余裕のオフェンス。ディフェンダーが何人いようが、ドライブすれば関係なく点を決めるしパスも捌く。だからどうしようもない感じでした。

 しかし第2Qになると急に失速するペリカンズオフェンス。レイカーズインサイドを重点的に守るようになったことで、インサイドで点を取りたいペリカンズはターンオーバーを連発します。それに対してCJのシュータームーブで応えようとしたペリカンズでしたが、ここを外しまくります。決まらないからレイカーズインサイドを固め続けるし、ザイオンも苦しくなってきます。

前半レイカーズ 3P 10/20

前半ペリカンズ 3P 4/16

 これにカウンターの得点も加わって大逆転を喫したペリカンズでした。レイカーズからすれば楽なもんだよね。ディフェンスして走れば勝手に点差が縮まっていくんだから。ディフェンス面も加味して、ここでCJを下げるっていう選択肢はあったんだけどそれはしなかったペリカンズでした。まあ第2Q開始時点では大量リードしていたから、今のうちに調子を取り戻してくれればいいな、って感じだったのかね。それで万が一ダメでも、ペリカンズはその程度じゃ揺るがない層の厚さがあるので、この時間が長かったことについてはまあ肯定的に見れます。

イングラム 11PTS 4REB 4AST

CJ 9PTS 3REB 6AST

 肯定的に見れたんだけどね。第3QにもCJとイングラムを使い続けたグリーンでした。で、また大量リードを許します。その二人を下げてザイオン+ベンチの形にすると一瞬で追いつきます。

 CJのシュータームーブでインサイドをこじ開けるっていう狙いは間違っていなかったと思う管理人。ただ思うように決まらなかったし、それはしょうがないと割り切るしかない。でもそれで済ませられないのが一発勝負のプレーインなわけです。他にシューターがいなかったならしょうがないんだけど、ペリカンズにはマット・ライアンとジョーダン・ホーキンスというシューターがいます。もしロスターにこの二人がいなかったとしたらCJを使い続けることに疑問はないんだけど、いるのに使わないってどういうことだよ。

 そしてイングラムに何をさせたかったのかもよく分からなかった。まあこれはこの試合っていうより、シーズン通しての話なんだけど。第3Qのイングラムはドライブしてはゴール下に侵入出来ず、ミドルレンジを打っては外しました。怪我明けで調子が戻っていない感じはありましたが、じゃあ出すなよって思うわけです。「出すなよ」が出来るベンチの厚さもあるんだし。

層の厚さを活かせなかった采配

 ウィリー・グリーンは今シーズン最も魅力的なチームを作ったと思っています。コーチ・オブ・ザ・イヤーにはマーク・ディグノートが選ばれましたが、「ウィリー・グリーン一択っしょ(笑)」ぐらいに思っていた管理人。しかし今は、今すぐにでもペリカンズはHCを変えるべきだ! と思っています。あれだけレギュラーシーズンに色々と準備してきて、最後の最後で全部ザイオンかよ。

ザイオン 40PTS 11REB 5AST

 ペリカンズのオフェンスがザイオンの突破に偏ったことで、もっとインサイドを固くしたレイカーズでしたが、それでも決めきったザイオン。目の前に3人ディフェンダーがいても正面突破で捻じ込むこともありました。カリーも中々だったけど、今日のザイオンインパクトは超えられないね。

 最終的に足を痛め、最後はコートに立てなかったんですが、当たり前だって感じだよね。レイカーズのゴリゴリディフェンダーの肉壁に何度も突っ込んで、無理やり押しのけようとしたんだから。ザイオン頼りになるほどその壁は増えるし。それこそサボニスのスクリーン→ダイブみたいにインサイドをこじ開ける方法なんて幾らでもあるし、何なら怪我するちょっと前ぐらいからやっているんだよね。どうしてそれを第3Qにやらなかったんだ。ザイオンの怪我は起こるべくして起こったように思う管理人でした。

 

 ということで明日はキングス対ペリカンズです。どっちが勝つかは分からない。とりあえずペリカンズは今日中にHCを解雇出来るかが勝負です。でもザイオンがいたからザイオン頼りになってしまったような気もするので、案外彼が離脱する明日の試合では良い采配をするのかな。大した根拠はないけど、なんだかんだでペリカンズが勝つと思っています。逆にここで勝てなかったら冗談抜きにウィリー・グリーンの首はちょっと怪しくなるよね。

【雑談】宙に浮くジョシュ・グリーン-4

 

 オールスター明けからディフェンスのアイデンティティを喪失しつつある今シーズンのJG。でも、

オールスター後 クリバー&JG 120.3/110.7

 オールスター以降でもクリバーと並べれば問題なく守れています。だからディフェンスの問題っていうのは起用法でどうにでもなる事なんだよね。

 長々とJGのディフェンスについて書いてきましたが、それとは比にならないぐらいオフェンス面での問題の方が大きいと思っている管理人。それって何なのって話ですが、実はこのシリーズの端々に布石はあります。オフェンスの問題なのに、ディフェンスの話の中に答えがあるっていうね。

www.youtube.com

 このシリーズの最初に載せた動画の、7分20秒のところからのシーンを通して見ていると気づくかもしれません。JGのディフェンスハイライトがもう一つあったんだけど、圧倒的にこっちの方が今回の主題に合っていたので、この動画を選びました。

 ところで、こうしてブログを書いているとどうしても映像で語りたい部分っていうのが出てきます。言語化するにも限界はあるし、何より楽だしね。でもYouTubeに転がっているハイライト集は管理人的にはクソの役にも立たない。そう考えると自分で試合映像を切り抜くのが一番良いんだけど、お金掛かるからな。

