あ♥@マブスファン

マブス専門NBAブログ(不定期)

【雑談】宙に浮くジョシュ・グリーン-4

 

 オールスター明けからディフェンスのアイデンティティを喪失しつつある今シーズンのJG。でも、

オールスター後 クリバー&JG 120.3/110.7

 オールスター以降でもクリバーと並べれば問題なく守れています。だからディフェンスの問題っていうのは起用法でどうにでもなる事なんだよね。

 長々とJGのディフェンスについて書いてきましたが、それとは比にならないぐらいオフェンス面での問題の方が大きいと思っている管理人。それって何なのって話ですが、実はこのシリーズの端々に布石はあります。オフェンスの問題なのに、ディフェンスの話の中に答えがあるっていうね。

www.youtube.com

 このシリーズの最初に載せた動画の、7分20秒のところからのシーンを通して見ていると気づくかもしれません。JGのディフェンスハイライトがもう一つあったんだけど、圧倒的にこっちの方が今回の主題に合っていたので、この動画を選びました。

 ところで、こうしてブログを書いているとどうしても映像で語りたい部分っていうのが出てきます。言語化するにも限界はあるし、何より楽だしね。でもYouTubeに転がっているハイライト集は管理人的にはクソの役にも立たない。そう考えると自分で試合映像を切り抜くのが一番良いんだけど、お金掛かるからな。

 試合鑑賞に金を払う分には趣味だからってことで割り切れるけど、映像の利用料にお金を掛けると、どうしても収益化する方法を考えてしまいます。それはちょっと嫌なんだよね。このブログは完全に趣味で始めたことだし、多くの人に見られたいわけでもないし。本当に色んな人に見られたいんだったら、わざわざ「マブスファン」ってコンテンツを限定するのは足枷でしかないし。ということで、今後も映像を自分で切り抜いたりはしないだろうし、収益化もしないと思います。

 

 はい。これで充分行間を稼げたと思うので、答え合わせ。

 7分20秒からの映像を通して見ると、トランジションディフェンスの時にJGが一番戻りが遅いことに気づくのではないでしょうか。今シーズンのJGに見慣れた管理人にとっては鳥肌が立つような違和感がありました。なんで戻りが遅いのかって話ですが、率直に言うと、

オフェンスリバウンドに参加している

 ってことです。逆に今シーズンのJGは、オフェンスリバウンドに参加しない代わりにトランジションでいち早くゴールに戻るようにしています。

JG OREB(/36分)

20-21 2.3

21-22 1.8

22-23 1.3

23-24 1.0

 綺麗な右肩下がりだ。21-22シーズンの36分換算でのOREBは、ガードの選手としては322人中28位とかなりの強さを誇っています。それが22-23シーズンには全ガード274人中62位、今シーズンは289人中124位。

 JGの魅力が何かと聞かれた時、管理人はシュートでもディフェンスでもなくオフェンスリバウンドと答えます。コーナーからリバウンダーの隙間に飛び込み、高さではなく速さでボールを掻っ攫う勘が魅力的です。これが出来る選手と出来ない選手っていうのがいるんだけど、いまいちその差が何なのか分からない。スピードとか観察力とかは当然あるとして、やっぱりどこにボールが落ちるかっていう勘が必要なのかな。

 ただそのリバウンド能力が今シーズンは随分と息を潜めています。元々リーグ屈指のオフェンスリバウンダーだったのが、いつのまにやら普通程度に。ちなみにルーキーシーズンの2.3っていうのはガード279人中8位でした。じゃあなんでOREBに絡まなくなったのかっていう話。それはさっき触れたように、今シーズンのJGはオフェンスでシュートが外れた時、トランジションディフェンスでいち早く戻っているからです。

マブスOPP FBP 15.7(リーグ26位)

 ファストブレイクからの失点が多いマブスなので、トランジションディフェンスっていうのは大きな課題。なのでJGに戻ってもらうっていうのは一見筋が通っているように見えるんだけど、ちょっとおかしな話なんだよね。

OPP FBP(/48分)

