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マブス専門NBAブログ(不定期)

【雑談】ドニー・ネルソンからの脱却-4

 

 と言いつつ22-23シーズンレビューです。オフェンス、ディフェンス、リバウンドと様々な課題があったマブス。そこでニコ・ハリソンGMはどういう方針で補強を進めていったのか、見ていきましょう。

 

■選手の放出、獲得

 22-23シーズンは様々な動きがあった年で、一纏めにすると混乱するのでまずはオフシーズンの動きから見ていきましょう。ちなみに細かい動きは省略します。

獲得選手

クリスチャン・ウッド

ジェイデン・ハーディー

ジャベール・マギー

 トレイ・バーク、スターリング・ブラウン、ボバン・マリヤノビッチ、マーキース・クリスの四人と一巡目指名権1枚でロケッツからウッドを獲得しました。ほぼ戦力としてカウントされていなかった選手たちなので、実質一巡目指名権1枚で弱小チームの主力ビッグマンを獲得。マブスの話は一旦置いといて、よくロケッツは応じたなと当時思いました。だって仮にも自チームの主力を、実質一巡目指名権1枚に変えたんだから。どんだけ指名権欲しかったんだよっていう思いと同時に、当時弱小だったロケッツにすら見放されたウッドに対して、ちょっときな臭さを感じていました。

 ハーディの獲得は結果的にスティールだよね。ドラフトしたキングスじゃあ持て余すから、今後のアセットを増やす方向に動きたかったって事情と噛み合った感じです。もしもハーディが失敗していたら二巡目指名権を3つ失うことになっていましたが、今のところその価値はありそうです。これでブランソンみたいに注目されて契約延長に失敗したらほんとに笑うんだけど、まだそこまでの選手じゃないかな。

 今まで散々酷評してきたマギー。そもそも起用していない且つ最終的にウェイブしたので間違いなく失敗なんですが、まあ意図は分からなくもない。その前にウッドを獲得していなければね。

放出選手

ジェイレン・ブランソン

 二巡目でドラフトされたことにより無制限FAだったブランソン。これによって無理やり引き留めることが出来ませんでした。まあこれはしょうがないことと割り切るしかなく、ここからハリソンはブランソンの代わりになるハンドラーを探す為、シーズン中に動きまくったわけです。

 

■シーズン推移

 10月に6試合を消化したマブスはOFF/DEFレーティングが119.0/110.9と一見すると好調な滑り出しに見えました。ターンオーバーが12.8とマブスとしては多かったものの、まあ新体制になったばかりだし、ということで全然言い訳は出来ます。ぶっちゃけオフェンスの好調は、10月に平均36.7PTSという数字を叩きだしたドンチッチの好調に引っ張られている気がしますが、6試合じゃ何も分からない。

11月OFF/DEFレーティング 109.9/110.8

 ところが11月になると急にOFFレーティングが悪化しました。

10→11月マブス FTA 31.8→22.8

 はい。フリースリーが貰えなくなって得点力が落ちました。ちなみに成功数で見ると23.8→16.3と7.5点も下がっています。このシーズンの最終的なFTAは25.1なので、やっぱり10月が貰い過ぎというか、サンプル数が少ない故の結果だったように見えます。

11月ドンチッチ 32.0PTS

 その影響を受けたかのように見えるドンチッチですが、実はFTAは11.5→11.1とほぼ変わっていません。なぜか成功数が9.0→7.7に下がっているけど。

 ドンチッチの得点が下がったのはFGAが25.5→21.5と4本も減らしたことが影響しています。フリースローの成功数が下がり、そこから更にFGAが4本減ったにしては超高水準を保っているんですが、これは3P%の向上が原因です。ドンチッチは10月に3Pを2.0/8.8の22.6%と酷い数字を残していましたが、11月は2.6/7.2の36.6%と劇的に改善しています。全体的に自分が打つシュートを減らして、代わりに効率的に得点するようになったと言えます。なのにアシストが8.7→8.5に減っているっていうのは面白い。

10→11月3PM/3PA 13.7/38.0(36.0%)→13.5/39.9(33.8%)

 ドンチッチの3PA減&3P%向上に反して、チーム全体のアテンプトは増加しました。自身がシュートを打たない代わりにチームメイトにシュートを打たせるように促したということですが、3P成功数は寧ろ減るっていうね。