 試合鑑賞に金を払う分には趣味だからってことで割り切れるけど、映像の利用料にお金を掛けると、どうしても収益化する方法を考えてしまいます。それはちょっと嫌なんだよね。このブログは完全に趣味で始めたことだし、多くの人に見られたいわけでもないし。本当に色んな人に見られたいんだったら、わざわざ「マブスファン」ってコンテンツを限定するのは足枷でしかないし。ということで、今後も映像を自分で切り抜いたりはしないだろうし、収益化もしないと思います。

 

 はい。これで充分行間を稼げたと思うので、答え合わせ。

 7分20秒からの映像を通して見ると、トランジションディフェンスの時にJGが一番戻りが遅いことに気づくのではないでしょうか。今シーズンのJGに見慣れた管理人にとっては鳥肌が立つような違和感がありました。なんで戻りが遅いのかって話ですが、率直に言うと、

オフェンスリバウンドに参加している

 ってことです。逆に今シーズンのJGは、オフェンスリバウンドに参加しない代わりにトランジションでいち早くゴールに戻るようにしています。

JG OREB(/36分)

20-21 2.3

21-22 1.8

22-23 1.3

23-24 1.0

 綺麗な右肩下がりだ。21-22シーズンの36分換算でのOREBは、ガードの選手としては322人中28位とかなりの強さを誇っています。それが22-23シーズンには全ガード274人中62位、今シーズンは289人中124位。

 JGの魅力が何かと聞かれた時、管理人はシュートでもディフェンスでもなくオフェンスリバウンドと答えます。コーナーからリバウンダーの隙間に飛び込み、高さではなく速さでボールを掻っ攫う勘が魅力的です。これが出来る選手と出来ない選手っていうのがいるんだけど、いまいちその差が何なのか分からない。スピードとか観察力とかは当然あるとして、やっぱりどこにボールが落ちるかっていう勘が必要なのかな。

 ただそのリバウンド能力が今シーズンは随分と息を潜めています。元々リーグ屈指のオフェンスリバウンダーだったのが、いつのまにやら普通程度に。ちなみにルーキーシーズンの2.3っていうのはガード279人中8位でした。じゃあなんでOREBに絡まなくなったのかっていう話。それはさっき触れたように、今シーズンのJGはオフェンスでシュートが外れた時、トランジションディフェンスでいち早く戻っているからです。

マブスOPP FBP 15.7(リーグ26位)

 ファストブレイクからの失点が多いマブスなので、トランジションディフェンスっていうのは大きな課題。なのでJGに戻ってもらうっていうのは一見筋が通っているように見えるんだけど、ちょっとおかしな話なんだよね。

OPP FBP(/48分)

JGオンコート 15.8

JGオフコート 15.7

 だって、いてもいなくても変わらないんだよね。あれだけ献身的に戻っているのに。ちょっと21-22シーズンの数字と比較してみましょう。

マブスOPP FBP 11.9(リーグ12位)

JGオンコート 11.1

JGオフコート 12.2

 このシーズンはJGがいるとファストブレイクでの失点を抑えられました。全体的に失点が少ない理由はペースの遅さの影響が大きいとは思うんだけど、興味深いのが、

21-22シーズン ペース 

JGオンコート 100.49

JGオフコート 95.16

 JGがいる時間は寧ろペースが早いチームだったということ。100.49という数字をそのまま当てはめると、リーグ7位のペースです。ちなみに95.16は当然のようにリーグ最下位。だからJGがいるとペースは速くなるのに速攻の失点は減るっていう、不思議な数字です。

 それを成立させていたのは、やっぱりオフェンスリバウンド。ハイライトを見て分かるように、21-22シーズンのJGはコーナー待機していたのは変わらないけど、OREBに積極的に参加していました。OREBに絡まれると、ディフェンス側としては安心してリバウンドの確保が出来ないので、それだけリム周りに人数を掛けなければならなくなります。するとリムランナーの数が減るし、リバウンドを確保してからの動き出しも遅くなるので、間接的に速攻を防ぐことに繋がります。

 だから速攻を防ぐという観点から、早く戻ることとリバウンドに絡むことは重要な要素になります。ここでOREBに絡むのがガードだと、仮にリバウンドを奪えなくても、そのままリバウンダーにオールコートディフェンスを仕掛けることが出来る利点もあるので、そういう意味でもJGの能力は輝いていました。

 顕著に表れていたのは、21-22シーズンの3/5のキングス戦。この試合はJGがキャリアハイの6OREBを記録した試合で、ドンチッチ不在の中で苦しみながら勝ち切った試合でもあるのでたまーに見返しています。JGがほぼ毎ポゼッションのようにOREBに絡みに行っているのが印象的です。

 今シーズンのJGはそもそもOREBに絡みに行ってない。ファストブレイクでほぼ毎回先頭を走るので、味方が外した時に拾うことはあるけど、ハーフコートで絡みに行くことは全くと言っていいほどありません。その分ディフェンスに戻っているんですが、これってつまるところトランジションディフェンスで味方が戻ってくれないってことだよね。

 以前はJGがどれだけOREBに絡みに行っても、相手が走り出す時には3~4人がディフェンスに戻っていました。だから気にせずOREBに絡みに行けたし、JGが絡みに行くから落ち着いて戻れた側面もあります。でも今シーズンはディフェンスで戻ることを求められたJG。走力があるので基本的にDREBを確保してからの速攻で後れを取ることはありませんが、残念なのが追いついたところで止めきる能力がないってこと。DJJのようにチェイスダウンブロックは出来ないから。そういった事情が今シーズンのオン/オフコートでOPP FBPが変わらないっていう風に表れているような気がします。そこに拍車を掛けるようにギャフォードが現れて、OREB役をする必要すらもなくなりました。

