あ♥@マブスファン

マブス専門NBAブログ(不定期)

【考察】ジェイソン・キッドは正しく理解されているのか?

 

 2024/1/14に行われたマブスペリカンズ戦にて、いつもの如く非難されるHCのキッド。いつもと違ったのは、彼が言った試合後の会見での発言でした。

 まあ管理人はぶっちゃけ試合後の会見とか見てないし、英語分からないので何を言ったのかは知りませんが、それがきっかけで益々キッドへの風当たりは強くなりました。楽天のファンコミュもちょっと荒れ気味。それは管理人の発言が発端となったような気もするので、ちょっと申し訳ないと思っています。

 ただファンコミュでのキッド批判を見ていて、ひとつやふたつ言いたくなったことがあったのでブログという形で私見を述べることにしました。……本当はひとつやふたつじゃないけどね。

 

 

■批判はいいけどさ

 チームが勝てないことに不満を持つのは当然のことだし、そこで黙ってろっていうのも話が違うと思います。NBAのフルゲームを見ている人たちは金を払って見ているわけで、その金が巡り巡って選手たちのサラリーになっているわけですから。

 ただバスケに限らずですけど、自分の不満をぶつける為の言葉に論理性があるかは考えようよ、っていうのがこの記事、ひいてはブログのきっかけです。キッドが批判されるのは当然だけど、全部がキッドのせいではないよね。残念ながらキッドへの批判コメントの殆どは真っ当な批判とは思えず、ただ苛立ちを彼にぶつけているだけのように見えます。まあHCってそういう仕事だけど。

 正しい批判をする為には、キッドのことを正しく知ろうよ。知る為の努力をしようよ、ファンならね、って記事です。

 

■そもそもHC

 クビにしろと言われ続ける日々のキッドですが、そもそも彼は悪いHCなのか? というかHCの良い悪いとは何かから考えないと、何の話をしているのか分からないですよね。ということで良いHCの条件について端的に言うと、

どんなロスターでもそれに適した&強い戦術で勝てる

 近いのはヒートのスポルストラ、ナゲッツのマローンなんかです。ヒートなんて特に訳の分からないGリーガーが次々に戦術の核になっています。それ以外のチームは程度の違いはあれど、強い戦術があってもそれを実行できる選手の用意がない、逆にロスター構成に適した戦術を使ってもそもそも戦術が弱い、なんてことが往々にしてあるわけです。前者は今季だとピストンズ、後者はウィザーズとか?

 マブスは強い戦術はあるけど実行できる選手がいないタイプのチームです。2021-22シーズンにWCFに辿り着いたスモール戦術を、翌年以降キッド的には訳の分からないロスターにされた結果、自分の戦術を活かせずにいる状態です。

 ぶっちゃけ21-22シーズンのロスターを維持しつつ、適切にウィングを補強すれば優勝できたと思うんだよねー。当時まだブランソンは覚醒途中、ディンウィディーやベルタンスはチームに来たばかり、エクサム以上になれたかもしれないフランキー。それにプラスしてルカのディフェンス面での意識改革など、幾らでも伸ばせるところがあったのに早々に解散となったのは明らかにフロントのミスとしか思えないです。

 大失敗の22-23シーズンから程々に補強された今シーズン。最近は怪我で離脱していますがライブリーの積極起用等、キッドも徐々に「ロスターに適した戦術」を作る方に歩み寄っています。良いHCに近付いてるってこと。じゃあ彼が良いHCなのかって言われると、それも首を傾げたくなります。

若手の成長&選手の能力開発

 ここの能力はさすがに文句を言いたくなります。歩み寄っているといっても、他のチームのHCと比べたら若手を使う時間があまりに短いです。ライブリーは積極的に使っている反面、ハーディ、フランキー、OMAXなんかは特に割を食らいました。まあ彼らが他のチームにいって活躍できるのか、そもそもロスターに残れるのかは疑問ですが。事実フランキーはホーネッツでベンチを温めています。

