あ♥@マブスファン

マブス専門NBAブログ(不定期)

【雑談】宙に浮くジョシュ・グリーン-3

 

 21-22、22-23シーズンで一貫して「いるとオフェンスがちょっと苦しいけど、ディフェンスが劇的に改善する」JGでしたが、今シーズンは印象の違う数字を残しています。改めて、

23-24シーズン OFF/DEFレーティング

チーム 117.8/114.8

JG 118.2/118.7

 JGがコートにいると守れないという数字に。なんじゃそりゃ。

DEFレーティング

オールスター前 チーム/JG 116.2/116.7

オールスター後 チーム/JG 112.1/125.6

 オールスター後、マブスは劇的にDEFレーティングを改善させました。それとは対照的に、オールスター後のJGは強烈にDEFレーティングを悪化させています。ちょっと洒落にならない悪さ。オールスター後ということで、要因は間違いなくトレード効果なんですが、そもそもオールスター前からDEFレーティングがJG>チームになっていることも気になります。

 

■今シーズンのJG

 シーズン開幕から10試合いかないぐらいの時は、チーム全体としてディフェンスのやる気がないって感じの立ち上がりだったマブス。そこからインサイドを固めてスリーを打たせる、というか打たれるディフェンスをしていました。

チーム DEFレーティング

10月 111.9

11月 118.5

12月 116.0

1月 120.4

2月 111.3

3月 112.1

 こう見ると本当にトレードを境に改善したって感じです。12月に一度レーティングがぐっと下がっているんですが、この月はカイリーが怪我で離脱していて、エクサムが31.1分起用されていた月なので、その影響かな。対して、

JG DEFレーティング

10月 115.9

11月 118.4

12月 118.2

1月 118.3

2月 115.8

3月 129.8

 3月の数字が目を引きますが、全体的に見てJGがレーティングを改善させているのが1月しかありません。1月はクリバーが本格的にプレーし始めた月か。つまりそういう事です。

JG以外にハードワーカーがいなかった

 プレーオフでゴベアが幾ら頑張ったって守れなかったジャズと同じように、JGが幾ら頑張ってもどうしようもなかった。時折JG以外ディフェンスをしているのか分からないみたいなポゼッションもあったりしたし。11/20のキングス戦や1/14のペリカンズ戦なんかは見ていて可哀相でしかなかった。時に逆サイドのコーナーまでシューターを追いかけに行かされることもあったり。

 ヘルプ&ローテの主にローテ役として動き回っていたJG。それ自体は問題ないんだけど、ここで特にシーズン前半に多かったライブリー&DJJ&ドンチッチの連携不足なインサイドディフェンスとリンクして大問題になっていたわけです。この時のJGは一人で二人以上のシューターを守るのが当たり前になっていました。それだけインサイドに人数を割けるはずなのに簡単に侵入されてはキックアウトパスを出されるし、THJは追いかけないし。ぶっちゃけキレても何の文句も言えないぐらいにチーム全体のハードワークが足りませんでした。じゃあJGに何の落ち度もないかと言われるとそうではない。

JG DIFF%

3P 1.4/3.5(+2.9%)

2P 3.4/6.2(+1.8%)

 DIFF%は共にプラスということで、シュートを落とさせることが出来ていません。ちなみに、

22-23 3P 1.1/2.8(+2.6%)

22-23 2P 3.0/5.3(+2.5%)

21-22 3P 0.6/1.8(-1.6%)

21-22 2P 1.8/3.5(+0.4%)

 ガードの選手なので2Pに対するDIFF%がプラスになるのはしょうがないんですが、3PのDIFF%がプラスなのはちょっといただけない。

マッチアップ

アンソニー・エドワーズ 16PTS 1AST 2TOV FG 6/11(54.5%)

ダイソン・ダニエルズ 4PTS 4AST 1TOV FG 2/3(66.7%)

タイアス・ジョーンズ 20PTS 8AST 1TOV FG 9/9(100%)

タイリース・マキシー 9PTS 3AST 2TOV FG 3/8(37.5%)

デビン・ブッカー 20PTS 3AST 1TOV FG 9/10(90%)

 これは今シーズンJGがマッチアップした選手を、マッチアップ時間の上位から並べたデータ。マキシー以外には効率よくシュートを決められています。タイアスとブッカー、特にタイアスに関しては8ASTも決められているので全く守れていません。

対人ディフェンスに難がある

 単純なスピードにはついていける印象ですが、そこからシュートを外させたり、パスを封じたりということは満足に出来ていません。ミドルレンジのシュートをドライブの駆け引きで積極的に使うタイプの選手には特に顕著で、デズモンド・ベインやジェイソン・テイタムにも80%以上の確率でシュートを決められています。なぜかブランソンだけはめちゃくちゃ抑えてるけど。悲しいのは、ちゃんとスピードにもついて行けるし、シュートチェックで手を伸ばしているということ。それってもう頑張ったって止められないってことじゃん。

