あ♥@マブスファン

マブス専門NBAブログ(不定期)

【考察】イかれたフロントを紹介するぜ!

 5回に渡った「ジェイソン・キッドは正しく理解されているのか?」ですが、本当はこのテーマの前置き。前置きで一記事丸々ペリカンズの話をしたり、キッドのディフェンスの話をしたりと脱線しまくりな気がしますが。

 元々管理人はフロント(ニコ・ハリソンとキューバン)に否定的ではありましたが、今は明確に嫌いです。具体的には1/14のペリカンズ戦から嫌いになりました。

 

■フロントの仕事

 球団にはオーナーとGMっていう仕事があります。本当は色々と大変な仕事があるんだろうけど、バスケ面に関しては人事的な部分の管理が彼らの仕事です。中でもHCや選手を引っ張って来たり、契約の交渉をするのがGMで、オーナーは彼らにお金を出すのが仕事です。本来はオーナーとGMを分けて考えた方が良さそうなのですが、マブスの話をする時は一緒の方が都合がいいので、以降フロントと呼びます。そういう仕事なのでフロントの優劣っていうのは、

いかに良い選手を適正な契約で獲得出来るか

 これに尽きます。そして良い選手を勧誘するには、その選手のマネージャーとコネクションがないとそもそも始まらず、適正な金額で契約する為の交渉力も必要です。このコネクションと交渉力がGMの腕で決まるわけです。

 

■ニコ・ハリソンの話

 21-22シーズンにマブスGMに就任したハリソン。高校時代最後の2年間に怪我を負い、パック10の大学でプレー出来ず、紆余曲折を経てモンタナ州立大学で本格的なNCAAシーズンを過ごしました。バスケ的に有名な大学ではないようですが、彼が在籍している時にNCAAトーナメントに出場し、ハリソンはモンタナ州ボブキャッツで殿堂入りを果たしました。そこからはナイキで営業としてキャリアを始め、色々とあって幹部になったようです。その過程でノビツキーティム・ダンカン代理人なんかも務めたりと、凄い人です。

 余談ですが、2013年にステフ・カリーを獲得するチャンスがあったナイキですが、プレゼンで彼の名前を間違えたかで失敗して、アンダーアーマーに行ってしまいました。そのプレゼンを担当したのがニコ・ハリソンのようです。あくまで余談ですが。あっちなみに全部Wikipedia情報です。

 そんな彼のGMとしての特徴は、選手との繋がりの広さにあると言われています。これは大事なことです。例えばオフシーズンなんかでFAやトレードの話が盛り上がるわけですが、「うちに来る?」って話し合いを出来るかどうかはGMの繋がりで決まります。選手とその代理人にコネがなかったり、嫌われていたりしたら選手を引っ張って来れないわけで、その部分でいえばハリソンはこれ以上ないほど優秀と言えるかもしれません。

 

■もういいでしょ

 これだけ褒めたんだから。これまでのフロントの仕事ぶりを見て、管理人はぜーんぜん優秀だとは思いません。それは良い選手を引っ張って来れなかったからです。良い選手っていうのは「実力のある選手」って意味じゃなくて「マブスに必要な選手」ってこと。ということでGMハリソンの補強歴を見ていきましょう。

 

21-22シーズン

トレードIN…モーゼス・ブラウン、ダビス・ベルタンス、スペンサー・ディンウィディー

トレードOUT…ジョシュ・リチャードソン、クリスタプス・ポルジンギス

FA獲得…フランク・ニリキナ、レジー・ブロック

契約延長、再契約…ルカ・ドンチッチ、ティム・ハーダウェイ・ジュニア、ウィリー・コーリースタイン、ボバン・マリヤノビッチ

 一番大きいのはポルジンギスのトレードですね。プレイオフで不調&怪我の多さとドンチッチの関係性等の理由から放出された彼の代わりに、不良債権のベルタンスを引き取ったトレードです。これを皮切りにキッドのディフェンス戦術が急激に浸透したイメージです。

 地味にジョシュ・リチャードソンが痛いよね。いかにもキッドのディフェンスにはまりそうな選手だったし、代わりに来たモーゼス・ブラウンは酷かったし。あの超へっぴり腰のスクリーンは衝撃だった。でもこのトレードの時はまだキッドのディフェンス戦術が固まっていない時期で、あと半年遅ければ……まあ色々とタイミングが悪かった。

 FAでフランキーとブロックを獲得したのは良い補強でしたね。ブロックなんてスタメン固定でめちゃくちゃ使われていたし、フランキーもプレーオフでカリーキラーとして起用されていました。

