あ♥@マブスファン

マブス専門NBAブログ(不定期)

【考察】キッドは正しく理解されているのか?-3

 と見せかけて、パウエルとグリーンの話。前回の続きです。

 

■第2Q

 バランチュナスとナジを残してベンチメンバーに切り替えたペリカンズ。バランチュナスのポストアップからプレーが始まり、第1Qと同じプレーが続くのかと思いました。しかし第2QのペリカンズはアルバラードやカイラルイスとバランチュナスのP&Rというか、コンビプレーで崩す展開を織り交ぜてきます。するとパウエルはハンドラー側に寄りながら、ドライブでの侵入を防ぎ、ゴール下に行く前にシュートを打たせます。このシュートが外れるわけですが、ここで日の目を見るパウエルの献身性。ドライブしたいハンドラーを食い止めつつ、シュートを打った瞬間、というか打つと察知した瞬間ダイブしてくるバランチュナスにボックスアウトし、他の選手にDREBを取らせます。

 第2QのパウエルはP&Rに対して、結構大胆にハンドラー側に寄って行きました。そうすると当然バランチュナスがフリーになり、リバウンドポジションを取られてしまうわけですが……第2Q通してペリカンズのOREBは2、クォーターの最後の方でバランチュナスの1本取られたわけですが、それまではほぼ完璧に抑えています。大胆にハンドラー側に寄るパウエルの裏で何が行われていたかというと、そこにはTHJとクリバーがいました。

 3Pを追いかけるのが苦手、というか異様に追いかけようとしない代わりに、インサイドで積極的に体を張って結局守れないTHJですが、彼がインサイドに留まったことでバランチュナスのリバウンドポジション確保の邪魔をしていました。とはいえ一対一のリバウンド勝負でTHJがバランチュナスに勝てる道理がないわけで、そこで登場したのがクリバーです。シューターを守りながらヘルプに行ける距離感を保つ彼が、THJが邪魔をしている隙にバランチュナスのボックスアウト役を引き受け、邪魔者のTHJはじめ、他の選手がリバウンドを確保します。

 パウエルはハンドラーとロールマンの両方を視野に入れて、どちらも守ることが出来るバランス感覚がありますが、とはいえハンドラーに寄り過ぎることもあります。それがクリバーの存在によって、パウエルは臆さずハンドラーに寄ることができ、結果的に効率の悪いミドル気味のショットを打たせ、OREBに絡もうとするバランチュナスをクリバー(とTHJ)がボックスアウト、他の選手がDREBを確保した。ファンコミュでパウクリてぇてぇって書いたのはこういうことです。フィジカルの部分をクリバーが負担してくれた結果、第1Qでは少し影を潜めていた、センター離れした運動量の一端を見せてくれたって感じです。

 

 ペリカンズ戦とは関係ないけど、たまにパウエルが要らないって言ってる人いるけど、ちょっとヤバいよね。幾ら数字に残らない活躍だからと言っても、試合を通してパウエルの動きを追い続けたら、彼がどれだけの仕事をこなしているのかすぐに分かるのに。特にディフェンスは、ライブリーがいない時なんておんぶにだっこ状態だし、オフェンスでも彼が関わらないプレーってほぼないのに。

 

 手詰まりになったペリカンズは再びバランチュナスのポストプレーを起点にしたりとあれやこれやしますが、シュートがまあ入らない。それでバランチュナスとロビンソンアール二人でOREBに絡みに行こうとしますが、ここも譲らなかったマブス。致し方なしって感じでバランチュナスからナンスに変えて、スモール気味にしたペリカンズ。リバウンドポジションを取るのに拘らず、シンプルにスリーを打ち始めた結果、最初はテンポよく点を取られます。そこで活躍するのがジョシュ・グリーンでした。

 彼もパウエルと同じで数字に残りにくいディフェンスをする選手。中でもコート全体のディフェンスのバランスを見ながら、穴を埋めに行くカバーディフェンスは秀逸です。機動力とテンポのいいパスでアウトサイドをフリーにさせたいペリカンズに対し、JGは適切にその穴埋めをしていきます。パウエルと比べると分かりにくいよね。彼がディフェンスで活躍している時って、ぼーっと見てたらペリカンズがただ単調なオフェンスをしているだけに見えるからね。そしてこれがキッドの真髄とも言えます。21-22シーズンはこの穴埋めを他のウィングもやってくれていたわけです。まあその中でもパウエルとJGの運動量は抜けていましたが。

 バランチュナスのポスト起点で差がつけられず、スモール対スモールでは年季の違いを見せつけられたようなペリカンズ。そんな第2Qでした。

 

■第3Q

 第3Qはホーキンス劇場に見せかけたTHJ劇場でした。勿論悪い意味でね。

 オフボールムーブからのスリーをヒットさせたホーキンスとペリカンズ。動いてはパス、パスしたら動き直してスリー。JGが追いかけても間に合わず、2本目のスリーを決められてからは、ホーキンスにスリーを打たせない距離感でくっつきます。ここはキッド的に苦しい守り方。その甲斐あってかスリーは打たれないのですが、ドライブからのミドルジャンパーでスコアリング。