11月レジー・ブロック 3P 0.8/4.3(19.6%)

 10月は41.4%でスリーを決めていたブロックが、この月は外しまくります。この頃のブロックはワイドオープンも外しまくっていたのが印象的です。ちなみにドードーも33.8%と低調でした。ドードーは10月の成功率が32.1%だったからこれでも改善しているっていうね。NBAに来てから毎シーズン3P%を改善していた男がここに来て大ブレーキ。ちなみにTHJも3P%が29.3%と酷い数字だったんですが、ぶっちゃけ目立つのは2Pの37.8%の方です。幾ら何でも外し過ぎだ。

FTAが戻る&スリーが入らない

 これがOFFレーティングの低下に繋がっているように見えます。そりゃ今まで高確率で決めてくれていたブロックとドードーが外しまくったらそうだよね。これを偶然と見るかどうか。

12月マブスOFF/DEFレーティング 118.2/115.9

 再び10月に近いOFFレーティングに復帰したマブス。ドンチッチが平均35.1PTSという、チームと同じく10月に近い数字を残しました。この月はFGAが前月比+1.1本と増えましたが、実は7.2本に減らした3PAが7.2→8.8と+1.6本も増えています。だけど成功率は42.4%と驚異的な数字。全体のアテンプトとしては大きな変化はないものの、その内訳はスリーに偏り、その上で決めまくった結果平均得点が上昇しました。

11→12月3PM/3PA 13.5/39.9(33.8%)→16.6/44.1(37.8%)

 アテンプトを4本以上増やしたマブス。10月から比べると6本と大幅に増やしています。ドンチッチの他にTHJとウッドがそれぞれ前月比+2本のアテンプトになっており、彼らに限らずチーム全体として確率高く決めたことが成功率向上に繋がっています。ブロックはこの月37.5%、ドードーは36.7%とそこそこな数字。

11月ブロック コーナー3/その他3 41.1%/58.9%

12月ブロック コーナー3/その他3 62.5%/37.5%

 これは成功率ではなく、スリーの内訳です。11月は約60%がコーナー以外からのアテンプトで、12月は逆に約60%がコーナーからのアテンプトになっています。そしてコーナー以外だと成功率が良くないブロックなので「コーナーでブロックに打たせる」回数を増やせたことが復調の要因に見えます。

 ただ気になるのアテンプトが減っていること。ブロックは3PAが4.3→4.0と、こう見るとあんまり変わっていないように見えるけど、

11月ブロックトータル3PA/出場時間 56本/334分

12月ブロックトータル3PA/出場時間 64本/459分

 これを出場分数単位の3PAにすると11月は0.167本/分に対し、12月は0.139本/分と大幅に減っています。ちなみにドードーも5.7→5.5本と3PAが減っていますが、同じように計算すると11月は0.201本/分、0.191本/分とそこまで変わっていません。だから今まで以上にスリーを打つシチュエーションを限定したことで、成功率が改善したと言えます。

 それは置いといて、これまで去年並みをキープしていたDEFレーティングが急激に悪化しました。オフェンスに関してはシュートタッチっていう要素が影響しやすいんですが、ディフェンスの方はそれだと説明がつきません。

11→12月THJトータル出場時間 328→522分

11→12月ドードートータル出場時間 463→314分

 11月に平均23.4分出場していたTHJが32.6分と急激にプレータイムが伸びました。行き詰っていたオフェンスのテコ入れっていうのが理由に見えますが、同時にドードーのプレータイムが減りました。まあ彼は欠場した試合があったので、その影響っぽい。

11→12月JGトータル出場時間 298→117分

 同時にJGのプレータイムも激減しました。さすがに覚えてないけど、出場試合が14→5試合になっているから怪我だろうね。ということでTHJが重用されていたのは、マブスの強力なディフェンダー二人の穴埋めっていう側面が強そうです。その結果オフェンスは良いけど守れないチームになりました。