 

■未来はあるのか

 ウィングに平面での運動量を求めたキッドによって、自身の能力を最大限に発揮した21-22シーズンのJG。そこからの今シーズン、運動量を活かしたヘルプ&ローテに、リーグ屈指のリバウンド力という武器すら奪われたJG。その二つがなくなったJGを率直に評価すると「ただのコーナーシューター」って感じです。

 この武器が奪われたっていう部分はロスター構成的に「JGの得意だったことが必要なくなった」という、本人にはどうしようもない部分です。ここは本当にお気の毒にって感じ。ただ得意なものを取り除いた時にシュート力しか武器がなかったのはJG本人の問題でもあります。ぶっちゃけ今の路線でチーム作りを進めるならJGをトレードに出して、ウィングなり指名権なりと交換する方が良いと思います。一人でチームディフェンスしてくれるような選手なので、ディフェンスで困っているペイサーズクリッパーズとかには需要ありそうだけどね。

 ただJGを残すのであれば、あれこれと頭を悩ませる必要が出てきます。

 付け焼刃の対策としてはギャフォードと組ませないこと。もっと言うとハードワーク出来るウィングと組ませること。要は「あの頃のマブスに戻す」ってことだ。ただ現状のロスターだとクリバー以外はちょっと……って感じです。何気に21-22シーズンのマブスってJGにとっては天国みたいなチームだったように思います。

 もうひとつはJG自身がレベルアップすること。そもそも対人ディフェンスに問題がなければ、現状でもDEFレーティングが悪くはならなかったはずだから。でも対人ディフェンスに特化した育成のメソッドとかってあるのかね。それに素人目にはちゃんとハンドラーに追いついているし、ディフレクション出来ないにしてもちゃんと手は伸ばしているし、悪い守り方をしているようには見えないんだけどね。まあちょっと思うのは、今の守り方をあと5センチでも長いウィングスパンで出来ていれば違ったのかなって感じです。だから腕が短いけどグッド・ディフェンダーなジミー・バトラーとかとワークアウト出来たら何か変わるのかなーと少し思いました。

 そしてオフェンス面。シュート能力に関しては両コーナーから37%以上の確率で決めているし、ちょっと驚いたけど、ウィングからのスリーは40%を超えています。トップ以外ならどこでも高確率で決められるJG。だけど試合中に打てるコーナースリーの数なんて限られるので、

コーナー以外の3PAを増やす

 という必要性を感じています。これが出来るかどうかがコーナー専門のシューターかそうじゃないかの分水嶺、もっと言うと平均得点が二桁になるかどうかの分水嶺になると思います。

 そしてコーナー以外でスリーを打つのに必要なのがスクリーン。一番分かりやすい動きがゴーストスクリーンですが、これもしっかりスクリーンでディフェンダーを剥がすことが出来て初めて生きる戦術なので、スクリーンを掛けきる技術っていうのは必須になってきます。これはドードーが得意としていたプレー。

 ただ、ここもちょっと怪しいと思っている管理人。JGは結構スクリーンで足が動きがちで、ファイトオーバーで守ることをあんまり苦にされていないし、無理やり剥がそうと体を寄せ過ぎてイリーガルスクリーンになることがしばしばあります。パワーが足りないってことだ。そりゃガードの選手だしね。逆にTHJとかはなんであんなにスクリーンが重たいのか分からない。スクリーンをしっかり掛けきるには体重アップが必要になりそうですが、そうなると次に心配になるのが怪我。ただでさえハードに動き回るプレースタイルだし、今の時点でも割と怪我で纏まった期間休む選手だし。

 うーん。そうなると、ここが限界なのかも……とかちょっと思うんだよね。昨年JGにハンドラーをやらせるみたいな話がありましたが、あれは彼のキャリアを考えると良い選択だなーって感じでしたが、結局やらせていない。ちなみにハンドラーをやらせていた時は「視野は広いけど、適切に判断するスピードがちょっと足りない」って感じでした。慣れれば解決しそうだったし、今シーズンもちょっとだけやらせていたから、そこんところをマブスがどう評価しているのかは気になります。

 

 二月以降のマブスは24勝10敗と、チームとして大変好調でした。その陰でひっそりと存在感を失くしているJG。サンダー戦でJGが怪我をして、復帰までの間に11勝1敗だったっていうのもそれに拍車を掛けています。

 今のマブスにおいて、JGの存在っていうのは宙に浮いています。ウィングの負担をセンターが部分的に解消したことでTHJはディフェンスで復活したけど、JGはながーい低調に。クリバーのワンビッグだと輝きを取り戻すんだけど、それだってずっと使い続けているわけじゃないし。完全に持て余しています。

 JGが再び地に足をつける為に必要なのは、チーム構成の刷新か、本人のデベロップメントか。それが出来ないならトレードだ。幸いチームディフェンスを重視するチームにはハマるディフェンダーだし、契約金も高くない、おまけに若い選手なので売りやすいしそれなりに対価を見込めそうです。勿論マブスにとっては貴重な生え抜き選手だし、個人的に好きな選手っていうのもあって、どうにかコーチ陣には再びJGがかつての輝きを取り戻せるように考えて欲しいと思っています。パウエルをポイントセンターにしたようにさ。

