あ♥@マブスファン

マブス専門NBAブログ(不定期)

【雑談】THJ、要る?−7

 

 いよいよ最後の選手なんですが、どうも気乗りしない。そんなに変なことは書いてないつもりですが、スター選手なだけに多くの人の目についたら叩かれそうだからです。

 

■カイリー・アービング

 2011年全体1位でキャブスに指名されたカイリーは、最初の三年間はチーム自体の弱さもあってプレーオフに一度も出場したことがありませんでしたが、2014-15シーズンにレブロンがケビン・ラブと共にキャブスに帰還、翌年球団初優勝を成し遂げました。この時のカイリーはレブロンの横で活躍する優秀な二番手という立ち位置で、非常に若い年齢ながら優勝に大きく貢献したことが評価されました。その後は色々あってセルツ、ネッツ、そして昨シーズンからマブスに加入してプレーしています。

 非常に優れた得点力を持っており、シュートの精度とそれを支えるハンドリングスキルでリーグ屈指のスコアラーとして活躍しています。特にハンドリングについては歴代最高とも言われており、31歳と選手としては高齢ながら第一線で戦える理由でもあります。

 なーんかどっかからパクってきたみたいな内容になっちゃいました。このシリーズ最後の選手なので、いつもより細かく見ていきましょう。

25.2PTS 5.1REB 5.3AST

 注目したいのはリバウンド。188センチの選手が5.1はシンプルに凄い。195センチのTHJが3.6って考えると余計にね。ちなみにカイリーは昨シーズンも5.1なので、そもそもガードとしてはリバウンドが強い方と言えます。スキルの部分が取り沙汰されることが多い彼ですが、意外と身体能力も高いです。それ以外の数字はそこそこって感じ。二番手として優秀だよねーってぐらいです。ちなみに5.3アシストはキャリアハイ。

FG47.2% 3P41.1%

  極めて効率よくシュートを決めているカイリー。エクサムのスリー41.5%は入り過ぎと思いますが、カイリーはキャリアで39%を割ったのがたった三回と信用できる数字です。FG47.2%も普通のガードとしては優秀。

カイリーのOFF/DEFレーティング 119.7/116.2

オフコート時〃         113.4/114.5

 オフコートだとやはりディフェンスが良くなるマブスガードあるあるですが、ひどいってほどではない。オフェンスの貢献的にいてくれると助かる選手です。

 

■シューティング

 キャリアで50/40/90を二度達成したことのあるカイリーなので、彼を引き合いに出してドンチッチの得点効率に難癖をつける人もいますが、本当にカイリーの方が効率が良いのかと言われるとそうでもないです。というのも2Pシュートの確率が低いからです。

ゴール下 64/105 61.0%

ペイント内(ゴール下除く) 66/127 52.0%

ミドルレンジ 42/108 38.9%

3P 78/190 41.1%

 ペイントエリアより内側のシュートの成功率は高いものの、ミドルレンジの効率の悪さが足を引っ張っています。

シュート分布

ゴール下 19.8%

ペイント内(ゴール下除く) 24.0%

ミドルレンジ 20.4%

3P 35.8%

 概ねこういう内訳。確率の低いミドルレンジがゴール下より多いです。言い換えればゴール下まで侵入出来ないってこと。

ゴール下 108/142 76.1%

ペイント内(ゴール下除く) 100/186 53.8%

ミドルレンジ 65/154 42.2%

3P 139/372 37.7%

 これはドンチッチの数字。ゴール下のFG%は凄まじいとしか言えない。ペイントエリアのシュート、いわゆるショートレンジもミドルレンジも若干カイリーより成功率が高い。

シュート分布

ゴール下 16.6%

ペイント内(ゴール下除く) 21.8%

ミドルレンジ 18.0%

3P 43.6%

 しかしゴール下のアテンプトの割合が少ないドンチッチ。というか全体的に2Pの割合が低いです。その分ミドルレンジも減っているから悪くはないのかな?

カイリー EFG54.5% TS58.6%

ドンチッチ EFG56.4% TS60.8%

 どちらもドンチッチの方が上。カイリーが別に悪い数字ってわけではないですが、効率の話をするならドンチッチの方が明確に上だと言えます。これが「普通のガードなら優秀」なFG%のカイリー。カイリーは普通のガードじゃなくて3Pを41.1%で決められるスコアラーです。アテンプトの過半数が3Pになるシューターなら分かるけどさ。これが管理人の引っかかった部分で「こんなに3P確率よく決めてるのになんでFG50%行ってないんだ?」と思いました。2Pの効率の悪さが足を引っ張っていたわけですね。

 ミドルレンジのシュートは2点しか取れないのにゴール下より確率が悪くなりがちなので、よっぽど確率が良くない限りは良いシュートとは呼べないわけですが、38.9%はどう考えても低過ぎます。ただゴール下に侵入する為の駆け引きの道具としては有用で、プレーオフなんかだと特に効率とは別に必要なシュートにはなります。そういう事情があるので一概に否定することは出来ないんですが、それはそれとしてマブスには必要ないシュートでもあります。というのもミドルレンジはドンチッチが使いたいスペースでもあるので、はっきり言って邪魔になるんだよね。

THJシュート分布

ゴール下 11.9%

ペイント内(ゴール下除く) 9.1%

ミドルレンジ 18.4%

3P 60.5%

 一方のTHJ。シューターだから当然なんですが、圧倒的にスリーのアテンプトが多いです。その分ペイントエリア内のアテンプトも少ないわけですが、ドンチッチが使いたいスペースを確保するって意味ではやっぱりTHJの方が相性的には良い。だからカイリーにはもっとシンプルにスリーを打ち切って欲しい管理人ですが、身長的な部分で打ち切れなさそうな感じもします。そういうとこも含めてTHJはオフェンス面でドンチッチの相棒感が強いです。