JGオンコート 15.8

JGオフコート 15.7

 だって、いてもいなくても変わらないんだよね。あれだけ献身的に戻っているのに。ちょっと21-22シーズンの数字と比較してみましょう。

マブスOPP FBP 11.9(リーグ12位)

JGオンコート 11.1

JGオフコート 12.2

 このシーズンはJGがいるとファストブレイクでの失点を抑えられました。全体的に失点が少ない理由はペースの遅さの影響が大きいとは思うんだけど、興味深いのが、

21-22シーズン ペース 

JGオンコート 100.49

JGオフコート 95.16

 JGがいる時間は寧ろペースが早いチームだったということ。100.49という数字をそのまま当てはめると、リーグ7位のペースです。ちなみに95.16は当然のようにリーグ最下位。だからJGがいるとペースは速くなるのに速攻の失点は減るっていう、不思議な数字です。

 それを成立させていたのは、やっぱりオフェンスリバウンド。ハイライトを見て分かるように、21-22シーズンのJGはコーナー待機していたのは変わらないけど、OREBに積極的に参加していました。OREBに絡まれると、ディフェンス側としては安心してリバウンドの確保が出来ないので、それだけリム周りに人数を掛けなければならなくなります。するとリムランナーの数が減るし、リバウンドを確保してからの動き出しも遅くなるので、間接的に速攻を防ぐことに繋がります。

 だから速攻を防ぐという観点から、早く戻ることとリバウンドに絡むことは重要な要素になります。ここでOREBに絡むのがガードだと、仮にリバウンドを奪えなくても、そのままリバウンダーにオールコートディフェンスを仕掛けることが出来る利点もあるので、そういう意味でもJGの能力は輝いていました。

 顕著に表れていたのは、21-22シーズンの3/5のキングス戦。この試合はJGがキャリアハイの6OREBを記録した試合で、ドンチッチ不在の中で苦しみながら勝ち切った試合でもあるのでたまーに見返しています。JGがほぼ毎ポゼッションのようにOREBに絡みに行っているのが印象的です。

 今シーズンのJGはそもそもOREBに絡みに行ってない。ファストブレイクでほぼ毎回先頭を走るので、味方が外した時に拾うことはあるけど、ハーフコートで絡みに行くことは全くと言っていいほどありません。その分ディフェンスに戻っているんですが、これってつまるところトランジションディフェンスで味方が戻ってくれないってことだよね。

 以前はJGがどれだけOREBに絡みに行っても、相手が走り出す時には3~4人がディフェンスに戻っていました。だから気にせずOREBに絡みに行けたし、JGが絡みに行くから落ち着いて戻れた側面もあります。でも今シーズンはディフェンスで戻ることを求められたJG。走力があるので基本的にDREBを確保してからの速攻で後れを取ることはありませんが、残念なのが追いついたところで止めきる能力がないってこと。DJJのようにチェイスダウンブロックは出来ないから。そういった事情が今シーズンのオン/オフコートでOPP FBPが変わらないっていう風に表れているような気がします。そこに拍車を掛けるようにギャフォードが現れて、OREB役をする必要すらもなくなりました。

 

■未来はあるのか

 ウィングに平面での運動量を求めたキッドによって、自身の能力を最大限に発揮した21-22シーズンのJG。そこからの今シーズン、運動量を活かしたヘルプ&ローテに、リーグ屈指のリバウンド力という武器すら奪われたJG。その二つがなくなったJGを率直に評価すると「ただのコーナーシューター」って感じです。

 この武器が奪われたっていう部分はロスター構成的に「JGの得意だったことが必要なくなった」という、本人にはどうしようもない部分です。ここは本当にお気の毒にって感じ。ただ得意なものを取り除いた時にシュート力しか武器がなかったのはJG本人の問題でもあります。ぶっちゃけ今の路線でチーム作りを進めるならJGをトレードに出して、ウィングなり指名権なりと交換する方が良いと思います。一人でチームディフェンスしてくれるような選手なので、ディフェンスで困っているペイサーズクリッパーズとかには需要ありそうだけどね。