【雑談】宙に浮くジョシュ・グリーン-3

 

 21-22、22-23シーズンで一貫して「いるとオフェンスがちょっと苦しいけど、ディフェンスが劇的に改善する」JGでしたが、今シーズンは印象の違う数字を残しています。改めて、

23-24シーズン OFF/DEFレーティング

チーム 117.8/114.8

JG 118.2/118.7

 JGがコートにいると守れないという数字に。なんじゃそりゃ。

DEFレーティング

オールスター前 チーム/JG 116.2/116.7

オールスター後 チーム/JG 112.1/125.6

 オールスター後、マブスは劇的にDEFレーティングを改善させました。それとは対照的に、オールスター後のJGは強烈にDEFレーティングを悪化させています。ちょっと洒落にならない悪さ。オールスター後ということで、要因は間違いなくトレード効果なんですが、そもそもオールスター前からDEFレーティングがJG>チームになっていることも気になります。

 

■今シーズンのJG

 シーズン開幕から10試合いかないぐらいの時は、チーム全体としてディフェンスのやる気がないって感じの立ち上がりだったマブス。そこからインサイドを固めてスリーを打たせる、というか打たれるディフェンスをしていました。

チーム DEFレーティング

10月 111.9

11月 118.5

12月 116.0

1月 120.4

2月 111.3

3月 112.1

 こう見ると本当にトレードを境に改善したって感じです。12月に一度レーティングがぐっと下がっているんですが、この月はカイリーが怪我で離脱していて、エクサムが31.1分起用されていた月なので、その影響かな。対して、

JG DEFレーティング

10月 115.9

11月 118.4

12月 118.2

1月 118.3

2月 115.8

3月 129.8

 3月の数字が目を引きますが、全体的に見てJGがレーティングを改善させているのが1月しかありません。1月はクリバーが本格的にプレーし始めた月か。つまりそういう事です。

JG以外にハードワーカーがいなかった

 プレーオフでゴベアが幾ら頑張ったって守れなかったジャズと同じように、JGが幾ら頑張ってもどうしようもなかった。時折JG以外ディフェンスをしているのか分からないみたいなポゼッションもあったりしたし。11/20のキングス戦や1/14のペリカンズ戦なんかは見ていて可哀相でしかなかった。時に逆サイドのコーナーまでシューターを追いかけに行かされることもあったり。

 ヘルプ&ローテの主にローテ役として動き回っていたJG。それ自体は問題ないんだけど、ここで特にシーズン前半に多かったライブリー&DJJ&ドンチッチの連携不足なインサイドディフェンスとリンクして大問題になっていたわけです。この時のJGは一人で二人以上のシューターを守るのが当たり前になっていました。それだけインサイドに人数を割けるはずなのに簡単に侵入されてはキックアウトパスを出されるし、THJは追いかけないし。ぶっちゃけキレても何の文句も言えないぐらいにチーム全体のハードワークが足りませんでした。じゃあJGに何の落ち度もないかと言われるとそうではない。

JG DIFF%

3P 1.4/3.5(+2.9%)

2P 3.4/6.2(+1.8%)

 DIFF%は共にプラスということで、シュートを落とさせることが出来ていません。ちなみに、

22-23 3P 1.1/2.8(+2.6%)

22-23 2P 3.0/5.3(+2.5%)

21-22 3P 0.6/1.8(-1.6%)

21-22 2P 1.8/3.5(+0.4%)

 ガードの選手なので2Pに対するDIFF%がプラスになるのはしょうがないんですが、3PのDIFF%がプラスなのはちょっといただけない。

マッチアップ

アンソニー・エドワーズ 16PTS 1AST 2TOV FG 6/11(54.5%)

ダイソン・ダニエルズ 4PTS 4AST 1TOV FG 2/3(66.7%)

タイアス・ジョーンズ 20PTS 8AST 1TOV FG 9/9(100%)

タイリース・マキシー 9PTS 3AST 2TOV FG 3/8(37.5%)

デビン・ブッカー 20PTS 3AST 1TOV FG 9/10(90%)

 これは今シーズンJGがマッチアップした選手を、マッチアップ時間の上位から並べたデータ。マキシー以外には効率よくシュートを決められています。タイアスとブッカー、特にタイアスに関しては8ASTも決められているので全く守れていません。

対人ディフェンスに難がある

 単純なスピードにはついていける印象ですが、そこからシュートを外させたり、パスを封じたりということは満足に出来ていません。ミドルレンジのシュートをドライブの駆け引きで積極的に使うタイプの選手には特に顕著で、デズモンド・ベインやジェイソン・テイタムにも80%以上の確率でシュートを決められています。なぜかブランソンだけはめちゃくちゃ抑えてるけど。悲しいのは、ちゃんとスピードにもついて行けるし、シュートチェックで手を伸ばしているということ。それってもう頑張ったって止められないってことじゃん。

 ぶっちゃけDIFF%の悪化は積極的にトランジションディフェンスに参加しているっていう部分の影響もありそうなのであまり気にしてもって感じではあります。ただJGの対人ディフェンスに問題があるっていうのは事実。だからJGが強気にヘルプディフェンスに行くのって、ドンチッチの為でもあり自分の為でもあったと思うんだよね。個人で守る能力の低さを補ってもらおうっていう。幸い強気にヘルプしても追いかけられる運動量はあるし。ただJGがマークマン捨てたら誰がローテーションしてくれるの? って状態だったからそれも出来なかった。