 そうは言ってもルーキーのOMAXにそもそもプレータイムをまともに与えていないのはどういう了見だって感じ。実際使ってみて何も魅力を感じなかったならまだしも、ディフェンスでの貢献はそれこそキッドの戦術に適しているのに。育てる気がないっていうのはHCとしては問題です。

 またこれは若手に限らずですが、選手の新しい能力を見出すこともありません。ルカにオフボールムーブさせる(個人的には微妙と思うけど)とか、ウィングに有効なカットプレーを仕込むとか、ルカ以外に起点になる選手を育てるとか。そういうことに興味がなく、キッドが与えた役割を忠実にこなすことを重要視しているような印象です。その割にはヤニスにパス能力を身につけさせたり、今シーズンはパウエルにポイントセンター役させたり、能力開発することもあります。これは出来るけどやりたくないってことなのかな。

 

■正しいキッド

 まとめると以下の通り。

・強い戦術を持っていて、ハマる選手がいるとチームが未完成でもWCFまで行ける。行った。

・キッドは自分の戦術に強い自信を持っていて、自分が与えた役割を徹底してくれる選手を好む。自分が与えた役割のこなせない選手は、才能の有無に限らず好まない(ホームズ、OMAX等)。

・選手の才能を開花させる能力はある(ヤニスという実績)。

 これらの要素からキッドは自分の戦術を使って、何が何でも勝ちたいHCという人物像が見えてきます。能力開発できるのにやらないって辺りから、特に長期的な成功よりも目先の一勝に拘るタイプであると伺えます。こう並べるとヤニスにパスを仕込んだのは、彼のやりたい戦術に不可欠だったからだったようにも感じますね。管理人はその頃のバックスを見てないので妄想ですが。

 友達にはなりたくないよね。マブスで仲良くやっているのかもよく分かりません。でも仲良くなくても別にいいよね。ジョーダンのブルズだって勝てなかったらどうなっていたのか、みたいな話はよく聞きますし。熾烈な競争が日夜行われるNBAで、勝利以上にチームを結びつける絆なんてないでしょ。

 だからキッドを雇って若手の成長に期待する事自体が間違っていると思います。実際彼を雇ったタイミングは、マブスがプレイオフで勝ち切る為の何かが足りないと苦悩していた時期で、それで実際に結果を出しているのだから英断だったと言えるでしょう。しかし状況は変わって、ルカより若い選手が増えた今の段階でキッドにコーチングを任せると、OMAX等の若手が使われなくなるというのは必然です。

 去年の時点で解雇していたら、若手の成長に期待するプチ再建プランは進んでいたでしょう。そこはフロントがキッドというHCを理解していないってことなので、フロントのミスでもある。キッドは若手とかどうでも良く今勝ちたいHCで、少なくとも彼がマブスに来た時はその役割で来て、ちゃんと求められた仕事もこなしたんだから。それはそれとして管理人は「若手を成長させるのもHCの仕事だろ!」と文句を垂れ続けると思いますが。

 

 フロントのやりたいことと、キッドのやりたいことが嚙み合わず、契約当時に求められていたものとは違う仕事をさせられるキッド。彼とフロント、どっちが悪いかって言われると管理人はフロントだと思いますが、育成面を考えた場合にキッドが良いHCかと言われるとそうではないっていうのは事実。でもHCって雇われている立場であり、雇っているのはフロントってことで、結局チームを任せるHCのことを理解していなかったフロントに責任はあるよねって話です。キッドを批判するなら、その上のフロントも批判しろよって思います。

 ……ってことで前置きは終わり。ここから昨日のペリカンズ戦を振り返って、疑惑の采配を解説しようと思ったのですが、疲れたのでまた今度にします。今度にしようとしたら明日またペリカンズ戦があって……ブログって大変ですね。

 

 全然関係ないけど、昨シーズンの後半に20分以上プレータイムを貰っていたマッキンリーライト四世はどこにいったんだろうね。好きでも嫌いでもなかったから、特に悲しくもないけど。