主にオフェンス面で準備不足感が目立つウルブス。まあオフェンスで勝ってきたチームってわけでもないので当然っちゃ当然なんですが、マブスのディフェンスに苦しんでいるっていうのはレギュラーシーズンでは考えられない話だよね。
■第1Q
ウルブスはドンチッチがスクリーンを使う場面でブリッツを多用しました。スイッチでやられ続けるのは嫌だってことです。まあマブスとしてはそんなに困りません。スクリーナーの動きに合わせてパスを捌けば4対3でオフェンス出来るし。
ブリッツはチームで一番ボールを持たせたくない選手から手放させるという意味では有効ですが、要するにダブルチームなので、パスさえ捌ければ一転してディフェンスは数的不利になります。ただ4対3になる時間っていうのは本当に一瞬なので、ボールを貰った選手が素早く適切に判断出来なければ簡単に解消されてしまいます。でもってここの判断っていうのはキッドがレギュラーシーズンで拘り続けた部分でもあるので、あっさりとコーナーまで展開出来るマブス。PJとDJJのコーナースリーが決まります。
ギャフォード 5PTS 3REB 1AST 3TO
ギャフォードのスクリーンを使う時にブリッツされると、ギャフォードはダイブしてハイポストでボールを貰います。この時オフェンスの判断をドンチッチから任されるわけですが、あんまり適切ではなかったよ。空いているシューターにパスを捌けないこともあったし、かといって押し込みきれずボールをロストすることもありました。
ライブリー 6PTS 3REB 2AST 0TO
怪我で9分しかプレー出来なかったライブリーでしたが、ブロック以外のスタッツは全てギャフォードを上回っています。ギャフォードは物足りないし、ライブリーは出来過ぎ。
スクリーン→ダイブでパスを貰った時、ギャフォードはプレーチョイスが自分のシュートに寄り、ライブリーはパスに寄っています。理想はこの二つを完璧に判断して点を取り続けることですが、その理想からはまだ遠い二人です。ライブリーは判断に関しては文句なしと言えますが、自分がシュートを打つってなった時に決めきれない場面が多い。言い換えると、ここを決めきることが出来ればスター選手に足を踏み入れることになると思います。
対するギャフォードはパスの判断が甘く、仕方なくドライブを選択することが多いです。それで決めきる能力はライブリーより高いけど、じゃあギャフォードのスコアリングに全部託せるかって言われるとそこまでじゃないよね。得点能力にも判断力にも課題を抱えている感じです。まあこれでも相当成長してるけどね。このシチュエーションで「判断に時間を掛ける」っていう一番やっちゃいけないことはやっていません。
そんなこんなで快調に得点するマブス。対するウルブスのオフェンスは、エドワーズのドライブっていう基本ラインは変わっていないけど、仕掛け方はちょっと変わりました。エドワーズがオフボールで動いてボールを貰うことでマブスのディフェンスを動かします。そこにコンリーのスクリーン→ダイブを加えたりして、マブスのミスを誘う事にも成功しました。前回よりは楽そう。
タウンズのポストアップ pic.twitter.com/BHssTnb8AA
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そしてタウンズのポストアップ。相変わらずPJに仕掛けています。狙いはドンチッチに対して高さで優位を取れているゴベアのところだと思うんですが、パスを捌けないタウンズでした。捌けなかった理由は割と複雑で、PJの腕が長くてコースを潰されたとか、単純にタウンズに出すスキルがなかったとか。でも、そもそもゴベアにパスを出すってことは、最終的な狙いとしてはインサイドヘルプでがら空きになっている右コーナーだよね。だからタウンズはゴベアじゃなく直接コーナーにパスを捌くっていう選択肢もあったはず……ってマブスファンの管理人は思います。最終的にどうにもならなくて、エドワーズにパスを戻して勝手に決めます。ぶっちゃけここでコーナーにパスが捌けないなら、PJから点を取れないことも含めてやる意味あんの? って思います。
ナズのドライブ pic.twitter.com/pWsNATPb4X