クリバー&JG 117.3/113.8

 JGにとってクリバーの存在は重要でした。彼は彼でどこにでも顔を出す選手なので、JGのヘルプが多少緩くてもクリバーがその強度を補ってくれます。

パウエル&JG 114.6/122.1

 こう見るとパウエルがプレーオフで干された理由もなんとなく分かるよね。

 

■オールスター明けのJG

ギャフォード&JG 102.5/123.9

 ギャフォードの加入によってマブスのディフェンスは改善しました。端的に言えばインサイドディフェンスをギャフォードのハードワークに任せて、他の選手がペリメーターを担当するって感じ。基本的なシステムは変わってないんだけど、比重が変わった。従来はインサイドを複数の選手の連携で止めようとして、連携出来なかったから守れなかったのに対し、今はギャフォード一人にインサイドを守ることを強いているようにも見えるほど、インサイドディフェンスの比重をギャフォードに委ねています。

 要はインサイドを守るのに連携の比重を減らして、コミュニケーションミスを避けようっていう話。ただ連携を減らすということは、ギャフォードにはその分広い範囲を動き回ることが求められます。それを一人で守るっていうのはゴベアでもない限り無理なので、実際にはPJと負担を分け合っています。ただPJはギャフォードがカバーしきれない時に動くサブのリムプロテクターみたいな仕事なので、やっぱり基本はインサイドをギャフォードのハードワークで守らせようとしています。でもってギャフォードはサイズの割にかなり動ける選手でした。

ギャフォード ディフェンス時平均速度 4.06

 今シーズン50試合以上出場したセンターの中で、59人中9位。出場試合数も考慮するとかなりのハードワーカーだと言えます。

THJ DEFレーティング

オールスター前 117.9

オールスター後 110.2

 でもってこの恩恵を特に受けたのがTHJでした。シーズン前半ではインサイドもアウトサイドも守るウィングディフェンダーの役割を任されたことで、どっちも守れないカスみたいなディフェンダーになっていましたが、ギャフォード加入によりインサイド仕事が減って役割が限定され、優秀な3Pディフェンダーに生まれ変わりました。

オールスター前 THJ DIFF%

3P 1.8/4.5(+3.2%)

2P 3.9/6.7(+3.7%)

オールスター後

3P 1.0/3.2(-4.8%)

2P 2.3/4.2(+0.3%)

 当分前の記事でTHJが今シーズンになって急にディフェンスの穴になったっていうのを書いたんですが、ここに対してきっちり答えを出しました。3Pを-4.8%っていうのは優秀そのものだし、何気に2Pが+0.3%なのが評価出来ます。「何も守れないディフェンダー」から「スリーはきっちり守れて、インサイドディフェンスもそこそこいけるマルチディフェンダー」に生まれ変わりました。

 それに対してJGはハードワークという強みをある種ギャフォードに奪われた形になりました。以前のように捨て身のヘルプをする必要はなくなったし、何よりドンチッチやカイリーがまともにディフェンスをし始めたから、動く必要すら段々と減っていきました。

JG ディフェンス時移動速度

10月 4.29

11月 4.51

12月 4.42

1月 4.59

2月 4.61

3月 4.29

 3月に入るとJGの移動速度がガクッと落ちました。ハードワークが売りの彼からハードワークを取り上げられたら何が残るのか。それの答え合わせをしているかのような3月でした。今となってはディフェンスの穴になっているようにさえ見えます。で、シリーズの冒頭に書いた「ヒート戦で注目していた部分」っていうのが、

ギャフォードとJGのハードワークを融合できるか

 っていうところでした。プレーオフで勝ち抜くにあたってギャフォードを狙うプレーっていうのは頻繁に起こるはずなので、ギャフォードがインサイドに留まれるように対策しなければなりません。そこでJGのヘルプディフェンスを活かせるんじゃないかと思っていました。ギャフォードをほんの数か月で今のレベルにまで引き上げたコーチ陣なので、JGの離脱中にその案を考えられるのではないかと期待していましたが、それはなかった。まあ案があったとしても怪我していたら練習が出来ないしね。

 ギャフォードとJGがいる時間のディフェンスが悪いっていうのはコーチ陣も把握しているらしく、オールスター明けからJG&クリバーの時間は1試合につき平均8.6分、JG&ギャフォードの時間は1試合につき6.8分です。恐らくプレーオフでもJGはなるべくクリバーとセットで出すのかなーと思っています。逆に言えばクリバーがきつい時間になるとJGもきつくなるわけだ。

 まあこの現象ってポジティブに見ることも出来るんだよね。特定の選手のレーティングが下がるってことは、それだけ付け入る隙が減ったってことだし。これがセスで起こると思っていたけど、その前にホーネッツに行っちゃったからな。チームディフェンス改善の憂き目に遭ったJGでした。

【雑談】宙に浮くジョシュ・グリーン-2

 

 リーグトップの運動量で積極的にヘルプディフェンスを仕掛けるJG。時に捨て身の特攻にも見えるほどにボールマンに迫りながら、キックアウトに対しては素早くローテーション出来ることが魅力的です。ということで、今回はJGのローテーションディフェンスの話。

 

 管理人はヘルプ&ローテっていう言葉をよく使うんですが、その理由はこの二つが切っても切り離せない関係だからです。優れたディフェンダーは1on1でもハンドラーに普段通りのオフェンスをさせないぐらいのプレッシャーを与えることが出来ますが、コートにいる5人がそういうディフェンダーのチームなんて早々ありません。それに嫌なディフェンダーはスクリーンで剥がすのが現代NBAの常識。そんでもって、困ったことにそういう「ディフェンスの穴」が大抵オフェンスエースなんだ。