 

■ハンドラー能力

 まあでも、多くの人はカイリーにもっとボールを回せって思っているんじゃないかな。実際管理人もそう思っています。ただそれでオフェンスが上手く行く、もっと言うと勝てるようになるかは全くの別問題。というか普通に負けると思うよ。

 そもそもカイリーって味方のアクションに適切に捌いてくれるPGじゃないよね。自分で突っ込んで困ったらパスするっていう感じなので、プランのあるオフェンスを実行できるタイプではありません。コンビプレーとかならまだ出来るけど、少なくともフリーになった味方に適切にパスを出すっていうPG像をカイリーに抱いていたら痛い目を見る。ドンチッチみたいなプレーを期待したいならエクサムの方が適任です。

カイリーのパス数(ドンチッチ以外) 34.3

アシストに繋がった数(ドンチッチ以外) 4.6

 ドンチッチがいない時間にカイリーがボールを持った時のパスについてです。これをAST/PASS%で表すと13.4%。この数字が高いほど自分のパスから得点に繋げられているってわけですが、ドンチッチはこの数字が17.0%です。ちなみにハリバートンが17.1%、ヤングが19.1%と頭一つ抜けています。ハリバートンはそもそものパス数が多いって事情もあってこの数字が低くなりがち、なはずなんだけどなあ。

エクサムのパス数(ドンチッチ以外) 18.6

アシストに繋がった数(ドンチッチ以外) 2.3

 ちなみにエクサムのAST/PASS%は12.3%とカイリーよりやや低め。ですが注目したいのは、実はドンチッチへのパスの方。

カイリー→ドンチッチへのパス数 10.6

アシストに繋がった数 0.6

エクサム→ドンチッチへのパス数 7.7

アシストに繋がった数 0.5

 気付いたでしょうか。カイリーの方がドンチッチにパスする回数が多いんですが、アシストに繋がった数はほぼ一緒です。これをAST/PASS%で計算すると

カイリー→ドンチッチ 5.7%

エクサム→ドンチッチ 6.5%

 これはつまり、ドンチッチはカイリーより、エクサムからパスを貰った方がシュートを決めやすいということです。

ドンチッチのキャッチ&スリー 0.8/1.9(41.4%)

 去年のキャッチ&スリーが0.4/1.1の35.2%とアテンプトも確率も向上したドンチッチ。その裏にはカイリーとエクサムのパスがあるわけですが……

カイリー→C&3 0.8/2.0(38.9%)

エクサム→C&3 0.6/1.2(50.0%)

 エクサムからのパスだと圧倒的に高確率で決めるドンチッチ。実際の試合を見ていても、エクサムからパスを貰ってキャッチ&スリー打つ時って全然動いてないもんね。スリーを打つ以外余計なことを考えなくて良いっていうのが、成功率以上にプレーしやすそうなドンチッチです。事実、ドンチッチとエクサムがコートにいてエクサムがハンドラーをしている時、ドンチッチはコーナーでぼっ立ちしています。カイリーはとにかく空いてるところにパスを出しちゃうタイプなので、中々ドンチッチを見つけてくれない。

 

■結論

 高いスコアリング能力を持つカイリーはマブスのオフェンスを助けてくれる存在ではありますが、ドンチッチと相性の良い選手かと言われると疑問が残ります。効率の悪いミドルレンジシュートの多さを考えると、素直にスリーを打ちきってくれるTHJの方が適任だし、将来そのポジションに据えたいであろうハーディのプレータイムを奪ってしまっています。ドンチッチの横に並べるハンドラー――というかPGとしてはエクサムの方がドンチッチとの相乗効果を生めています。特にエクサムはディフェンスのことを考えると比べるまでもないってぐらいです。

ドンチッチの横に並べるスコアラーとしてはTHJの方が適任で、ドンチッチの横に並べるPGとしてはエクサムの方が適任

 そんなカイリーです。凄く中途半端な立ち位置で、ドンチッチの相棒感がない選手。エクサムがここまで出来るのはさすがに想定外だったけど、昨シーズンからTHJと役割が被っているのは分かっていたよね。だからスコアラーの補強というよりは二番手のPGの補強としてのカイリーなんだと思うけど、だったらもっとPGらしい選手にしろよと思う管理人。ディアンジェロラッセルとかさ。

 これらの相性を加味してドンチッチを中心にチームを作るならスタメンにはTHJかエクサム、もしくはどっちも起用したい。そしてドンチッチがいない時間にエクサムと並べてプレーさせるっていうのが一番バランスが取れてそうだけど、そうするとカイリーのプレータイムって長くても20分行かないんじゃないかな。だからTHJのアップグレード版としてカイリーにプレーさせられたらいいんだけど、それはイコールでバンバンスリーを打って欲しいってこと。でも、そもそもサイズ的にTHJ以上に打ち切れるのか? っていう疑問があります。あとそうなったらカイリーのハンドリングは見れないんだろうね。残念。

 

 良い選手ではあるけどドンチッチとフィットしているようには見えないカイリー。管理人的には、このロスターで行きたいなら最低でもカイリーかTHJのどちらかをトレードしてウィングディフェンダーを補強するのがベストだと思っていますが、カイリーは出せそうにないなあ。3年の大型契約、最終年は34歳、大怪我の過去もあり。おまけにネッツ時代に見せたコート外での問題もあって、あと2年以内にどうしても優勝したいチームとかじゃないとそもそも交渉すらしてくれなさそう。個人的にはLALからディアンジェロとプリンスやレディッシュなんかを狙いたいんですが、そもそも成立するかも分かりません。やっぱりどう考えてもカイリーじゃなかっただろと感じる管理人でした。