あ♥@マブスファン

マブス専門NBAブログ(不定期)

【PI-1】プレーイントーナメント雑感(ウェスト)

 

 ちょうど夜勤と被ったのでリアタイでプレーインの一回戦を見られました。ということでその感想を軽く纏めてみようと思います。ちなみにイーストの方はほぼ寝ていたので、書くか分かりません。

 

■ウォリアーズVSキングス

 一番面白かった気もするし、つまらなかった気もする。昨年のファーストラウンドで対戦したカードです。長らく続いた谷の時期を抜けたものの、サボニスを中心にしたオフェンスの問題を突っつき回されたことで敗北を喫し、プレーオフを勝ち抜くには色々と足りなかったキングス。対するウォリアーズは、元祖ビッグスリークリス・ポールを加えて優勝を狙いに行きました。

 個人的にウォリアーズはカリー以外の契約をトレードなりで減額なりで処理して、若手中心の再建に舵を切った方が良いと思っているんですが、このビッグスリーで優勝を狙いたいって思うのもまあそうだよなーと理解は出来ます。なにせ他に前例がないほど勝ちまくり、歴代でも数少ない「王朝」と呼ばれるチームを作った、いや作ってしまったんだから。いつかは再建しなければならないことぐらいフロントも当然分かっているんだろうけど、いつ再建に踏み出すかっていう判断が難しい。少なくとも2010年代後半のようなチームを作るにはビッグスリーのサラリーは高くなりすぎたし、それを支えた層の厚いベンチメンバーも今は若手ばかりだし。21-22シーズンに優勝した時は健康なオットー・ポーター・ジュニアをミニマムで、エリートロールプレイヤーになったアンドリュー・ウィギンスをそこそこの契約で使えたっていうのがあまりに大きかった。

クレイ・トンプソン 0PTS 4REB 1AST

 その層の薄さを露呈したような試合に感じました。絶不調のクレイの代役になれる選手を用意できなかったというのが、この負けに繋がったように思います。でもモーゼス・ムーディーがベンチから16点も取っているんだよね。そう考えれば準備は出来ているのに、ビッグスリーに拘り過ぎたティーブ・カーの采配負けだったようにも思います。

 じゃあキングスの采配が良かったのかっていうと、別にそうも感じませんでした。というかプレーインみたいな一発勝負で采配の良し悪しなんて、ぶっちゃけあんまり関係ないと思います。選手のその日のシュートタッチっていう要素だけで、結果なんて簡単に覆っちゃうんだから。ただベンチの層だとか、戦術だとかをシーズン中に準備出来ていたかっていうのは大いに関係あるし、それが出来ていたからキングスは勝てたってことだと思います。

キーガン・マレー 32PTS 9REB

 キングスの最初のオフェンスは、サボニスのスクリーンからオフボールでマレーにスリーを打たせるというものでした。これがこの試合の全てだったんじゃないかな。

 前回のプレーオフでウォリアーズはサボニスに対して離して守ることを徹底しました。これによってゴール下のカットを封じ、サボニスに得意ではないアウトサイドからのシュートを誘導することで負けたわけです。で、ウォリアーズも初っ端からサボニスに対してはその守り方を仕掛けていました。

 マレーのスリーっていうのはそのアンサー。サボニスに対して引いて守るということは、サボニスのスクリーン付きのマレーを一人で追いかけないといけないってこと。優秀なディフェンダーなら一回のスクリーン程度なら躱せるけど、サボニスがしつこくスクリーンを掛けることでいずれ決定的なオープンショットのチャンスが生まれます。でもこれって、前回ケビン・ハーターがやってなかったっけ? やりまくって外しまくっていたような気がします。でもってそのハーターが離脱しているキングス。

 ここが準備出来ているって部分だよね。ルーキーシーズンのマレーは基本的にスポットアップシューターでしたが、今シーズンはオフボールで動いて打つことも増えてきました。これをレギュラーシーズンを使って当たり前に出来るようになったわけですが、もしキングスがマレーをオフボールシューターにしていなかったら、ハーターが不在で誰がシュータームーブやるの? ってなっていたと思います。恐らくプレーオフで絶不調だったハーターを見て代役となれるシューターの準備に取り掛かったんだと思いますが、それが見事にハマりました。

 スクリーン→スリーが入ることで、ウォリアーズ側としてはシューターに打たせたくなくなるわけですが、そうなるとディフェンスが出来るのはブリッツやファイトオーバーになってきます。そしたら待ってましたと言わんばかりにスクリーンからサボニスがダイブして、数的有利を活かしてコーナーにパスを捌き、自分でアタックしました。こうなるともうどこかを捨てなければならなくなるウォリアーズなので苦しかった。

