あ♥@マブスファン

マブス専門NBAブログ(不定期)

【23-24 RS-46】マジック戦雑感

 

 いやー良い試合だった。このところ仕事だったり用事だったりで中々リアルタイムで視聴出来なくてストレスが溜まっていた管理人でしたが、久々のリアタイ視聴で良いものを見せてもらった。大満足です。何がいいって、次回の記事で書きたかった要素が色々と詰まった試合だったからです。

 マジックとの対戦は今シーズン二回目。シーズンの序盤に対戦して、その時はマジックのディフェンスにドンチッチ以外手も足も出なかったって感じでしたが、それから後半戦に差し掛かってどう変化したのかっていうのが見どころです。ちなみにマブスはカイリー、エクサム、DJJが欠場で、マジックはマーケル・フルツとゲイリー・ハリスが欠場です。

 

■第1Q

 第1Qはジョナサン・アイザック劇場でした。怪我が多くキャリアを通して試合の半分も出ていない彼ですが、出場した時はディフェンスでとてつもない貢献をする選手です。まさに幻のDPOY。そんなアイザックにアイソを仕掛けるドンチッチですが、まあ凄かった。本来スピードのミスマッチになるはずのガード対センターなのに、簡単に侵入を許してくれませんでした。横の動きが早い印象はありませんでしたが、最小限の歩数とフィジカルでドライブコースを塞ぎ、ドライブが出来なくなったドンチッチのアクションを封じ込める観察力と腕の長さ。ここを突破するのが難しいと判断して、以降積極的にマンマークに行こうとするアイザックをスクリーンで剥がしていましたが、そこからが本領発揮って感じ。ゴール下でヘルプ役に徹すると、ドライブしてきたドンチッチに自由を与えさせませんでした。シュートが打てないっていうのは分かるけど、パスすら満足に出させていなかったんだよね。

 異常なディフェンス力を見せたアイザックはたった7分の出場で+15とイカれた数字を叩きだしました。なんで7分しか出なかったのか分からないけど、もし出ていたとしたら普通に負けていたと思います。本当に幻のDPOYじゃん。

 ただそれとは関係なく、ドンチッチはウィングにパスを出してプレーを任せました。これがドンチッチ以外の選手のプレーパターンを増やすオフェンス戦術、つまりドンチッチのアイソを減らすオフェンスに繋がるところです。ボールを貰ったグラントはシュートフェイクからドライブして、ダンカーズスポットのライブリーに華麗なアリウープパス、これが決まります。JGはバンケロとの1on1でボールをロストしました。

 グラントってボールを貰う動きが優れているってのは前から思うんだけど、スリーを打つか打たないかの判断もめちゃくちゃ良いよね。正確にはカウンタードライブをするかどうかの判断って感じか。それでカウンタードライブしてどうするかいつも迷っていたけど、最近は割と自信を持ってアタックしている印象です。ドライブして誰にパスを出すかキョロキョロしていたのが、今は「俺がエースだ!」ぐらいに切り込んでいます。多分もっと思い切ってやれって言われたんだろうね。管理人もそう思っていました。

 アイザックとフランツとの交代でアンソニー・ブラックとジョー・イングルスが入ると、ディフェンスのマジックが一転してオフェンスのマジックになりました。ぶっちゃけ個人技で突破するだけっちゃだけなので、魅力的なオフェンスとまでは思わなかったけど、唯一魅力的だったのはアンソニー・ブラック。ボールを離してからのポジショニングが抜群に良く、基本はコーナーにいながらもハンドラーが困ったら視界に入る所まで動いたり、逆に空いていたコーナーにこっそり走ったり。ルーキーとは思えないほどコートの状況を把握するのに優れていました。

アンソニー・ブラック 20PTS FG 7/9 3P 4/4

 この数字の軽く3倍ぐらいはフリーになっていた気がするブラック。しかしパスが来なかった。それはブラック以外にもフリーにしてしまうマブスのディフェンスと、ブラックを見つけられないマジックのハンドラーの問題。少ない試投数ながらきっちり決めきるシュート力もあるので、マジックじゃなければもっと輝いていたんだろうな。ハーディもこのぐらい決めてくれればなあ。そんなハーディですが、

