あ♥@マブスファン

マブス専門NBAブログ(不定期)

【雑談】THJ、要る?-4

 

 出来れば残したい選手編、なんとまだ終わりません。次で最後になる予定です。

 

■ダンテ・エクサム

 2014年5位指名としてジャズに入団したガードは、左膝の怪我と、本人の能力面の問題で2021年からユーロリーグでプレーしていました。そこからのNBAカムバックシーズンなわけですが、元々評価されていたディフェンス力に併せて、ユーロリーグでの経験が活きたのか全体的に向上したオフェンス力で存在感を見せています。ディフェンスを観察してスピードとフィジカルで抜き去るドライブと、オフボールで動く味方に適切なパスを供給するPGっぷり。FG57.5%、AST/TOが3.2と、極めてミスが少なく堅実なPGと言えるでしょう。それに加えて、試投数は2.1本と多くないものの45.2%で決めているスリーは、ドンチッチの横に立つシューターとしても機能しています。

 ほんと、よく連れてきたね。ウィング兼ハンドラーっていう、多様性の塊みたな選手です。元のエクサムを全然知らないのですが、試合を見ている感じ、彼もグラントと同じく観察力のある選手っていう印象を受けました。ディフェンダーの動きから逆算してパスを貰える位置に動くとことかね。ただその引き出しの多さはグラント以上にあります。特にドンチッチがハンドラーで、エクサムがペイントエリア付近に立っている時のプレーに注目……って言いたいんだけど、YouTubeにあるハイライトとかには映っていませんでした。ってことでここはまた別の記事で紹介したいところです。また長くなりすぎるかもしれないし。

 エクサムが復帰したら、彼がボールを持っていない時、ペイントエリア付近で何をしているのか注目してみて欲しいです。ドンチッチがドライブするタイミングを見計らってコーナーに移動したりとか、プルアップでシュートを打ったらリバウンドの準備に入ったり、シューターの為にオフボールスクリーナーになったり……やっぱり長くなりそうだ。ですが、ここがエクサムの最も特徴的なプレーのように思えます。少なくとも今までのマブスにはいなかったタイプ。ユーロリーグでの修行を経て、ハンドラーもシューターも出来るようになったエクサム。しかしそれだけでは片付けたくない魅力がある選手です。ハンドラー兼シューターってだけならTHJもカイリーもハーディもセスもそうだ。

オフボールのプレーメイカ

 一番近いのはルーキーシーズンのケイド・カニングハムのような気がします。世代ぶっちぎりのNo.1選手と言われ続けた彼に並ぶエクサムが凄いのか、NBA経験もあるベテランPGと同じことがルーキーシーズンから出来たケイドが凄いのか分かりませんが。ちなみに今シーズンのケイドはハンドラー仕事が主で、ボールを持っている時間が長いのでちょっと違う。

 シューターであり、ハンドラーであり、ディフェンダーであり、オフボールでプレーメイクに関われると、ドンチッチの能力を引き出すことにも貢献してくれそうなエクサム。彼もパウエルと同じでドンチッチと並べたい仕事人なわけですが、懸念点はスリーの確率と怪我かな。さすがに3P成功率45.1%は出来過ぎな気がする。今シーズンを除いて、これまでのNBAキャリアで33.3%がキャリアハイで、平気で20%代の数字とか残している彼です。いくらユーロリーグで修行したからといって、ここに期待し過ぎると痛い目を見そうな気がしてならない。スリーを打つことだけがエクサムの仕事ではないものの、スペーシングに影響が出るレベルだとさすがに困ります。左膝の前十字靭帯断裂の過去も、過信をするのを躊躇ってしまいます。そもそも3ミリオンの選手なんだから、彼に何でもかんでも任せるのもちょっと違う気がする。オーストラリアコネクションってことで、JGに同じことが出来るように育てて欲しい。

 ところでって話なんですが、エクサムを見ると若手ハンドラーをユーロリーグで育てるっていうのは結構ありなんじゃないかと思っています。昨シーズンのハーディがGリーグじゃなくユーロリーグで経験を積んでいたら、どういう選手になっていたんだろう、とも思う管理人でした。

 

■セス・カリー

 兄のステフ・カリーに「最も苦手なディフェンダー」と言われたセス。現在マブスでNo.1のエリートディフェンダーであると同時に、出来れば残したい選手の中に入れるか相当悩んだセス。NBAを見始めたばかりの人は彼のサイズを見てそんなわけないだろと思うでしょう。というか実際そうなんだけど。

