あ♥@マブスファン

マブス専門NBAブログ(不定期)

【雑談】THJ、要る?-6

 

 いよいよ真打登場です。今から挙げるのは管理人的にあまり残したくない選手たちです。さすがに色々言われそうな内容になりそうですが、お手柔らかに。

ティム・ハーダウェイ・ジュニア

カイリー・アービング

 

■ティム・ハーダウェイ・ジュニア

 2019-20シーズン、ドンチッチの二年目シーズンにポルジンギストレードに巻き込まれる形でマブスに来たTHJ。そのポルジンギスが早々にいなくなったので、実質的なTHJトレードです。ちなみに彼らと一緒にニックスからやってきたコートニー・リーとトレイ・バークは、管理人が本格的に見始めたシーズンに活躍していた選手ということもあって結構お気に入りです。バークはプレーオフでも活躍したしね。

 優れた3Pシューターで、マブスでは今季含めた5シーズンで7.7本試投して37.4%の確率で決めています。確率自体はそこまで高くはありませんが、THJが優れているのはオフボールでの動きです。オフボールスクリーンを貰いながら大胆に動き回って無理やりスリーを打ち切る能力があります。こんなブログを見ている人なら知っていることだとは思いますが、シューターといっても色々な種類がいて、大きく分けると動くシューターと動かないシューターがいます。そしてTHJは動くシューターなわけですが、この中でも選手によってフリーになる方法に違いがあります。

 THJは身体能力に優れており、スピードを活かしてディフェンダーを剥がしていくタイプ。そしてジャンプの頂点で打つという、リリースの速さが重視されだした現代では珍しいスリーのシュートフォームで、仮にスピードで追いつかれても高さで強引にフリーにする選手です。同じ動くシューターでもセスとは異なる特徴があり、スリーを打ち切る能力に関して言えば圧倒的にTHJが上です。サイズのないセスはどうしてもブロックを警戒してカウンタードライブなんかに切り替えるシーンが多い。

 こういったプレーをしながらの37.4%と考えると、まあ妥当以上の数字だと思います。そして彼のシュートフォームには無理やりフリーになる以外にもう一つメリットがあり、それはスリーポイントファウルを貰いやすいこと。THJの高さに対抗しようと過剰にクロージングしてしまった結果、空中の彼に接触してしまい、シュートは外れてしまったもののフリースローで稼げるといった場面は多く見る気がします。当たり判定が広く長いってわけだ。スリーポイントファウルを貰う数を調べようと思ったけどありませんでした。知ってる人いたら教えてください。

 この運動量が豊富なオフボールムーブとシュートを打ち切る能力はインサイドのスペースを強引にこじ開けるのにも役立っており、ドンチッチと相性の良いオフェンス能力と言えるでしょう。実際ドンチッチ、THJ、スクリーナーのスペインP&Rは長い間マブスの重要な戦術になっています。加えてカウンタードライブも得意としており、フリーのミドルを決めることもあれば、フィジカルの強さを活かしてファールドローなんかも出来ると、能力的には便利です。

 ということでオフェンス的にはドンチッチと相性が良くオフェンスのオプションとして欲しいタイプの選手ですが、管理人的には要らない選手です。まあ理由は試合を見ていたら一目瞭然って感じ。

ディフェンスが絶望的

 今シーズンのTHJのディフェンスは酷いなんてもんじゃない。元々ディフェンスが良い方ではない印象ですが、あくまでどちらかといえばってレベル。しかし今季は明確にディフェンスの穴になっています。

THJ OFF/DEFレーティング 117.9/118.0

オフコート時〃      112.8/110.9 

2P DIFF% +4.7%

3P DIFF% +5.0%

 オフコート時のDEFレーティングが110.9と、オンコートに比べて分かりやすく下がっています。これをそのまま当てはめると、THJがいない時のディフェンスはリーグ4位にまで跳ね上がります。その分オフェンス力も著しく下がるわけですが、差し引きでいえばいない方が良い。