12月マブス 11勝6敗

 結果としては勝てましたが、試合内容を見ると大きな変化がありました。

11→12月マブス平均失点 106.4→113.6PTS

 失点が7.2点も増えました。被FGAは前月比81.6→86.5と約5本も増え、3Pについても被アテンプトが30.1→32.2に増えました。その割に3P成功数は変わっていないので、寧ろ11月のOPP 3P%が37.4%だったことが問題だと言えます。だからアウトサイドディフェンスは元に戻ったものの、逆にインサイドがスカスカになったってこと。おまけに被FTAも21.9→25.1と、こちらも明らかに増えています。FTMが17.5→18.8とアテンプトの伸びに対してさほど伸びていないので、実際の数字以上にディフェンスのまずさを感じます。

11→12月OPP TO 16.3→13.1

 何より大きい変化は、相手のターンオーバーを誘うことが出来なくなったってことです。-3.2っていうのはちょっと酷いね。

ドードー&JGがTHJになって守れなくなった

 当たり前だろって感じなんですが、ここの補強をしていなかったことがこの月から響いてきます。フランキーなんかは守れる選手でしたが、相変わらず安定しないオフェンスで困るし、ベルタンスは守れないとすぐファウルするし。ぶっちゃけTHJにミニッツを与えたのは苦肉の策としか思えない。実際選手が揃っていた11月のTHJの出場時間は23.4分だったしね。

 これが如実に表れたのが12/28のニックス戦。ドードー、JG、クリバーの欠場でTHJのプレータイムが42分と危険な領域に突入しました。その結果ドンチッチの劇的フリースロー外しからのフローター捻じ込みによるオーバータイム突入、60点を残して勝利しました。

ウィングの層の薄さが露呈した12月

 シューターとしてチームオフェンスのオプションになれるものの入らない時はとことん入らず、ディフェンスでもフィジカルの強さ以外は怪しい部分が多いので、スタメンに置くには信用しきれず本来はベンチからのオフェンスオプションとして起用したいTHJ。そのTHJ以外にスカスカのウィングを支えられる選手がいないことが、23-24シーズンにも通ずるディフェンスの悪さに繋がっています。

 だからこの時点で早急にウィングの補強が必要だったマブスでした。若しくはフランキーやハーディという将来的に役に立ちそうな選手たちにプレータイムを与えて、勝利よりも育成に焦点を当てる、いわゆるプチ再建の方向に舵を切ってもよかったのかもしれません。そこでGMハリソンが取った行動というのが、

ケンバ・ウォーカーの獲得

 カンパッソにマッキンリー・ライトを抱えた状態で、更にハンドラーのケンバを獲得しました。ケンバ自体はこれまで補強したハンドラー陣の中で最も信用出来そうな選手だったし、実際それなりに活躍しましたが、今はそこじゃないだろとしか思えませんでした。

チームの問題を把握出来ていなかったハリソン

 ハリソンはシーズン開幕前のインタビューで、THJに対して面白いコメントを残していました。怪我から復帰したTHJを「新しいFA選手がやってきたようだ」と評したのです。なるほどねーと当時思っていました。THJのオフェンス能力が火力不足の一助になるという趣旨のコメントだと思っていましたが、全然信用してないじゃんって感じです。若しくは「THJのディフェンスが良い」とも言っていたハリソンなので、THJ復帰でウィングディフェンダーの層は問題ないと思ったのか。

 そもそもドンチッチに次ぐハンドラーとしてはディンウィディーが既にいたし、ハンドラーじゃないけど単独でもそれなりにオフェンス力があるウッドも獲得して、更にTHJもいるのにまだオフェンス面の補強をするの? って感じです。どうにもブランソンの残像に囚われ過ぎていたように思います。

 

 そんな守れない12月から継続して守れなかった1月のマブス。相変わらず欠場が多かったドードー&JGに加えて、更にウッドの欠場も重なったことでオフェンスでも低調になりました。

1月マブスOFF/DEFレーティング 114.6/119.1

 この月は欠場の選手が多かったことで、オフェンスでもディフェンスでもアイデンティティを喪失していました。ドンチッチがいてもいなくても守れなかった22-23シーズンですが、この月からその傾向が強くなりました。今まではオフェンスで苦しくなってもディフェンスで耐えられた部分で耐えられなくなり、勝率も悪化します。

1月マブス 6勝9敗

 仮にプレーオフに出場出来ても優勝するには色々と足りなかったマブス。寧ろシーズン開幕より悪化してるっていうね。ということでTDLが近づいてきたってこともあり、何かしら補強に動きそうだったハリソンでしたが、今回はここまです。