ハーディ 20PTS FG 8/9 3P 4/5

 別人のようにシュートを決めまくりました。クリバーがパスの中継役となってコーナーからスリー、ドンチッチのキックアウトからスリー。更にゲーム通して7ASTのおまけつき。こりゃたまげた。元々フィニッシュ力とフィジカル以外は全て高いレベルで持ち合わせているハーディ。その二つ、特にフィニッシュ力が致命的だから扱いに困っていたわけですが、これだけ決めてくれたら文句のつけようがないよね。

 ハーディをエリートディフェンダーだと思っている管理人ですが、今日はそのエリートなディフェンダーっぷりも発揮しました。第1Q3:57からのイングルスとモリッツのP&R、スイッチで守るホームズの様子を見てイングルスがモリッツにパスしますが、そのパスをドンピシャの位置でカットします。まあパスを出すのはバレバレだったけど、スクリーンで剥がされながら追いつくスピードが凄い。しかしカットしたボールを確保してクリバーに渡そうとしたところでバンケロに奪い返されます。あーあ。

 続くポゼッションでバンケロがハーディをターゲットに1on1を仕掛けますが、ここでもディフェンスで魅せます。フィジカルのあるバンケロにファウルしないギリギリのところまで密着して食らいつくハーディ。そこで無理やりシュートを打とうとしてオフェンスファウルになりました。やるな。

 そして2:40あたり。トランジションオフェンスを任されたハーディはスピードを変えながらペイントエリアまで侵入。ここでいつも潰されがちなんですが、ホームズをマークしていたコール・アンソニーが自分に寄ってきた瞬間にパスを合わせ、ホームズにアシストします。これは本当に感心しました。ドライブコース的にパスを出したそうではありましたが、トランジションのスピードの中でコール・アンソニーが食いつくのを辛抱強く待つ胆力と観察力はちょっと偉すぎる。

 1:50。ドンチッチが下がってハーディがハンドラーのスペインP&Rのところです。センターのモリッツにあえて体を寄せるハーディ、これに対してモリッツが寄ってくる頃にはボールを離して、またもホームズにアシストします。痺れるぜ。あと地味に1:20のところでもディフェンスのハーディが見られるんですが、アンソニー・ブラックが決めたからやめよう。

 こんな感じに大活躍したハーディ。ぶっちゃけスリーがこれだけ入ったのは上振れとしか言いようがないけど、随所に好プレーを見せてくれました。元々コートビジョンはかなり優れているしパスの精度も高いんだけど、それを活かせていなかったハーディでしたが、キングス戦を契機に目立っています。試合を見た印象としては、

ボールを離すのが早くなった

 これがアシスト増に繋がっている印象です。良く言えば味方にプレーを促すパス、悪く言えば他人任せなパス。そして今シーズンのマブスが重要視しているのがこの他人任せなパスのような気がします。

 

■第2Q

 ようやくチームメイトから見つけてもらえたブラック。そのブラックを見つけられないし、見つけても追わないマブスはスリーを連発されて点差を離されます。あまりに決められるもんだから皆がブラックを見てたら今度はインサイドでやられまくります。けどまあ、別にって感じ。ドンチッチが一応マークしていたコーナーからのカットでダンクされましたが、全く気にしていない様子です。と思ったらJGとハーディにブラックを監視させたキッド。とはいえそれ以上のことはしてないので、やっぱりディフェンスのことはあんまり気にしてなさそう。

 第2Qも変わらずパスを回すドンチッチ。ボールマンに寄りがちなマジックのディフェンスなので、ちょっと動けばフリーでパスを貰えるJG。しかしまあシュートが入らない。入らないからドライブしようとして、やっぱり途中でやめてミドルを打ってまた外すと、歯切れが悪いプレーが続きます。

