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マブス専門NBAブログ(不定期)

【雑談】ドニー・ネルソンからの脱却-3

 躍進と共に、優勝するには課題も山積みだと痛感させられたマブスの21-22シーズン。ではこの時マブスが抱えていた課題とは何か見ていきましょう。

 

■21-22シーズンの課題

①ディフェンスシステムの欠陥

②ドンチッチ以外のオフェンス力

③リバウンド力

 まず①のディフェンスシステムの問題。ボールマンに人数を掛けてドライブを防ぎ、ボールムーブに対しては時にパスを出すよりも先に予測でローテーションするシステムはハンドラーのドライブに頼るチームに対しては滅法強いディフェンスでした。反面ボールマンに人数を掛け過ぎるあまりオフボールで動く選手のペイントタッチを許しがちで、元々エースの強みがドライブではないウォリアーズにはここを突かれました。まあここはキッドもゲーム中に修正していたけど、そしたら逆にカリーをワイドオープンにすることもあり、色々と上手く行きませんでした。

 じゃあこのディフェンスシステムを諦めた方が良いのかって話ですが、それはちょっと話が違います。当時のマブスのウィング陣は、ドードーとフランキーを除けば1on1で強いディフェンダーがいませんでした。ただ強力なマンディフェンスがない代わりに、パスコースを読むIQと運動量に優れており、チームディフェンスできるタイプのディフェンダーが多く、これがキッドと上手く嚙み合いました。

個人のディフェンス力を補うシステム

 5人が全員エリートディフェンダーじゃなくても、チームディフェンスが出来る選手が揃っていれば守れるということを示しました。そしてチームディフェンスが出来ない選手が一人ぐらいなら何とか補えるっていうこともね。

 それにこのシステムを導入してたった半年で形になったっていうことも見逃せないところです。バックスでは4年掛かっても出来なかったのにね。それだけ難しいディフェンスなんだから、もっと時間を掛ける必要性を感じました。あとドンチッチがもうちょっとディフェンスで踏ん張れたらね。その上で守れないっていうなら、そこでHC交代って話になるのが筋ってものだ。

 

 ただドンチッチがディフェンスを頑張ることで、②のオフェンス問題が更に根深くなるわけです。ドンチッチが幾らディフェンスを頑張ったとしてもガードのスピードに追い付くのは厳しいし、ビッグマンの高さには勝てません。それはドンチッチが悪いって話じゃなく。それにディフェンスで頑張り過ぎた結果オフェンスの質が下がったら本末転倒なわけで、結局ディフェンスは現状維持しつつ、オフェンス力の向上に舵を切るのが正解に見えます。

 じゃあどうやってオフェンス力の強化を図るのかって話ですが、一番簡単なのはペースアップ。実際今シーズンもそうやってオフェンスは成功しているし。

21-22ペース 95.64(リーグ30位)

 ぶっちぎりでペースが低かったマブス。FBPも10.0でリーグ最下位……かと思ったら28位でした。なんでだよ。いずれにせよ速攻でのイージーシュートが足りなかったことは、よりオフェンス面でドンチッチへの依存を強めてしまう結果となりました。ここは増やしたいところですが、敢えて増やさなかったし、増やせなかった。

 増やさなかった理由はポゼッションを減らして点の取り合いを避け、守り合いで戦いたかったというキッドの方針のように思います。まあドンチッチというハーフコートオフェンスで強いハンドラーがいるし、ドンチッチは走るの嫌そうだし、ここは納得出来る部分ではあります。ただその結果、特にプレーオフでドンチッチがオフェンスで苦しむことが増えたので、やはり速攻は増やしたくなります。ただそれが出来なかった事情っていうのが実はあり、

21-22プレーオフ平均出場時間

ジー・ブロック 39.3分

ドリアン・フィニ―スミス 38.2分

 プレーオフでドンチッチ以上にヘビーミニッツを与えられた二人。ブロックとドードーはこのプレータイムでもディフェンスでは全力で走り回ることを求められていました。これでファストブレイクにも走っていたら、いよいよディフェンスでは一歩も動けなくなりそう。実際ブロックは段々足が動かなくなっていたし。ドードーは最後まで走っていたけど、それは奴がおかしいだけな気がします。だからこれを見て「じゃあファストブレイクでも走れるように出場時間を減らせばいいじゃん」っていうのは簡単ですが、それは難しかった。

マキシ・クリバー 25.4分

ドワイト・パウエル 13.8分

ジョシュ・グリーン 7.6分

フランク・ニリキナ 10.4分

ダビス・ベルタンス 10.7分

 これは控えのウィング、センター陣。クリバーはしっかり重宝されているものの、他の選手にはミニッツが与えられませんでした。JGやフランキーはディフェンスではしっかりブロック&ドードーの穴埋めが出来たものの、スリーが入りませんでした。そうするとスペーシングを確保できず、結果としてドンチッチに負担が掛かってしまう。