 そして2Pも3Pもどちらも守れていないんですが、深刻なのは3Pに対するディフェンス。彼がマッチアップした選手は41.5%の確率でスリーを決めています。これは管理人が試合を見た時の感想と一致していて、THJのクローズアウトは兎に角ルーズです。

 3Pへのディフェンスと一口に言っても色々ありますが、最も効果的なのは打たせないように距離を詰めるってことです。NBAレベルのシューターなんてディフェンダーがいなければ当然、ディフェンダーがいても打つスペースさえあればスパスパ決めてくるわけで、そもそも打たせないっていうのが正しい。3Pで攻略されない為には捨て身の覚悟でクローズアウトするべきで、それに対してステップサイドで躱して打たれたとしても、フリーで打たれるのに比べたら全く話が変わってきます。

 シュートをブロック出来るぐらいに寄るのが理想ですが、実際にブロックしようとしたら接触して3Pファウルの危険もあるので、「ブロック出来そうな距離感を保ってディフェンダーの視界を遮る」っていうのが一般的かな。これがスリーを外させるディフェンス。ブロックしに行くか、外すように仕向けるか、ここのバランス感覚は難しい。ただどちらにも共通するのは、まずはシューターに近づくってこと。

 そしてTHJはこれがあまりに遅い。打つ前に近づくのが理想の3Pディフェンスで、彼は打ち始めてから近づきます。それならまだ早い方で、シューターが困惑して一瞬打つのを躊躇して、意を決して打とうとするタイミングで寄り始めることもあります。もっと酷い時はボーッと見ています。レブロンかよ。

 総じてインサイドを主戦場にするセンターみたいなリアクションなんだよね。インサイドを空けたくないけど、オープンでスリーを打たれたくないから渋々クローズアウトっていうのは、ビッグマンがいるチームならどこでも見かける光景だと思うけど、THJはG/Fの選手です。割とインサイドで体を張ってくれる方ですが、張るだけで別に守りきれるわけでもないし、ドンチッチみたいに強いわけじゃない。何なら中途半端にボックスアウトしてOREBを取られることもあり、ドンチッチがボックスアウトしてたら取られなかったんじゃね? みたいな場面もあって若干迷惑寄りな選手です。ただここまで守れない印象もなかったぞ。ということでTHJのマッチアップデータをちょっと調べてみました。

22-23 3P DIFF% -2.1%

 おや? って感じの数字。ちなみに21-22シーズンも怪我で42試合しか出場していないとはいえ、-1.0%です。これで数字がプラスだったら「やっぱりTHJは守れないね」で済む話だったんだけどね。なんて迷惑。

22-23

THJ OFF/DEFレーティング 117.9/114.5

オフコート時〃      111.8/116.0

 この数字を見ると、去年に関しては寧ろいないと困る選手でした。THJがいないと大幅にオフェンス力が低下し、なんならディフェンスもちょっと悪くなる。ちなみにオンコート時のDEFレーティング114.5は、22-23シーズンだとリーグ21位、オフコートの116.0はリーグ25位。いてもいなくても関係なく悪いです。

21-22

THJ OFF/DEFレーティング 108.9/107.7

オフコート時〃      113.0/108.6

 更に遡って21-22シーズン。怪我で42試合の出場に留まっているし、彼がいない間に色々な変化があったシーズンでもあるのであくまで参考程度に。THJがいない時間にディフェンスが悪化したっていう数字ですが、ドンチッチがコートにいる時間が増えたからってのが理由としてありそう。まあ言いたいのはそこじゃなくて、少なくともTHJが明確にディフェンスの穴とは言えないってこと。

今シーズン急激に悪化したTHJのディフェンス

 22-23に関してはいる方がディフェンス良いしね。一年の間に一体何があったんだって感じです。

 

ディフェンス時の平均移動速度

21-22 3.72

22-23 3.67

23-24 3.63

 年々ディフェンスで動かなくなっているTHJですが、大幅な変化かと言われればそうでもありません。元々そんなに動くディフェンダーではないって感じです。ちなみに21-22シーズンのフィニースミスは4.02、ブロックが4.04と高め。パウエルが4.11、JGが4.55と異常な数字です。この恩恵に与ってドンチッチはディフェンスでサボりまくっていたわけですが、意外と他のガード陣もサボっていました。

