あ♥@マブスファン

マブス専門NBAブログ(不定期)

【ショート】ポストアップについて

 

 昨日はまともに記事を書ける状況ではなかったので、投稿を見送っていました。ただ一応「短い記事でも書いとくか」ということで昨日途中まで書いていたものを載せておきます。ちなみにウィザーズ戦の雑感は今日投稿する予定です。では本題、Xを見ていて気になったポストがあったので、それについて少しだけ触れてみたいと思います。


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 今シーズン25ポゼッション以上、ポストアップにマッチアップしたディフェンダーについての画像。いやーこれ投稿した人は良いセンスしてるね。ポゼッションをしっかり書いてる辺りが秀逸です。

 この画像によるとドンチッチは現段階でポストディフェンスをする機会が31ポゼッションあったようですが、そうするとオフェンス側の選手のPPPが0.55、TOV%が32%になるそうです。そりゃ凄い! とここで唐突に、ドンチッチのポストディフェンスのポゼッションと出場回数で割り算してみましょう。

31POS / 45GP = 0.688

 そう、ドンチッチがポストアップを守るシチュエーションは1試合に1回もないってことです。確かにドンチッチはフィジカルが強く読みの良い選手でもあるので、普通にポストディフェンスは上手いと思っていますが、1試合に1回もそれを発揮する機会がないので、上手いとは思うけどだからどうしたって感じです。

 そしてこのポストで紹介されている選手の中で最もポストアップされているドードーでさえも、平均のマッチアップ回数は1.2。あくまでこの画像の中での話であり、実際に最もポストディフェンスの回数が多いのはアルペレン・シェングンの1.6です。一番多い選手でもポストディフェンスをする機会が1試合に2回もないっていうね。

 つまりドンチッチが完璧なポストディフェンスを見せてPPPが0になったとしても、一試合で減らせる失点は2点にすら満たないわけです。いかにポストアップの重要性が軽視されているかということを表した、現代バスケに対して非常に皮肉の効いたポストでした。

tunadrama.com

 これはリック・カーライルがポストアップに対する持論について語っている記事です。要約するとポストアップよりも効率良くオフェンスを展開することが出来るようになったから、昔ほど重要じゃないよって感じのことを言っています。そう、ポストアップは時代遅れ感は否めませんが、悪い選択肢ってわけでは決してありません。他のオフェンスの選択肢の方が効率良く点が取れるから優先度が下がるってだけです。

 では現代でポストアップはどういう風に使われているかと言うと、概ね以下に分類されます。

①サイズのミスマッチを活かしたい

②ポストでのスキルを活かしたい

③ペースを落としたい

 ①のサイズのミスマッチを活かしたいっていうのは、例えば相手チームにサイズはないけど優れた得点力のあるガードがいた時に、その選手を狙うっていうシチュエーションです。「弱点に目を瞑ってでも得点力を上げたい」という選手起用に対してのアンサーとしてポストアップが利用されることがあります。あくまで試合中のオプションの一つとしてって話です。

 ②のポストスキルを活かしたいっていうのは、チームにポストプレーが上手い選手がいるから有効に使いたいっていうチーム事情から来るもの。センターならジョエル・エンビードやシェングン、フォワードならカワイ・レナードとかね。こういう特別な選手たちは、カーライルの言う「ポストアップより効率的なオフェンス」の枠から外れるほどにポストプレーが上手いということから、チーム戦術として利用されることがあります。

 ③のペースを落としたいっていうのは①と同じく、試合中のオプションとして使われることがあるっていう話です。以前ペースが上がると得点も失点も増えると書きましたが、ポストアップは自然とペースが落ちるので失点を抑えやすくなります。大量にリードしている時にポストアップを利用することにより、相手の時間――つまりポゼッションを奪うっていうことが割とよくあります。マブスでドンチッチがポストアップを連続で行う時は、大体そういうシチュエーション。

 

 ポストアップは時代の変化につれて優先度が下がったものの、有効な戦術であることに変わりはありません。しかし事実としてポストアップのポゼッションは、今シーズン最も多いナゲッツでさえ8.6回と非常に少ないです。そしてポストディフェンスをする機会というのは、多い選手でも1試合に2回もありません。だからポストディフェンスが上手いからといって、それが及ぼす影響というのは物凄く軽微なものです。ドンチッチのポストディフェンスは優秀なものの、それを活かすシチュエーションがそもそもないという話でした。

 というかドンチッチの1on1ディフェンスって、ガード以外が相手ならそこそこ戦えているよね。いつかのセルツ戦でテイタムブラウンにアイソレーションで狙われまくったけど大量失点はしてなかったし、ドンチッチがいなくてタウンズにボコボコにされた試合もあったし。だから「ドンチッチを1on1で狙う」っていうのは、マブスのディフェンス事情的には助かる。

 なぜ多くのチームがそうしないかというと、ドンチッチのオフボールディフェンスを狙う方が遥かに攻めやすいからです。ちょっとオフボールで動いてやればたちまち迷子になってくれるドンチッチなのですぐにフリーの選手を作ってしまい、他の選手はそのカバーに追われてしまいます。結果的にディフェンスは簡単に崩壊するので、寧ろドンチッチはボールマンから遠ざけた方が都合が良くなります。ボールマンから遠ざけるって意味ではエリートディフェンダーっぽいけど、事情は全く違うっていうね。ドンチッチを避けるのではなく、ドンチッチのオフボールディフェンスを狙うチームばかりです。ままならないね。