 じゃあ一生そのディフェンスの穴を狙われ続けていいのかって言われるとそんなわけがないので、チームとしてはどうにか対策をしなければなりません。その対策っていうのがチームディフェンス、もっというとヘルプディフェンスなわけです。1on1で狙われると弱いディフェンダーでも1on2の状況なら数的有利で守れます。まあ1on2ってつまるところダブルチームなので、マークマンとの距離感を測って1.5にするか、1.8にするかって具合に調整するんだけど。要するヘルプディフェンスっていうのは、穴を塞ぐディフェンスということです。

 でもってダブルチームを仕掛けられたらオフェンスは成功っていうのもバスケの常識。世界最高のバスケリーグであるNBAなら尚更、例え僅かなヘルプディフェンスであってもフリーになった選手は見逃さないし、目の前にディフェンダーさえいなければ、そして時には目の前にディフェンダーがいても当然のようにスリーを打って決めてきます。ウォリアーズ戦のドンチッチ→PJのパスとかまさにそれ。クレイほぼ動いてなかったし。

 ヘルプディフェンスっていうのは「弱いディフェンダー」という穴を塞ぐと同時に、「ヘルプディフェンダーが見ていたマークマン」という穴を作るわけです。そこで必要になるのがローテーションディフェンス。ボールマンにディフェンスを仕掛けている選手たち以外が、自分のマークマンを捨ててその穴を埋めに走ります。そしたらまた穴が生まれるからローテーション、穴が生まれるからローテーション……というシチュエーションがチームディフェンスに優れたチームでは起こります。だからヘルプとローテは切っても切り離せない。ヘルプするからローテーションが必要になる。

 

■JGのローテーションディフェンス

 なんでここまで基本的なことを書いたかというと、それはJGが積極的にヘルプディフェンスを仕掛ける選手だから。ヘルプを仕掛けて少々ならマークマンの距離が空いても問題なく戻れるJGですが、ダブルチーム気味に仕掛ける事も多い。ということで穴を埋める代わりに、別の穴を作っています。だから必然的に別の選手がローテーションする必要があります。

 で、JGが本領発揮するのはこのローテーションディフェンスだと思っている管理人。JGが捨てたマークマンを他の誰かがローテーションで潰してくれている間、彼は必ずボールと同時にフロアバランスを見ています。それっていうのはフリーになっている選手がいないかどうかを確認しているわけです。同時にドライブした時、効率の良いゴール下でシュートを打たせないようヘルプにいけて、尚且つパスされた時に追いつけるポジションに移動します。ちょうどペイントエリアの線の辺り。で、実際にパスを出されたら即座に反応します。総じてJGのディフェンス能力が異質なところって

ディフェンスでの手数の多さ

 手数っていうか足数か。一回一回は強烈なヘルプディフェンスではないけど、味方と連携してしつこくプレッシャーを掛けてくるし、嫌がってパスで振り回そうとしても中々崩れてくれないし。それでまたボールが戻ってきたらヘルプしてくるし。これを時にワンポゼッションで複数仕掛けてくるのがJGの特徴。それを可能にするパスの予測能力、実際に追いつけるスピード、そして20分以上出場しても仕掛けられるスタミナ。要するに運動量です。これがディフェンスでJGが目立つ理由でもあります。ハンドラーについてると思ったらゴール下にいて、ゴール下にいると思ったら3Pラインにいて、みたいな。あらゆるところに顔を出すし、それだけボールがあるところに動いているから目立つわけだ。ちなみに管理人がJGの能力で一番ヤバいと思っているのはスタミナです。あんなに色々考えながら全力疾走なんて出来る気しないよ。

 だからJGっていうのは「弱いディフェンダー」という穴を埋めながら「捨てたマークマン」という穴を作り、「ローテしたディフェンダーが捨てたマークマン」という穴を埋める選手ということです。ワンセンテンスにするとよく分からんな。まあ一言でまとめるとするなら

現代ディフェンスの申し子

 って感じかな。ヘルプ&ローテが当たり前になった現代バスケで、これを忠実に実行出来る選手は優秀なディフェンダーと言って差し支えないと思います。ただこの能力を発揮する為の前提条件として「三人のディフェンダーがハードワークする」ことが求められます。残りの一人がディフェンスの穴だとした場合ね。全員守れるならオールスイッチの方が良い。

 だからJGの得意なチームディフェンスって、味方としては迷惑だよね。JGがヘルプしまくるからローテーションで走りまくらないといけないんだから。でもマブスの優秀なディフェンダー陣は、寧ろハードワークが真骨頂みたいな選手ばかりだったのでこれがハマりまくったわけです。

21-22シーズン OFF/DEFレーティング

オンコート 107.5/103.8

オフコート 112.9/109.6

 当時のマブスのOFF/DEFレーティングが112.5/109.1。DEFレーティングはリーグ7位と非常に良かったんですが、そこにJGが加わると劇的に向上します。103.8っていうのは当時だと1位のセルツと2.4も差をつけてぶっちぎりのトップ。ただオフェンス能力の問題でNETレーティングは変わらず。

21-22シーズン OFF/DEFレーティング

ドンチッチ 113.8/110.3

ドンチッチ&JG 110.9/104.8

 で、JGのディフェンス能力っていうのはドンチッチと相性が良かった。JGと並ぶとOFFレーティングは下がるものの、5.5もDEFレーティングが下がり、NETレーティングは大きなプラス。