マブスのDEFレーティング 116.5

セス             104.2

 しかし数字の上ではこの通り。今シーズンぶっちぎりでDEFレーティングが良いミネソタが108.5なのを考えると、セスの104.2がいかにぶっ飛んだ数字か分かると思います。ちなみにセスは33/42試合に出場して、平均12.8分出ているからスモールサンプルと切り捨てるのも微妙なところ。

セスがいるとミネソタを遥かに超えるディフェンス力

 ではありません。こういう選手を見ると、数字って幾らでも自分にとって都合の良い使い方が出来るんだなと思います。

 セスのDEFレーティングが低い理由は幾つかありますが、一つは彼が主にベンチ出場の選手であるということ。スタメンだった試合がたったの3試合で、オフェンス能力が比較的低くなるベンチユニット同士の対決になるから、必然的にレーティングが低めに出やすくなるわけですね。

スタメン出場時のDEFレーティング 107.5 

ベンチ出場時のDEFレーティング  103.6

 思ったより低いな。ここだけ見れば、スタメン出場時でもミネソタよりは守れていることになります。ということでセスがスタメン出場した試合を調べてみたところ、全て12月のサンダー、グリズリーズレイカーズ戦でした。明確にオフェンス力がないチームはグリズリーズぐらいで、サンダーなんかは12月のOFFレーティングが119.5と物凄く高い。尚且つそのサンダー戦でのプレータイムが36分で、グリズリーズ戦のミニッツ+レイカーズ戦のミニッツよりも4分長い。セスって守れるのか?

 ということで本題ですがセスのDEFレーティングが低い、恐らく一番の理由は彼が3Pを守るのが非常に上手いから。3Pに対するDIFF%は驚異の-11.1%で、セスが3Pを守りに行った時、相手のシューターの3P%はなんと26.2%まで下がります。特にセスとマッチアップしたガードの3P成功数は10/46で21.7%、FGは31/82で37.8%です。ちなみにこれがフォワードになると3P成功数は5/13で38.5%、FGは24/40で60%に跳ね上がります。

驚異的なガードキラー

 でも、これも違うんだよなー。だってガードの2Pに対しては58.3%と全然守れていないわけで、そこだけを見たら完全にディフェンスの穴です。実際ジェイレン・グリーンと並んでセスに最も多く3Pを打ったデズモンド・ベインですが、3Pを1/4に抑えられた代わりに、2Pは3/3でパーフェクト。分かりやすい。結局セスのDEFレーティングが良い理由って、彼の得意な3Pディフェンスが目立って、弱点の部分が目立っていないからってわけです。セスが打たれたシュートの内、61/133が3Pとほぼ半分です。なぜ目立っていないのかはぶっちゃけよく分からん。調べれば分かる事だとは思いますが、なんでベンチ出場且つ平均20分も試合に出ていないセスの為に調べないといけないのって思っちゃう。

 ディフェンス力の強いチームを作る為には良いディフェンダーが必要ですが、必ずしも全員が全てを守れる必要はないってことを、セスを見ていると感じます。実際スタメンの殆どがグッドディフェンダーとして鳴らしていたはずのネッツは守れないチームになってるし。大事なのはどうやって弱点を隠すのかって気がします。マブスはセスの弱点は隠せているのか、そもそも弱点を突こうなんて発想すら浮かばないほど穴だらけに見えるのか、どうなんだろうね。まあレギュラーシーズンはあくまで練習期間、いわば自分たちの強みを見出し高める期間なんだから、相手に合わせたプレーなんかするチームもそんなにいないのかな。

 逆にプレーオフでミニッツを貰うと、間違いなく狙われそうなセス。オフェンスで手詰まりになって、スリー連打で逆転を狙うような一か八かのシチュエーションじゃないと起用されなさそうな彼なので、戦力的には別に要らないです。33歳だしね。しかし、彼のDEFレーティングはちょっと気になります。気になるっていうのは、果たしてこのまま10分程度使われ続けて、このレーティングがどうなるのかってことです。

 彼のDEFレーティングが上がった時が、多分相手チームがセスを狙い始めた合図。それはつまり、セス以外のディフェンスに穴がなくなった、つまりチームとしてのディフェンス力が向上したっていう証明になりそうだからって話です。戦力云々としては別にいてもいなくてもって感じだし、ギリギリトレードの駒にもなれそうなので出しちゃっていいんですが、そういう理由がないなら残してみて欲しい。残してスタメン+セスを5分、ベンチ+セスを5分とかで起用してみて、DEFレーティングの変化を見てみたい管理人です。こうして数字で見てみると、セスって面白い選手ですね。

 ということで、セスのシューティングについては一切触れずに終わります。ここまでの記事を全部読んでくれた方なら分かるかもしれませんが、管理人は物凄いひねくれものなので、今後もこんな内容が続きます。