前半JG 0PTS FG 0/3 0AST 1TO

 徐々に自信を持って色々なプレーし始めたハーディとグラント、元々色々なプレーをするTHJたちウィング陣の中で、どうも自分を見失っているようなJG。ディフェンスでは変わらず貢献してくれましたが、そもそも最初から守る気なんてなかったマブスなので、やっぱりオフェンスの部分ばかりが目立ちました。パスを貰うまでは良いけど、そこから何をすればいいのか、それをこの試合中に見つけるのがこの試合でのJGの課題。

 

■第3Q

 11:10。ドンチッチとのスクリーンでドンチッチ対ブラックのポストアップを始めさせたJG。ドンチッチから視線を逸らせないバンケロの目を盗んで左ウィングに移動、見事パスを引き出させますが、ここでも迷ってしまった。素直にTHJにエクストラパスを渡せば良かったのに、一瞬躊躇した結果ディフェンスが間に合ってしまいます。結果ボールを戻されるんですが、ここで苦し紛れのスリーを選択。うーん、迷走。カウンタードライブからドンチッチに戻せばフリーで渡せたし、もしドンチッチにディフェンスが間に合っても右コーナーに移動すればスペースは開けられたのにね。いつもは二手、三手先を見ているJGが、目の前の一手をどうするかで悩んでいます。そのミスを取り返そうとしたのかファウルしちゃった。

 対するグラントはコーナーでパスを貰うと「俺がエースだ!」とドライブして逆のコーナーにいたJGにパス。普通に外します。続くポゼッションでグラントに倣うかのようにフランツに1on1を挑んでオフェンスファウル。うーん。

 そんなわけでイマイチ勢いに乗り切れないマブスオフェンスですが、それ以上に乗り切れなかったマジック。インサイドに固まって動かなかった陣形をちょっとシューター寄りに広げたわけですが、途端にシュートが入らなくなりました。アジャストってほどのもんでもないんだけどな。実際またブラックはフリーになってたし。だけどバンケロは見つけられない。痺れを切らしたのか自らボールを奪うように貰いに行くブラックでした。それでも入らなかったけどね。おまけにライブリーがいるゴール下に突っ込んでいくし。ザ・自滅って感じ。これをディフェンスのアジャストだとは思わない方がいいな。

 タイムアウト明け、06:30あたりでドンチッチのドライブに対してうっかり寄ってしまったバンケロを見てコーナーのグラントにパスを捌くと、今度はスリーを打ち切りました。うっかり屋さんなバンケロ。続くプレーでスクリーン→ゴーストの動きでフリーになったTHJがスリーをヒット。珍しくタフじゃないスリーです。ここはブラックがうっかり。

 とうとう下げられたJG。代わりにハーディが入ります。そして3:36に管理人的に一番好きなプレーが出ました。OREBを確保したハーディにボールを要求するTHJ。それを一瞬無視したかと思えば、ドライブフェイクでTHJをマークしていたサッグスを自分に引き付けたところでパス。すかさず寄ってきたモリッツでしたがそれをワンドリブルのステップサイドで躱し、オープンスリーを再びヒットさせました。思わずTHJも笑顔。

 このプレーの何が良いかっていうと、ボールを離すのが早くなったハーディがあえて離さなかったところ。OREBを取った瞬間にTHJに渡していたらサッグスにマークされたタフスリーになっていたんだろうけど、あえてそれをしなかった。それはサッグスがTHJをマークしていることをちゃんと見ていたし、何より

ボールを離すのが早くなったけど、他人任せではない

 ってことです。気遣いが凄い。「ビール!」って言った時にはもうビールに枝豆まで並べてる若手社員ぐらい凄い。こんな後輩欲しいよ。

 二本続けてオープンのスリーを決められて気分が良くなったのか、続くトランジションスリーも気前よく決めて逆転します。そしてタイムアウト明けにはドライブから&ワン。真っ先にハーディとごっつんこしに行くTHJ。そしてドンチッチに褒められるハーディ。極めつけはトランジションで走るハーディに、THJが今までの恩返しのようなアリウープパスです。