 ドンチッチはサボりたがりなディフェンダーで、他の四人は彼の分までハードワークする必要があるんですが、ヘルプ&ローテ、言い換えるとハードワークに特化したディフェンダーであるJGがいるとその負担が解消されました。ところで、よく「ドンチッチがサボる」って話をするけど、具体的にいうとドンチッチがゴール下辺りに立って動かない時のことです。一応コーナー担当ってことになっているんですが、コーナーにパスが回ってからクローズアウトするので当然スリーを打たせてしまいます。まあジョシュ・オコギーみたいなシュート力のないコーナーシューターを担当させたり工夫はしている。じゃあ右も左も優秀なコーナーシューターだったらどうなのってなるとやっぱりきついです。そこを埋めてくれるJG。

 JGがハードワークを請け負ってくれることのメリットは、ドンチッチがゴール下に居座り続けられること。そしてドンチッチがゴール下に居座ることのメリットが主に二つ。ひとつはドンチッチがリバウンドを回収しやすいということ。リバウンドを回収してそのままトランジションオフェンスに繋げやすい。あと単純にドンチッチはリバウンド強いしね。スピード対応は苦手なものの、フィジカルが強くインサイドではクレバーに守れるドンチッチのディフェンスの強みを活かすという意味でも、彼の代わりにJGに動き回って貰うっていうのは理にかなっています。

 で、もうひとつのメリットはドンチッチがサボれるっていうこと。管理人はドンチッチがサボることは全く問題ないと思っていて、寧ろサボれるなら出来るだけサボって欲しいぐらいに思っています。ロケッツ時代のハーデンとかはめちゃくちゃサボっていましたが、そこでディフェンスの負担を強いてオフェンスが出来なくなったら、いよいよハーデンを使う意味って何? ってなるし。

 ディフェンスに弱点を抱えるエースがいるチームは、時としてゴールを守る以上にエースを守らなければならない事があります。オフェンスの流れを止めたくない時とか、エースがファウルトラブルになりそうな時とかね。それを可能にするのがヘルプディフェンスであり、JGはその「エースを守る」という点で文句なしの働きをしていました。ぶっちゃけ21-22シーズンのリーグ7位のディフェンスっていうのは出来過ぎなぐらい。半分より上なら問題ないと思っています。

 ゴール下に居座れるってことはそれだけ動き回らなくて済むってことなので、よりオフェンスでエネルギッシュに戦うことが出来ます。そんでもってこれはデータには出ない部分だけど、データ以上に大事だと思う管理人。ドンチッチは疲れるとパスもドライブもせずにプルアップで打ちまくり、そこからカウンターをよく貰うのでドンチッチのスタミナ管理は攻守に重要なファクター。

 そしてシュート力を大きく向上させた22-23シーズンは、

22-23シーズン OFF/DEFレーティング

チーム 115.9/116.1

JGオンコート 115.3/112.8

JGオフコート 114.6/116.4

 前シーズンから7.8もOFFレーティングを向上させました。DEFレーティングが9も上がっているんだけど、負け越しのシーズンで貴重なプラスのNETレーティングとなりました。このシーズンはハードワーク不足で守れなくなったシーズン。主にウッドのハードワークが足りなかったんですが、

ドンチッチ&ウッド&JG 121.1/107.2

 実はウッドとも相性が良かったJGでした。まあウッドがゴール下から動かなくていいならリムプロテクションがあるウィングっていうディフェンスの長所が活きるしね。これがあったからウッドと契約しても良かったと思っていたけど、まあ契約しなかったからといってそれを咎めるのも違う気はする。

ドンチッチ&JG 117.5/111.0 

 ドンチッチとJGの組み合わせだとこの通り。チームディフェンスの負担を請け負いながら、オフェンスでも貢献したことで負け越しチームとは思えないNETレーティングとなりました。ということでボックススタッツ以上に貢献しているJG。そこから同等レベルのシュート効率を残しているJGの今シーズンのレーティングは、

23-24シーズン OFF/DEFレーティング

チーム 117.8/114.8

JGオンコート 118.2/118.7

JGオフコート 116.0/110.6

 あれ?

ドンチッチ&JG 120.2/119.8

 あれ?

【雑談】宙に浮くジョシュ・グリーン

 

 JGについて書きたいことがあって記事をちょくちょく進めていると、今日のヒート戦で復帰しました。実に12試合ぶりの出場。その間マブスは11勝1敗と非常に好調で、今日の試合も無事勝ちました。ホントにケビン・ラブ以外は何事もなくって感じで、逆にヒートが心配になる試合でした。

 復帰したJGについてある懸念があった管理人。で、割とその懸念通りの動きをしていたので残念でした。JGが悪いのか、或いはロスター構成の問題かはちょっと難しいところなんだけどね。

 

■JGの特徴

 2020-21シーズンに一巡目で指名されて、4年目のシーズンを迎える23歳です。若いけどマブス歴は長い貴重な生え抜き選手。身体能力、特にスピードに優れたガードで、フィジカルもそれなりに強いので1〜3番ぐらいまでなら守れるディフェンダーです。

 21-22シーズンまではシュート力の低さからオフェンス面で起用を悩ませる選手でしたが、オフシーズンに修行を積んで22-23シーズン以降は高確率でスリーを決めています。

26.6MIN 8.5PTS 3.2REB 2.3AST

FG 3.2/6.6(49.3%) 3P 1.3/3.3(40.1%)

 得点以外はキャリアハイの数字を記録しています。この8.5点っていうのは25分以上出場している選手の中では183人中176位。得点力のある選手と言えないもののTS%は60.0%なので文句を言われる筋合いもないって感じです。