 一方でこの戦術が機能するのはスクリーンを貰ったシューターがスリーを決め続けるから。だからシューターが外し続ければキングスだって苦しいわけです。その苦しい時間に繋いだのが昨年のクラッチ・オブ・ザ・イヤーのフォックスでした。

フォックス 24PTS 4REB 6AST

 決して効率が良いとは言えないものの、エースの仕事は充分果たしたと思います。ぶっちゃけキングスはマレーのスリーが入らなかったら、早々にフォックス頼みになっていたと思うので、言ってしまえばオフェンスの戦術なんてそれしかなかったわけです。だから鮮やかな采配だったとは毛ほども思わない。ただスリーが入った後の展開をちゃんと用意して、選手に戦術を実行出来るだけの能力を身につけさせ、選手は応えた。それがマリク・モンクやケビン・ハーター不在でも勝ち切れた要因だと思います。

 で、この試合を「マレーのスリーが決まっただけ」にしてしまったウォリアーズ。スクリーンに対して鮮やかに抜け出すキーオン・エリスにスプラッシュブラザーズは苦しみまくりました。

カリー 22PTS 4REB 2AST

 針の穴に糸を通すかのようにしてオフボールで走り回りました。そこから決してフリーとは言えないような距離感でスリーを打ち、捻じ込んだカリー。パスを貰うのに糸を通し、そこからシュートを捻じ込むにまた糸を通し、みたいな感じでした。正真正銘の怪物。で、カリーは怪物になれたけどクレイはなれなかった。その代役を準備することも出来なかった。

 普通のプレーオフラウンドならどうなっていたか分からない対戦だったと思います。ただこれが一発勝負のプレーインの恐ろしさだと感じる内容でした。

 

ペリカンズVSレイカーズ

 プレーインを勝つ為に大切なことが「シーズン中にどれだけ準備出来ていたか」ということだとすると、ペリカンズ以上のチームはいないかもしれません。管理人が今シーズンの優勝候補筆頭だと思っているペリカンズは、主力の怪我が多いチームということもあって、出場機会を得られた若手たちが地道に育ちました。そしてその強さはザイオンイングラム、CJがいなくてもそこそこ戦えるレベルにまで引き上げられています。マブスも負けたしね。今シーズンのペリカンズは、

主力選手のオプション化

 これがハッキリしているように思います。ザイオンイングラム、CJの為にチームを作るんじゃなくて、その三人がチームにどう溶け込めるかを考えているイメージです。「ずっと怪我するんだったら、置いてっちゃうよ」とでも言いたげに見えるロールプレイヤーたち。そう見えるほどペリカンズのロールプレイヤーは輝いて見えました。

 管理人は複数のスター選手に大金を掛けるビッグ〇〇っていうチーム作りは否定的ですが、こういうチーム作りが出来るなら、主力選手にサラリーが偏っても成功しやすいよね。例えばマブスはドンチッチがコートにいる前提で作っているけど、ペリカンズはある意味ビッグスリーがいない前提で作っているようにも見えます。だから主力が一人二人抜けようが、あるいは全員いなくても戦える。それだけロールプレイヤーの質が高いってことです。サンズみたいなのはダメってこと。

 だから、なんでここまで順位が落ちているのか分からないんだよね。管理人が見たペリカンズの試合って大体勝っているので。そしてその理由の一端を知ることが出来たように思います。

 試合は完全にレブロンザイオンの形でした。レブロンのゲームメイク力でオフェンスを作るレイカーズに対し、ザイオンの突破力でオフェンスを作るペリカンズ。苦しかったのはレイカーズでした。ペリカンズ側がインサイドを固く守る為、ゴール下のシュートを打たせてくれません。

AD 20PTS 15REB

 FGが6/16で37.5%と、それでもビッグマンかってぐらいにシュートを外しました。その分フリースローで稼いだので20点には乗りました。何気にロングレンジのシュートを打っていなかったのが印象的で、ゴール下から逃げなかったことは大いに評価出来ます。

 そんなレイカーズだったのでインサイドからパスを出せず、ワイドオープンを作れませんでした。ただそこで光ったのがレブロンのパス。ディフェンスの僅かな揺らぎを見逃さずにパスを出し、スリーを打たせました。

レブロン 20PTS 9REB 9AST

 ペリカンズはリーグ屈指のディフェンスチームなので、インサイドを固めながらもしっかりシューターを追いかけてきて、そう簡単にスリーを打たせてくれません。ただオフボールで動くディアンジェロにパスを捌き、スリーをきっちり決めました。ぶっちゃけ第1Qはディアンジェロがスリーを決めなかったら完全に終わっていたと思います。