第3Qホーキンス 14点(FG=6/6)

 ミドルを決められたのはしょうがない気がしますが、しょうがなくない部分もある。それはTHJのアウトサイドディフェンスのルーズさです。最初のホーキンスのスリーはしょうがないとしても、以降ペリカンズのスリー成功の横には、どうしても彼の姿がちらつきます。特にアルバラードに決められた2本のスリーはため息を吐きたくなるものでした。

 ほんと、なんでスリー追っかけてくれないんだろうね。スリーを打とうとする選手を見た時、一瞬見て見ぬふりしたり、ドライブを警戒している風にノロノロとクローズアウトしたり、果てはボール持ってない選手に対してダブルチームみたいなヘルプとも言えないヘルプして、ボールマンの目の前から消えたり。その分インサイドで奮闘してくれるって言うなら話は別なんだけど、それも微妙なんだよね。体は張ってくれるけど、所詮ガードのフィジカルだから、それならアウトサイド追いかけて欲しいんだけどね。第2Qのバランチュナスの邪魔したのも、ぶっちゃけ外を追いかけてなくてたまたまペイントエリアにいただけって感じに見えたし。このクォーターか忘れたけど、ボックスアウト途中で止めたりとかさ。まるで「ここ、場所取っておきました」みたいに絶好のタイミングでリバウンドポジション明け渡すのを見た時は、もうね。

 こんな感じで管理人はTHJがあんまり好きじゃありません。だけどオフェンス面で貢献してくれるのが厄介。これでオフェンスもしょうもない選手なら何も考えなくてよかったのにね。あと一歩スリーに対して前に出てくれるだけで大好きになれるのに、シーズンの半分の日程を消化した今でも変わらず……というか前より下がってない?

 ここでマブスのオフェンスにも変化がありました。パウエルをポイントセンターにしたカットプレーです。MIN戦でキーポイントになった戦術で、スピードで振り切ったカイリーがインサイドにカット、パウエルがパスを合わせてイージーレイアップと、今日の試合で最も楽に点が取れたオフェンスでした。ここを何度か試して、ターンオーバーもあったけどペリカンズは見慣れないマブスの姿に困惑しているようでした。

 ホーキンスを下げたペリカンズ。バランチュナスの代わりにナンスも入ったりもして再びスモールラインナップになり、マブスもグラントを起用します。ファンコミュで「第4Q以外はパウエルかJGのどっちかが絶対立ってたはず」とか書いてた管理人でしたが、見返したら第3Q後半は普通にどちらもいませんでした。クリバーとグラントのツインタワーにAJを入れた、よく分からないラインナップ。別に分からないわけではないんですけどね。AJローソンはJGのように運動量があってディフェンスの穴を埋めてくれる選手ではあります。しかしJGほど早くない。というかJGが早すぎます。AJなら出来るとキッドが判断したのかな。実際管理人もいつぞやのOKC戦での活躍を見て、AJならJGの代役が務まると思っていました。結果はまずまずって感じです。JGが一人で解決してくれる問題を、さすがにAJ一人では解決出来なかった。そんなこんなで7点差でリードされた第3Qまででした。

第3Q ペリカンズOREB 4

 前半合計3つに抑えていたOREBが、このクォーターだけで4つ。そのうち2つがホーキンスが取ったものです。ぶっちゃけこれはしょうがない気がします。ホーキンスに高い位置でべた付きせざるを得ない状況で、そこから彼のダイブしてのOREBまでカバーする余裕が、少なくともこの日のロスターでは能力的になかったって感じです。ここがJGやパウエルなんかに出来て、他の選手に出来なかった部分です。エクサムが恋しい。ただ、これは素直にホーキンスのシュート力と、ボールを持っていない時にもハードワークできる万能さを褒めたいところ。

 一方一貫してバランチュナスにOREBで荒らされることはなく、第3Qまでは彼のOREBを1に抑えています。ちょっとびっくりしたよね。幾ら徹底しているといってもバランチュナスにここまで仕事させなかったのはパウエル、クリバー、グラント、JGのハードワークの賜物です。

ボックスアウト&ヘルプ

 これがこの試合のテーマとも言える部分だったように思います。オフェンスは終始苦しかったけど、相手も苦しかった。苦しめたのはパウエルたちのボックスアウトと、ダブルチームを仕掛けてから空いているシューターに高速ローテするJGやクリバーのヘルプディフェンス。特にクリバーはボックスアウト役もこなし、その間はパウエルが色々なところに顔を出しました。

 だから第4Qの頭にパウエルとクリバーが出てきたのを見て、安心したんだよね。……と思ったら早々に下げられたクリバー。ちょっと雲行きが怪しくなった第4Qの立ち上がりでした。次回に続く。