21-22 ディフェンス時の平均移動速度

ドンチッチ 3.34

ブランソン 3.80

ディンウィディー 3.54

 ドンチッチとディンウィディーはチーム内で最も動かないディフェンダー2TOPでした。ブランソンは割と頑張っていました。このガード陣は「ウィングが追いきれない部分を塞ぐ」のがディフェンスの役割で、基本はシューターを追いかけ回すというより、インサイドとオープンになりそうなシューターの間を行ったり来たりしていました。だからノンシューターがいる相手だとインサイドから全然動かなくて良かったりします。そしてインサイドのカバーも止めきるのが役割ではなくあくまで時間稼ぎ、シューターを追っていたウィングがインサイドに戻ってくるまで耐えられればOKみたいな感じ。そしてそのガード陣の中だと比較的動いてくれるし、フィジカルも強い方のTHJでした。

 しかしフィニースミスやブロックがいなくなって全体的にサボれなくなったマブスディフェンス。

カイリー、THJ、ドンチッチ、グラント、ライブリー

OFF/DEFレーティング 136.5/134.9

 このラインナップが今季最もTHJがプレーしているメンバーですが、ひっどいディフェンスだね。オフェンスの数字が驚異的なのでプラスのレーティングではありますが、守れないにも程がある。

23-24 ディフェンス時の平均移動速度

カイリー 3.60

THJ 3.63

ドンチッチ 3.22

グラント 3.87

ライブリー 4.14

 ルーキーのライブリーが走り回ってくれているわけですが、どう見ても足りないよね。グラントはそもそも運動量で追いかけ回すタイプの選手には見えないし。そう考えると今までのウィングディフェンダーの仕事をTHJに任せているように見えるわけですがダメそう。

THJ、エクサム、DJJ、ドンチッチ、ライブリー

OFF/DEFレーティング 115.2/85.0

 なんだこれってぐらい守れているラインナップです。エクサムが4.10、DJJが4.17と走り回ってくれるわけですが、こんなに変わるもんかね。

 

■結論

 今シーズン急激にディフェンスの穴と化したTHJですが、それは「ウィングディフェンダーとしてカバー&ローテしまくる」って仕事が出来なかったからのように思えます。今シーズンはシューターをインサイドから見つめることが多いTHJですが、彼の目にはフィニースミスの幻影が見えているのかもしれない。そしてふと我に返り「誰も追ってないじゃん!」みたいな感じでクローズアウトに行っているのかなーと思った管理人でした。

 マブスディフェンスはウィング陣が主役で、ガード陣はディフェンスの穴だったわけですが、その穴の中では比較的まともに守れていたTHJ。その彼にディフェンスの主役を任したけど、全く機能していません。本人の能力の問題といえばそうなんですが、今まではそこを隠しつつオフェンスでアドバンテージを得ていたわけです。どうにもフィニースミスとブロックがいない影響をもろに受けているようなTHJの話でした。やっぱりあの二人がいないのは痛いよねー。ボロクソに書いてやろうと思っていたTHJでしたが、終わってみるとちょっと気の毒です。自分が得意じゃないことをやらされて批判の憂き目にあっているわけだから。得意じゃないなりに他のガード陣に比べたら頑張っていたんだし。

 DJJやエクサムなんかはディフェンスの主役として活躍している一方で、ここの能力だと物足りない器用貧乏なグラント。ここにフィニースミスとブロックがいれば文句なしなんだけど、いないっていうね。どう考えても問題のあるロスター構成だ。このロスターで行きたいならTHJを放出してウィングなり補強するのがベターな気がします。

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 個人的に推しているトレード案。ラプターズは再建に走っているのでシュルーダーは不要、且つあんまりプレータイムを貰っていないマスダニエルズでウィングを補強したいって感じです。これがアヌノビー、シアカムトレードの前ならロスタースポットをウェイブ以外の方法で空けられるメリットもあって双方に需要がありそうだったんだけどね。多分ないかな。