 まあちょっとでもマブスを見ている人ならJGの価値はここじゃないっていうのは分かると思います。彼の武器はコート上を常に走り続ける運動量。

平均移動速度 4.60

 この数字は20分以上出場している選手の中で248人中3位。ちなみに1位はバディ・ヒールド、2位はオビ・トッピン。ちなみにヒールドのオフェンス時の平均移動速度は5.18。そもそも5を超える選手が20分以上っていうフィルターだと6人しかいないのに、その中でもずば抜けている数字です。

ディフェンス時移動速度 4.52

 ディフェンス時の移動速度だと248人中1位になります。4.5を超えるのはJGと2位のキャム・レディッシュだけ。で、

AJローソン ディフェンス時移動速度 4.5

 30試合以上出場した選手というフィルターだと、1位がJG、2位がAJになる……はずだったんだけど、最近試合に出てきたジャスティン・ミナヤが30試合を超えたので、マブスの選手で2位と3位を独占しています。これは余談。

 そんなJGなので、彼がコートに立っている時にはよく目立ちます。特にシーズン序盤なんかはJG以外ディフェンスしているのか分からないぐらい。

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 ということでハイライトを引っ張ってきました。ほんとにこれが一番大変だ。半分はオフェンスハイライトで、ディフェンスもほぼスティール集なので部分的にしか使えないんですが、探してもJGのディフェンスハイライトがこれぐらいしかなかった。

 この動画の7分20秒のところからディフェンスのハイライトが始まります。彼の特徴が出ているのは7:37、8:15、8:25のポゼッション。7:37と8:15のポゼッションではヘルプディフェンスでボールマンにプレッシャーを掛けてスティールしています。そして8:25ではKDからの山なりのパスをインターセプト。まあこれはフランキーとTHJのダブルチームが良かったからパスが山なりになったんだけど。

 7:37と8:15のポゼッションで特徴的なのは、自分のマークマンを捨ててヘルプに行っているってこと。俗にいうオーバーヘルプなんですが、JGはこれを積極的に仕掛けるディフェンダーです。考えなしにこれをやってしまうと普通にパスを捌かれてオープンスリーになるので、ヘルプディフェンダーは自分のマークマンとヘルプの強度を天秤に掛けるバランス感覚が必要になるんですが、JGは結構大胆にマークマンを捨てて、ほぼダブルチームみたいになることが多いです。このハイライトで取り上げられている21-22シーズンは特に。

 そして8:25のポゼッション。トランジションのシチュエーションなので何とも言えないところはあるんですが、JGはこの時フロアバランス的にジェームズ・ジョンソンとジェームズ・ハーデンの二人を見なければならない場面でした。そしてKDの判断がアレだったのがほぼ全てなんですが、結果的に二人を一人で守ったことになります。

 

ディフェンダーとしてのJG

 JGはチームディフェンスに欠かせないヘルプ&ローテが実行出来るディフェンダーなのはハイライトからもある程度見て取れると思います。けど今時ヘルプ&ローテなんて全NBA選手に備わっている基本設定みたいなものなので、出来るだけじゃダメ。OGアヌノビーみたいにハンドラーがボールをキープ出来ないぐらいにプレッシャーを掛けられたり、ドレイモンド・グリーンみたいに次々にディフェンスの穴を埋める速さがあったり、バム・アデバヨみたいに広い範囲でプレッシャーを掛けたり。その最上級がジョナサン・アイザック

 で、JGはそこんとこどうなのって話です。ウィングスパンは207.6センチなので短いとは言わないまでも、武器と呼べるかどうかってぐらいなのもあって、シュートコンテストする為にはジャンプする必要があります。そんな頻繁に飛んでたら逆に格好のフリースローチャンスになるので、どちらかというとスティール系のディフェンスを仕掛けるJG。その割に今シーズンは0.8STLなので多いわけでもない。ぶっちゃけJGのヘルプディフェンスが怖いかって言われると、多分そんなに怖くないんだよね。ただここで見えてくるのがさっきのハイライトで取り上げたJGの特徴である「自分のマークマンを捨てる」ことと、「二人を一人で守る」こと。

 大胆にマークマンを捨てたように見えても、余程ピンポイントで速いパスじゃない限りあっさり戻ってしまうJG。「パスよりも速く動ける人間なんていない」っていうのは常識ですが、いるんだなここに。まあ正確には、パスが出されても受け手のアクションまでには追いつけるってところか。実際のボールよりも速く動いているわけではないので。

 それを可能にしているのがJGのパスコースを予測する能力です。精度の違いはあれど、これもNBA選手の標準装備。ドンチッチもパスカット上手いし、実際今シーズンは公式だと9位のスティール数だし。何気にルーキーシーズンから1STL切ったことないのか。

 そんでもってJGはパスコースを予測して、パスの受け手まで走って行ける運動量があります。パスコースを予測する能力は皆持っていても、実際にパスの先まで追いかけられるかどうかは話が変わってきます。なんとも皮肉な話だ。パスコースを読むのが上手いけど動かないドンチッチの方がスティールが多くて、パスコースを読めて尚且つ追いつけるJGの方がスティールが少ないっていう。スティールっていうスタッツの難しさを感じます。

マークマンを捨てても追いかけられる運動量が武器

 その為JGはしつこくヘルプディフェンスを仕掛けてきます。時にはワンポゼッションで複数回顔を見せることも。一回一回は怖くないとしても、何度も仕掛けられると嫌だろうね。これがJGの特徴……のひとつ。もうひとつの特徴については次の記事で。ネタバレすると運動量です。