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あとこれね。タウンズをナズに変更したウルブスは、早速ナズのドライブで仕掛けます。これを止められてマクダニエルズにキックアウトしてショートレンジを決めたシーンですが、明らかにナズが邪魔だよね。ここってドライブしたナズがパスした後、そのまま右コーナーに走ってシューターが全員左にポジションチェンジするっていうのが正解だと思うんですが、完全にドライブコース潰してるよね。こういうところがオフェンスの準備不足感。あとナズのドライブを数で止めてキックアウトすることを完全に理解しているハーディでした。
点差的にも大きな違いはなかった第1Qでした。でも小さな違いはあって、それが5点差になったようにも思えます。エドワーズのドライブをギャフォードのショーディフェンスで食い止め続けたことが、ちょっとしたやり辛さを生んでいました。ショーディフェンスするならミスマッチになるゴベアが活きやすくなるんですが、エドワーズはパスを捌きません。それはゴベアが見えていなかったのか、ゴベアに渡してもしょうがないと思ったのか。
■第2Q
第1Qの終盤からアンダーソンを起用したウルブス。第2Qはゴベアがいない時間での起用です。ゴベアとアンダーソンを並べるのはスペーシング的に苦しそうなんだけど、じゃあゴベアがいないと機能するかっていうとそれも微妙なんだよね。5アウトでスクリーンを利用しながらドライブとキックアウトを狙うウルブスは、マブスのディフェンスでドライブ出来ず、キックアウトしてもオープンにはなりません。
マブスはゲーム2と比べるとディフェンス時にワイドにポジションしています。アンダーソンにパスを中継されるのが嫌なんだとは思いますが、何気にパス以外でも仕事はしていて、コーナーシューターへクローズアウト出来ないようにオフボールスクリーンを掛けてオープンを作ってはいましたが、タウンズはパスを出せず。パスを出せないとただスペーシングが窮屈になるだけなので、アンダーソン要らないじゃんってなります。
オフボールでゲームメイクするカイル・アンダーソン pic.twitter.com/Suq6EzXFUF
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こことかはアンダーソンがプレーを作ったポゼッションです。エドワーズに対してダブルチームを仕掛けたところ、すかさずタウンズに右コーナーへ移動させ中継役としてボールを要求します。ぶっちゃけここにパスさえ出せればアンダーソン→タウンズのコーナースリーに繋げられたけどボールは来なかったよ。ただアンダーソンのところへ若干収縮したことでナズのドライブ。
第2Q 07:52 33対43(マブス10点リード)
ゴベアがいない時間、マブスが10点取っている間にウルブスは5点しか取れていませんでした。アンダーソンを活かす意識が低いし、活かせないならドライブの邪魔になるっていうね。だからスペーシングは苦しいけど、ゴベアとアンダーソンを並べた方がアンダーソン自体は活きている気がします。まあそうまでして拘る必要もない気はするけど。ちなみにコンリーとゴベアのツーメンゲームはほぼなく、エドワーズだらけだった前半でした。
前半タウンズ 5PTS 4REB 3AST
FG 2/10(20%) 3P 0/5(0%)
ポストアップを仕掛ける事自体ちょっと減ったゲーム3。シューターとしてポジションして外に引き出させたところをドライブするっていうのがタウンズの武器ですが、まずスリーが全然入らない。この時点で、このシリーズ約16%という3P%を誇っています。そりゃきついぜ。
前半ナズ 6PTS 1REB 2AST
FG 2/5(40%) 3P 0/2
入らないといえば前回はちゃめちゃに決めまくったこの人も入っていません。というか打てていません。まあマブスのディフェンスが広がったことが原因だし、しょうがない。ドライブは2/3で決めています。まあぶっちゃけウルブスの問題って、スリーが入らないのもあるけどディフェンスを広げても、マブスは何の問題もなかったっていうのが大きい気がします。広げたところでそのスペースを有効に使えていないウルブスです。