 対するペリカンズはザイオンの突破力で余裕のオフェンス。ディフェンダーが何人いようが、ドライブすれば関係なく点を決めるしパスも捌く。だからどうしようもない感じでした。

 しかし第2Qになると急に失速するペリカンズオフェンス。レイカーズインサイドを重点的に守るようになったことで、インサイドで点を取りたいペリカンズはターンオーバーを連発します。それに対してCJのシュータームーブで応えようとしたペリカンズでしたが、ここを外しまくります。決まらないからレイカーズインサイドを固め続けるし、ザイオンも苦しくなってきます。

前半レイカーズ 3P 10/20

前半ペリカンズ 3P 4/16

 これにカウンターの得点も加わって大逆転を喫したペリカンズでした。レイカーズからすれば楽なもんだよね。ディフェンスして走れば勝手に点差が縮まっていくんだから。ディフェンス面も加味して、ここでCJを下げるっていう選択肢はあったんだけどそれはしなかったペリカンズでした。まあ第2Q開始時点では大量リードしていたから、今のうちに調子を取り戻してくれればいいな、って感じだったのかね。それで万が一ダメでも、ペリカンズはその程度じゃ揺るがない層の厚さがあるので、この時間が長かったことについてはまあ肯定的に見れます。

イングラム 11PTS 4REB 4AST

CJ 9PTS 3REB 6AST

 肯定的に見れたんだけどね。第3QにもCJとイングラムを使い続けたグリーンでした。で、また大量リードを許します。その二人を下げてザイオン+ベンチの形にすると一瞬で追いつきます。

 CJのシュータームーブでインサイドをこじ開けるっていう狙いは間違っていなかったと思う管理人。ただ思うように決まらなかったし、それはしょうがないと割り切るしかない。でもそれで済ませられないのが一発勝負のプレーインなわけです。他にシューターがいなかったならしょうがないんだけど、ペリカンズにはマット・ライアンとジョーダン・ホーキンスというシューターがいます。もしロスターにこの二人がいなかったとしたらCJを使い続けることに疑問はないんだけど、いるのに使わないってどういうことだよ。

 そしてイングラムに何をさせたかったのかもよく分からなかった。まあこれはこの試合っていうより、シーズン通しての話なんだけど。第3Qのイングラムはドライブしてはゴール下に侵入出来ず、ミドルレンジを打っては外しました。怪我明けで調子が戻っていない感じはありましたが、じゃあ出すなよって思うわけです。「出すなよ」が出来るベンチの厚さもあるんだし。

層の厚さを活かせなかった采配

 ウィリー・グリーンは今シーズン最も魅力的なチームを作ったと思っています。コーチ・オブ・ザ・イヤーにはマーク・ディグノートが選ばれましたが、「ウィリー・グリーン一択っしょ(笑)」ぐらいに思っていた管理人。しかし今は、今すぐにでもペリカンズはHCを変えるべきだ! と思っています。あれだけレギュラーシーズンに色々と準備してきて、最後の最後で全部ザイオンかよ。

ザイオン 40PTS 11REB 5AST

 ペリカンズのオフェンスがザイオンの突破に偏ったことで、もっとインサイドを固くしたレイカーズでしたが、それでも決めきったザイオン。目の前に3人ディフェンダーがいても正面突破で捻じ込むこともありました。カリーも中々だったけど、今日のザイオンインパクトは超えられないね。

 最終的に足を痛め、最後はコートに立てなかったんですが、当たり前だって感じだよね。レイカーズのゴリゴリディフェンダーの肉壁に何度も突っ込んで、無理やり押しのけようとしたんだから。ザイオン頼りになるほどその壁は増えるし。それこそサボニスのスクリーン→ダイブみたいにインサイドをこじ開ける方法なんて幾らでもあるし、何なら怪我するちょっと前ぐらいからやっているんだよね。どうしてそれを第3Qにやらなかったんだ。ザイオンの怪我は起こるべくして起こったように思う管理人でした。

 

 ということで明日はキングス対ペリカンズです。どっちが勝つかは分からない。とりあえずペリカンズは今日中にHCを解雇出来るかが勝負です。でもザイオンがいたからザイオン頼りになってしまったような気もするので、案外彼が離脱する明日の試合では良い采配をするのかな。大した根拠はないけど、なんだかんだでペリカンズが勝つと思っています。逆にここで勝てなかったら冗談抜きにウィリー・グリーンの首はちょっと怪しくなるよね。