 ぶっちゃけDIFF%の悪化は積極的にトランジションディフェンスに参加しているっていう部分の影響もありそうなのであまり気にしてもって感じではあります。ただJGの対人ディフェンスに問題があるっていうのは事実。だからJGが強気にヘルプディフェンスに行くのって、ドンチッチの為でもあり自分の為でもあったと思うんだよね。個人で守る能力の低さを補ってもらおうっていう。幸い強気にヘルプしても追いかけられる運動量はあるし。ただJGがマークマン捨てたら誰がローテーションしてくれるの? って状態だったからそれも出来なかった。

クリバー&JG 117.3/113.8

 JGにとってクリバーの存在は重要でした。彼は彼でどこにでも顔を出す選手なので、JGのヘルプが多少緩くてもクリバーがその強度を補ってくれます。

パウエル&JG 114.6/122.1

 こう見るとパウエルがプレーオフで干された理由もなんとなく分かるよね。

 

■オールスター明けのJG

ギャフォード&JG 102.5/123.9

 ギャフォードの加入によってマブスのディフェンスは改善しました。端的に言えばインサイドディフェンスをギャフォードのハードワークに任せて、他の選手がペリメーターを担当するって感じ。基本的なシステムは変わってないんだけど、比重が変わった。従来はインサイドを複数の選手の連携で止めようとして、連携出来なかったから守れなかったのに対し、今はギャフォード一人にインサイドを守ることを強いているようにも見えるほど、インサイドディフェンスの比重をギャフォードに委ねています。

 要はインサイドを守るのに連携の比重を減らして、コミュニケーションミスを避けようっていう話。ただ連携を減らすということは、ギャフォードにはその分広い範囲を動き回ることが求められます。それを一人で守るっていうのはゴベアでもない限り無理なので、実際にはPJと負担を分け合っています。ただPJはギャフォードがカバーしきれない時に動くサブのリムプロテクターみたいな仕事なので、やっぱり基本はインサイドをギャフォードのハードワークで守らせようとしています。でもってギャフォードはサイズの割にかなり動ける選手でした。

ギャフォード ディフェンス時平均速度 4.06

 今シーズン50試合以上出場したセンターの中で、59人中9位。出場試合数も考慮するとかなりのハードワーカーだと言えます。

THJ DEFレーティング

オールスター前 117.9

オールスター後 110.2

 でもってこの恩恵を特に受けたのがTHJでした。シーズン前半ではインサイドもアウトサイドも守るウィングディフェンダーの役割を任されたことで、どっちも守れないカスみたいなディフェンダーになっていましたが、ギャフォード加入によりインサイド仕事が減って役割が限定され、優秀な3Pディフェンダーに生まれ変わりました。

オールスター前 THJ DIFF%

3P 1.8/4.5(+3.2%)

2P 3.9/6.7(+3.7%)

オールスター後

3P 1.0/3.2(-4.8%)

2P 2.3/4.2(+0.3%)

 当分前の記事でTHJが今シーズンになって急にディフェンスの穴になったっていうのを書いたんですが、ここに対してきっちり答えを出しました。3Pを-4.8%っていうのは優秀そのものだし、何気に2Pが+0.3%なのが評価出来ます。「何も守れないディフェンダー」から「スリーはきっちり守れて、インサイドディフェンスもそこそこいけるマルチディフェンダー」に生まれ変わりました。

 それに対してJGはハードワークという強みをある種ギャフォードに奪われた形になりました。以前のように捨て身のヘルプをする必要はなくなったし、何よりドンチッチやカイリーがまともにディフェンスをし始めたから、動く必要すら段々と減っていきました。

JG ディフェンス時移動速度

10月 4.29

11月 4.51

12月 4.42

1月 4.59

2月 4.61

3月 4.29

 3月に入るとJGの移動速度がガクッと落ちました。ハードワークが売りの彼からハードワークを取り上げられたら何が残るのか。それの答え合わせをしているかのような3月でした。今となってはディフェンスの穴になっているようにさえ見えます。で、シリーズの冒頭に書いた「ヒート戦で注目していた部分」っていうのが、

ギャフォードとJGのハードワークを融合できるか

 っていうところでした。プレーオフで勝ち抜くにあたってギャフォードを狙うプレーっていうのは頻繁に起こるはずなので、ギャフォードがインサイドに留まれるように対策しなければなりません。そこでJGのヘルプディフェンスを活かせるんじゃないかと思っていました。ギャフォードをほんの数か月で今のレベルにまで引き上げたコーチ陣なので、JGの離脱中にその案を考えられるのではないかと期待していましたが、それはなかった。まあ案があったとしても怪我していたら練習が出来ないしね。

 ギャフォードとJGがいる時間のディフェンスが悪いっていうのはコーチ陣も把握しているらしく、オールスター明けからJG&クリバーの時間は1試合につき平均8.6分、JG&ギャフォードの時間は1試合につき6.8分です。恐らくプレーオフでもJGはなるべくクリバーとセットで出すのかなーと思っています。逆に言えばクリバーがきつい時間になるとJGもきつくなるわけだ。

 まあこの現象ってポジティブに見ることも出来るんだよね。特定の選手のレーティングが下がるってことは、それだけ付け入る隙が減ったってことだし。これがセスで起こると思っていたけど、その前にホーネッツに行っちゃったからな。チームディフェンス改善の憂き目に遭ったJGでした。