唯一エドワーズのドライブに対してはガッチガチにインサイドを固めるし、ダブルチーム気味に守ってボールを手放させることもありますが、そこで適切な判断を出来ないとただただ苦しいよね。エドワーズの問題でもあり、スリーが入らないのが問題でもあり、それ以外のオプションが機能していないって問題でもあり。
■第3Q
後半はゴベア対ドンチッチのポストアップから始まり、スティールされたゴベアが女の子座りになるところから始まりますわ。ゴベアのポストアップはレギュラーシーズン中ちょいちょいやっているのを見たけど、未だに意図がよく分かりません。ただコンリーがゲームメイクする形ではありました。ということで後半はコンリーで崩しにかかります。
— あ♥@マブスファン (@heartamavs) 2024年5月28日
ゴベアのスクリーンでマッチアップを交換し、エドワーズのスクリーナーになることでビッグマンをアウトサイドに引き出した状態でのドライブ。前半はギャフォードのショーディフェンスに止められていましたが、そんな事実はなかったかのように突破します。それでもドンチッチのところで一瞬止まるんですが、ユーロ気味に一歩踏み出したことでレイアップに持ち込みます。これは外れたものの、エドワーズに引き付けられてタウンズのボックスアウトが出来ず、OREBで押し込まれます。一歩でどんだけ進むんだよってぐらいに侵入したエドワーズ。
エドワーズ、コンリー、ゴベアのスペインピック pic.twitter.com/qP9NvxBhiA
— あ♥@マブスファン (@heartamavs) 2024年5月28日
次のポゼッションでは同じくギャフォードに仕掛けようとしたところでコンリーにパスするスペインP&R。見事にオフェンスの流れを作っています。そうこうしていたらタウンズがPJをスコ抜きしてファウルドローしたりと、前半の出来はなんだったのかってぐらい順調にオフェンスを続けるウルブスでした。
エドワーズ、コンリー、ゴベアでオフェンスを作っていましたが、ここでコンリーが下がります。4ファウルっていうことで下げたのかよく分からないんですが、せっかく上手く行っているのに下げて大丈夫? と思ったらゴベアまで下げてナズとNAWが出てきます。本当によく分からん。ただそんなの関係ないとばかりにエドワーズがドライブしては決めていきます。
第3Qエドワーズ 10PTS 2REB 3AST
このクォーターのエドワーズはめちゃくちゃでした。PJだろうがなんだろうがドライブで抜いて、無理やりゴール下まで侵入してシュートを打ちます。ゴール下まで侵入するっていうのが大事で、たとえレイアップを外してもエドワーズにディフェンスの人数を割かされるのでOREBで押し込むことが容易になってきます。エドワーズのFGは5/10で、効率の話をすると特別優れているわけではありませんでしたが、この数字以上に点を稼いでいました。
めちゃくちゃなのはエドワーズだけじゃなくて、ウルブス全体がそうでした。ゾーンディフェンスで一気に停滞するマブス。なんかもう、理屈とかじゃないよね。ペイントエリアに侵入したら最後、シュートを打つなんて以ての外、パスを戻せれば上等ってぐらいにハイプレッシャーなディフェンスでした。ゾーンディフェンス自体はこのシリーズで何度もやっていたし、ドンチッチはタイムアウトも取らずに攻略していたんですが、あまりに強度が違い過ぎてね。エドワーズのめちゃくちゃなドライブと、ウルブスのめちゃくちゃなディフェンスで一気に逆転を許したマブスは堪らずタイムアウト。あのままだったら、ぶっちゃけこの後1点も取れずに終わるんじゃないかって感じだったよ。
タイムアウト明けのマブスオフェンス。落ち着いてゴベアをペリメーターに引き出し、カイリーでいじめます。そこから一分ほどしてカイリーをハーディに変えるキッド。余裕だね。そのハーディもゴベアにペリメーターで仕掛けてファウルドローを誘い、4ファウルで下がらせます。でもってドンチッチはマクダニエルズに1on1を仕掛けてファウルドロー、4ファウルで下がらせます。君だけやってること違うくない?