 

第3QTHJ 15PTS FG 5/7 3P 3/4 FT 2/3

 爆発したTHJですが、この爆発のきっかけを作ったのがハーディのパスのように思います。普段タフなスリーしか打てないTHJが、これだけオープンで打てたらそりゃ乗りやすいよね。まさに味方にプレーを促すパスですが、ハーディのあのパスは味方に良いプレーを促すパスだったと言えます。これ以上ないってぐらいにね。

 

■第4Q

 第3Qに逆転し、なんだかんだで再逆転、なんだかんだで接戦になった第4Q序盤。ノリノリなハーディの一方で一向に乗り切れないJGが登場します。その後もディフェンスでは活躍しつつも、オフェンスではいるのかいないのか分からないみたいな状態になっていました。しかし08:45でようやくドライブからゴール下のライブリーにパスを合わせます。それがきっかけになったのか、次のプレーではグラントにパスを中継。ディフレクションされたけど、判断は多少早くなった。ただ目立つほどの活躍ではなく、結局ハーディと交代。このまま出ないかもなと思っていましたがゲーム終盤で再登場。キッドはJGにチャンスを与えました。ってことでここが正念場。

 残り2:00のところでJGにパスするセット。ここでJGはドライブから再びコーナーへキックアウト。このドライブが特徴的で、JGはあえてゴールに向かわずディフェンダーの方に向かってドライブするんだよね。ディフェンダーを引き付けるのが目的だからドライブコースを見たらパスするかどうか分かるんだけど。だからぶっちゃけあの場面でパスするっていうのはマブスを研究してるチームにはバレるんだよね。ただコール・アンソニーは引っかかってくれて、パスを受けたTHJがカウンタードライブ、ファウルドローします。ぶっちゃけTHJに救われたJG。

 ただ次のプレーは秀逸でした。同じようにパスを貰ったJGが今度はアンソニーに向かってドライブ。「またパスかな?」って管理人は思いましたが、アンソニーの裏を取ってゴール下を決めます。前のプレーをフェイクに使ったJG。信用して起用してくれたキッドと、信用してパスを回してくれたドンチッチに応えたプレーでした。そんなこんなでファウルゲームになり、なんとか勝ったマブスでした。

 

■総評

 ドンチッチ15ASTときっちり捌ききり、それに応えた選手たち。ドンチッチのアイソ以外のオフェンス構築を課題として見るなら、今日の試合は75点だね。本当はジョナサン・アイザックが出ている時間にドンチッチがパスを捌ききれるか、ロールプレイヤーたちはパスを貰いに行けるのか、そして貰ってから何が出来るのかを見たかった。なんでアイザック出なかったんだろうね。出てたらさすがに負けていたと思うけど、管理人は全然負けていいと思っているので非常に残念でした。アイザック相手に同じことが出来ていたら100点だったんだけどな。

 終わってみればTHJが36点の爆発。これでなんとか勝ったように見えますが、爆発のきっかけを自分たちのプレーで作れたっていうのがこの試合の良いところでした。実際前半はタフスリーばっかりで全然入ってなかったけど、第3Qにオープンスリーを打たせてもらってからは、そこそこ難しいシュート決めていたしね。ハーディの20点はどうなんだろう。

 それと3分しか起用されなかったホームズ。以前だったら「もっと使えよ」と思っていたんですが、ウィングにプレーを任せるオフェンスを試したかったからだと思うとまあしょうがないかって気もします。短い出場時間でハーディとP&Rをしていたので、おそらくホームズは「ハーディのP&Rの先生」的な役割なんだと思います。もっとハーディのP&Rスキルを伸ばしたいって気持ちは当然ある反面、今日のJGみたいにまだまだドンチッチと一緒にいる時間の連携が十分じゃないからそっちも試したいって気持ちもあるし……難しいな。そう考えると、優勝するまでの道のりはまだまだ長そうだ。