JG 3P 0.3/1.4(22.7%)

フランキー 3P 0.5/1.7(30.0%)

 これじゃあちょっときついよねって感じです。そのJGとフランキー以上にミニッツを与えられたベルタンスですが、こっちは逆にディフェンスが出来ないことがネックになりました。元々ディフェンスが出来ないという前評判から見ていると、サイズの割に素早くローテーションしてくれていて思ったよりはだいぶ守れていたんですが、どうにも止められないとすぐにファウルしてしまうベルタンス。

ブロック ファウル数 2.7

ベルタンス ファウル数 1.4

 仮にブロックと同じミニッツが与えられていた場合、ファウル数は5.1となり、毎試合ボーナスフリースローに悩まされていたと思います。実際悩まされたしね。

3&Dウィングの層が薄かった

 ブロックは39.7%、ドードーは42.6%の確率でスリーを決めながら、ディフェンスでも奮闘してくれました。ただ本来それに続くはずのウィングであるJG、フランキーは3の部分で問題があり、ベルタンスはDの部分で問題があった為、仕方なく働いてもらうしかなかったという事情がありました。だからオフシーズンに補強方針として、

ブロックとドードーの負担を減らすウィングを補強する

 こう動くことで二人のミニッツを減らし、代わりにファストブレイクで走ってもらうことでオフェンスの改善を狙うことは可能でした。それはつまりドンチッチのオフェンスの負担を減らすことにも繋がるわけです。


 ③のリバウンドについてですが、これは確かに最も分かりやすい課題ではありました。リバウンド魔人のルーニーにボコボコにされたしね。そしてそれをビッグマンの補強で解決しようとするのも合ってはいるけど、それはウィングの補強を後回しにしてまでするべきことだったのかと言われたら、個人的には間違っていると思います。

21-22RS DREB% 73.3%(リーグ10位)

21-22RS OPP2ndチャンスポイント 13.1(リーグ17位)

 そもそもDREB%はチーム上位だったマブス。73.3%はウェストだと5位なのでDREBの確保率が問題かと言われると、別にって感じです。ただ2ndチャンスポイントで見るとリーグ17位っていうね。だから他のチームに比べて、OREBを取られるとどうしようもないってことです。これがOREBでやられてる感が強い原因だろうね。

OREBを取らせないけど、取られるとどうしようもない

 「ビッグマンが欲しい!」っていう人は後者を嫌ってのことなんだと思うし、気持ちは分かります。ただビッグマンがパウエルとクリバーのチームでリーグ10位のDREB%っていう強みにも目を向けて欲しくなります。二人はサイズがない代わりに走れるセンターなので、やはりサイズの割に高いDREB%からの速攻っていうシチュエーションを増やしてほしいと思う管理人です。というのはレギュラーシーズンの話。

21-22PO DREB% 70.6%(11位)

21-22PO OPP2ndチャンスポイント 14.2(13位)

 プレーオフになるとDREB%、2ndチャンスポイントのどちらも悪化しました。ちなみに()の順位はプレーオフチームの中での順位なので、明確に問題を抱えていると言えます。

対ウォリアーズDREB% 72.6%

対ウォリアーズOPP2ndチャンスポイント 14.4

 まあ良くはないよね。この内勝利した試合の2ndチャンスポイントが9.0に対して、負けた試合の平均は15.8なので、確かにOREBで負けたように見えます。

対ジャズDREB% 71.6%

対ジャズOPP2ndチャンスポイント 14.5

 実はウォリアーズ以上にリバウンドで苦しんだジャズ。まあゴベアがいたしね。この内勝った試合の2ndチャンスポイントは11.3に対して、負けた試合は21.0。

21.0

 そんなことがあり得るのかって数字ですが、これでシリーズは勝ってるんだよね。これに比べたらウォリアーズ戦でのリバウンド問題なんて屁みたいなものです。とはいえリバウンドが課題なのは明白。だからやはりビッグマンは必要になります。でもそれはパウエルみたいにチームディフェンスを実行出来る選手じゃないと、リバウンド以前にディフェンスが崩壊します。そのパウエルすらガードを追えないからプレーオフでは干されたし。

 そう考えるとわざわざサイズに拘る必要ってあるの? って思ってしまいます。リバウンドに強いウィングでいいじゃん。そういう意味でカイル・クズマに非常に興味があった管理人。

 

 大まかに3つの課題があった21-22シーズン。管理人的にはオフェンス問題が最も根深く、且つ簡単に解決出来る問題だと思っていました。控えレベルでもいいから3&D選手を連れてくれば、ウィングの層が厚くなってブロック&ドードーのプレータイムを減らせて、余った体力で走ってくれるようになるって感じで。でもそうはならなかったんだよね。次回に続く。