キッドのディフェンスに適した選手を獲得

 素晴らしいよね。一番の補強はポルジンギスの放出ですが、それは彼が悪いって話じゃなく、高額契約故にプレータイムを与えなければならないって縛りがなくなったことが大きいです。トレード前からポルジンギスがいない時は割と守れていたから、ポルジンギスを使わない理由が欲しかったようなトレードに見えます。

 結果としてハリソン、及びキッド就任一年目のシーズンはカンファレンスファイナル出場という快挙で終わりました。この頃はハリソンの手腕にも、キッドの采配にも感謝しかなかった管理人でした。

 

■どうしてこうなった

22-23シーズン

トレードIN…カイリー・アービング、クリスチャン・ウッド、ジェイデン・ハーディ

トレードOUT…ドリアン・フィニースミス、スペンサー・ディンウィディー、トレイ・バーク、スターリング・ブラウン、ボバン・マリヤノビッチ、マーキース・クリス

FA獲得……ジャベール・マギー、ファクンド・カンパッソ、タイラー・ドーシー、マッキンリー・ライト

FA放出…ジェイレン・ブランソン

 このシーズンから挙動がおかしくなったフロント陣。ひとつずつ見ていきましょう。

 まずはブランソンの放出。これは痛かったですねー。何が痛いって、20-21シーズンに彼の方からマブスに契約交渉を持ち掛け、その内容が破格の数字だったという噂。5年50ミリオンだったとか。それを断った結果、彼の気持ちがニックスに傾いたという話があります。ただその頃ハリソンはGMではありませんので、契約延長出来ていたら優秀でしたが、出来なかったからといって責めるつもりはありません。当時GMだったボルガリ……キューバ……ドニ―・ネルソンが悪い。実際契約延長していたらどうだったんだろうね。ブランソンがFAになるタイミングでの交渉ってことは、イコール彼にMAX契約しなければならなかったってことだと思うのですが、それはどうなのって話。結局再契約しなかったハリソンは正解のような気もします。出来なかっただけなんだけど。

 そしてクリスチャン・ウッドのトレード。殆ど使われていない選手を放出して攻守にバランスの悪いウッドを獲得。ウッドに対しての感情は人それぞれありそうですが、管理人的には良くもなく、悪くもなくって感じです。ロスタースポットを開けられたからどっちかと言えば良さげなトレードです。ロケッツで不良債権していた彼ですが、この年が契約最終年ということもあって、ローリスク・ミドルリターンなトレードのように思います。

 問題は空いたロスタースポットで引っ張ってきたのがマギーだったこと。当時ゴール下の弱さを指摘されてリムプロテクションが必要だなんて言われていました。言いたいことは分かりますが、もっと先の話だろと思ってしまいます。キッドの戦術において重要だった機動力のあるウィングの層を厚くせず、素人みたいな判断で動けないセンターを補強。

マブスに必要な選手を分かっていなかったフロント

 とはいえ、この時点では「おや?」ってぐらいで済んでいました。補強されなかったウィングの煽りを受けてプレータイムが伸び、ブロックやフィニ―スミスのシュートの不調、それを解消する為にドンチッチ&ウッドを起用して更にディフェンスの負荷が上がり、不調から抜け出せないウィング。不調だからドンチッチが酷使されて……みたいな悪循環に陥っていましたが、ここからウィングを補強していけば済んだ話です。

カイリー・アービング獲得

 この報道が日本でされたのは早朝でした。朝から仕事だった管理人はその日ずっと機嫌が悪かったのを覚えています。まさかウィングを補強するどころか放出して、しかもよりによってカイリーかよ。せめてディフェンスが出来るガードだろ、ホリデーみたいな。

マブスに必要な選手を分かっていなかったフロント(2回目)

 ブランソンの放出は仕方ない。バランスが悪いなりにオプションとしてウッドを獲ったのも分かる。一応リムプロテクションもあるし、何よりロスタースポットが空いたし。そこにマギーを入れてキッドに何をさせたかったの? ここがまーったく分からないハリソンでした。何より広い人脈を使って取れたのがマギーかよって話。リムプロテクターどころかゴールテンディング製造機じゃん。もっと良いセンターと交渉出来なかったの、とその人脈にも疑問符が付きました。おまけにこのシーズン、ロスターの人数が足りずに10日間契約で色々と選手をとっかえひっかえしていましたが、ケンバやカンパッソなど、ブランソンを忘れられないような契約ばかりでした。結局シーズンが終了するまで、ウィングの補強には動かなかったフロントでしたとさ。

 

 このシーズンのフロントを見て、少なくともバスケを理解しているというのは全くの大嘘だと管理人は確信しました。理解していればプレーオフでもプレータイムが長かったウィング陣の負担を減らせる補強に動いていたはず。自分たちがなぜカンファレンスファイナルに行けたのか分かっていなかったフロント。この時点で相当ヤバいと思っていましたが、もっとヤバいことが起きている今シーズンです。