このシリーズ、意外とドンチッチはマクダニエルズを苦にしていません。元々ドライブを止めるのがそんなに上手いわけではないってのはあるけど、抜かれてから平然とブロックされる恐ろしさがマクダニエルズです。ただいつもなら外しそうなミドルレンジも決めるから、そうなったらこっちのもの。それが出来るガードがどんだけいるんだって思うし、一体どんな躱し方してんだって感じだけどね。
第3Qタウンズ 9PTS 5REB FG 3/4(75%)
何気に凄かったタウンズ。相変わらずPJに仕掛けているんですが、ドライブで簡単に抜き去り&1も決めました。ポストアップするタウンズなんてPJからすれば何にも怖くないんですが、正対した状態で仕掛けられるとちょっと止めるのが難しいよね。ビッグマンのパワーがありながらスピードは普通にガード並みだし。実際高い位置からのアイソではPJもゲーム1からそこそこやられていました。ますますポストアップを多用したゲーム2の意図が分からない。
■第4Q
ウルブスのゾーンに苦しめられて一時は逆転されましたが、あっさりいつもの調子に戻ったマブス。こうなると結果はもう分からない。
エドワーズがいない始まりで、ウルブスはコンリーとアンダーソンを中心に組み立てていきます。マブスは相変わらずアンダーソンに打たせるディフェンス。変に人数を掛けてワイドオープンを作ったり、ゴール下を空けたりするぐらいならアンダーソンが外すことに賭けるってことです。21-22シーズンのキッドを見たらちょっと考えられないプランな気がするけどね。
第4Qアンダーソン 8PTS FG 4/5(80%)
ただ中々外してくれないアンダーソンでした。お前はスーパースターか。この試合でアンダーソンは6つのFGAがありましたが、その内5つがこのクォーターです。ということでプラン通りのディフェンスは出来たけど、思ったような結果にはならなかった時間でした。
アンソニー・エドワーズの姿をした神 pic.twitter.com/aPDGt7ln9e
— あ♥@マブスファン (@heartamavs) 2024年5月28日
戻ってきたエドワーズは相変わらずのモンスターパフォーマンス。これはもうアンソニー・エドワーズの姿をした神でしょ。ここは本来DJJとドンチッチがエドワーズとナズのドライブを止めきったってなるはずのポゼッションだったのに、冷静に逆サイドのコーナーへパスを捌くエドワーズ。苦し紛れに見えるけどちゃんとアンダーソンがシュートを打つ時間は残されているっていうね。どんだけオフェンスの流れが見えてるんだって感じです。
タイムアウト明けもドライブキックアウトでナズにコーナースリーを打たせては、外れたところをリバウンドで回収するし、DJJがDREBを確保したところを強引にもぎ取ってジャンプボールに持ち込ませるし。もう何でもありかよ。ただ何でもありだったのはマブスも一緒で、カイリーの第4Qに14点というパフォーマンスでどうにか逃げ切りました。
終わってみればこのシリーズで最大点差となる9点差で勝利したマブスでした。ライブリーの離脱というアクシデントはあったものの、代役のパウエルがその穴を埋めていました。代役といえばハーディが7得点を記録しました。ディフェンスで光る活躍もあり、こういった小さな差が積み重なった試合でもあったと思います。
マブス3P 14/28(50%)
ウルブス3P 9/30(30%)
まあ大きな差もあったけどね。ブリッツが増えたことでワイドオープンを作りやすくなり、ここをきっちり決められたことで停滞感なくオフェンスし続けられました。あとここに来てドンチッチが3Pの確率を上げてくるっていうね。怪我はどうしたんだよ。
攻守に変化を加えてきたウルブスでしたが、有効だったのはコンリー、ゴベア、エドワーズのオフェンスと、正対した状態でのタウンズのドライブぐらいかな。アンダーソンがシュートを決め続けるのに賭けるっていうのも手かもしれないけど、そうなったら今までのシーズンは何だったんだと思います。何にせよ、ファウルトラブルでプラン通り実行出来なかった側面もあると思うので、ゲーム4はまずファウルに気を付けるっていうのが大前提だろうね。