 ただJGを残すのであれば、あれこれと頭を悩ませる必要が出てきます。

 付け焼刃の対策としてはギャフォードと組ませないこと。もっと言うとハードワーク出来るウィングと組ませること。要は「あの頃のマブスに戻す」ってことだ。ただ現状のロスターだとクリバー以外はちょっと……って感じです。何気に21-22シーズンのマブスってJGにとっては天国みたいなチームだったように思います。

 もうひとつはJG自身がレベルアップすること。そもそも対人ディフェンスに問題がなければ、現状でもDEFレーティングが悪くはならなかったはずだから。でも対人ディフェンスに特化した育成のメソッドとかってあるのかね。それに素人目にはちゃんとハンドラーに追いついているし、ディフレクション出来ないにしてもちゃんと手は伸ばしているし、悪い守り方をしているようには見えないんだけどね。まあちょっと思うのは、今の守り方をあと5センチでも長いウィングスパンで出来ていれば違ったのかなって感じです。だから腕が短いけどグッド・ディフェンダーなジミー・バトラーとかとワークアウト出来たら何か変わるのかなーと少し思いました。

 そしてオフェンス面。シュート能力に関しては両コーナーから37%以上の確率で決めているし、ちょっと驚いたけど、ウィングからのスリーは40%を超えています。トップ以外ならどこでも高確率で決められるJG。だけど試合中に打てるコーナースリーの数なんて限られるので、

コーナー以外の3PAを増やす

 という必要性を感じています。これが出来るかどうかがコーナー専門のシューターかそうじゃないかの分水嶺、もっと言うと平均得点が二桁になるかどうかの分水嶺になると思います。

 そしてコーナー以外でスリーを打つのに必要なのがスクリーン。一番分かりやすい動きがゴーストスクリーンですが、これもしっかりスクリーンでディフェンダーを剥がすことが出来て初めて生きる戦術なので、スクリーンを掛けきる技術っていうのは必須になってきます。これはドードーが得意としていたプレー。

 ただ、ここもちょっと怪しいと思っている管理人。JGは結構スクリーンで足が動きがちで、ファイトオーバーで守ることをあんまり苦にされていないし、無理やり剥がそうと体を寄せ過ぎてイリーガルスクリーンになることがしばしばあります。パワーが足りないってことだ。そりゃガードの選手だしね。逆にTHJとかはなんであんなにスクリーンが重たいのか分からない。スクリーンをしっかり掛けきるには体重アップが必要になりそうですが、そうなると次に心配になるのが怪我。ただでさえハードに動き回るプレースタイルだし、今の時点でも割と怪我で纏まった期間休む選手だし。

 うーん。そうなると、ここが限界なのかも……とかちょっと思うんだよね。昨年JGにハンドラーをやらせるみたいな話がありましたが、あれは彼のキャリアを考えると良い選択だなーって感じでしたが、結局やらせていない。ちなみにハンドラーをやらせていた時は「視野は広いけど、適切に判断するスピードがちょっと足りない」って感じでした。慣れれば解決しそうだったし、今シーズンもちょっとだけやらせていたから、そこんところをマブスがどう評価しているのかは気になります。

 

 二月以降のマブスは24勝10敗と、チームとして大変好調でした。その陰でひっそりと存在感を失くしているJG。サンダー戦でJGが怪我をして、復帰までの間に11勝1敗だったっていうのもそれに拍車を掛けています。

 今のマブスにおいて、JGの存在っていうのは宙に浮いています。ウィングの負担をセンターが部分的に解消したことでTHJはディフェンスで復活したけど、JGはながーい低調に。クリバーのワンビッグだと輝きを取り戻すんだけど、それだってずっと使い続けているわけじゃないし。完全に持て余しています。

 JGが再び地に足をつける為に必要なのは、チーム構成の刷新か、本人のデベロップメントか。それが出来ないならトレードだ。幸いチームディフェンスを重視するチームにはハマるディフェンダーだし、契約金も高くない、おまけに若い選手なので売りやすいしそれなりに対価を見込めそうです。勿論マブスにとっては貴重な生え抜き選手だし、個人的に好きな選手っていうのもあって、どうにかコーチ陣には再びJGがかつての輝きを取り戻せるように考えて欲しいと思っています。パウエルをポイントセンターにしたようにさ。